新型肺炎を武漢で真っ先に告発した医師の悲運
新型肺炎の感染が拡大した2019年末、武漢では現地の医師による注意喚起が早くから行われていた。だが当局は“デマを流布したもの”に対する処罰を発表、医師も含む8名に処分を下している。中国の独立系メディア「財新」の取材班は、内部告発者として注目を集めた李文亮医師へのインタビューを敢行している。
李文亮医師は現在も武漢市中心医院の集中治療室に隔離され治療を受け続けている。生活を送るには同僚の助けが必要な状態だ。
【写真】これが李医師が署名させられた訓戒書だ
李医師は新型コロナウイルスの感染の疑いがあるとされていたが、すぐには正確な結果が出ず、“原因不明の肺炎”という名目で治療を受けていた。2月1日午前、李医師は核酸増幅検査によって陽性という結果が出て、すでに新型コロナウイルスに感染したと診断された。
李医師は武漢市中心医院の眼科医であり、ウイルスの“ヒトからヒト”へ感染するという特性の有無がまだ不明確であった頃、職務上知り得た情報をもとに友人らに対しその危険性を伝えようと試みた。彼は“違法行為”を行いたいと思っていたわけではなかった。
1カ月前の12月30日17時48分頃、李医師は約150人が参加するグループチャットにおいて「華南海鮮市場で7名がSARS(重症急性呼吸器症候群)に罹り、我々の病院の救急科に隔離されている」という情報を発信した。
同日、武漢市衛生健康委員会は『原因不明の肺炎に対する適切な治療についての緊急通知』をネット上に発表し、その中で厳格な情報報告を行うことを要求した。さらに「いかなる機関及び個人も、許可を得ずみだりに治療情報を外部に発信してはならない」と強調した。
李医師が微信(ウィーチャット)のグループにおいて行った注意喚起のスクリーンショットを、グループに参加していた1人がインターネット上に投稿した。この時、最も重要な情報である李医師の名前と職業を隠さずに投稿したのだ。
これによりそのスクリーンショットを目にした人物が李医師を見つけ出し、彼はすぐに病院の監察科による事情聴取を受け、1月3日には管轄区域の派出所に出向き“違法問題”に対する「訓戒書」に署名をした。