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クルーズ船「状況改善したと聞いた」 感染対策の不備指摘動画を削除した神戸大・岩田教授

2020年02月20日 12時53分50秒 | 医療のこと
クルーズ船「状況改善したと聞いた」 感染対策の不備指摘動画を削除した神戸大・岩田教授


クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」内での新型コロナウイルス対策に不備があるなどと指摘する動画をインターネット上で公開した感染症専門医の岩田健太郎・神戸大教授が20日午前、日本外国特派員協会で記者会見を行った。岩田教授は動画を今朝取り下げた理由について、「動画はとても多く再生された。昨日(19日)、船内の状況が著しく改善されたと聞いた。また、私が懸念していた(感染可能性が高い箇所と安全箇所の)ゾーン分けも前進した」と説明した。

【ノーカット動画】クルーズ船の感染対策不備を指摘 神戸大・岩田教授が会見

 会見で岩田教授は「あくまで個人的な見解であり、大学を代表した考えではない」と前置きした上で「クルーズ船内での感染防止策が不十分だった」と改めて訴えた。動画は日本語版と英語版があり、海外有力メディアの多くが19日のニュースで岩田教授の問題提起を取り上げていた。

 動画内で岩田教授は、18日に災害派遣医療チーム(DMAT)と一緒にクルーズ船に一時乗船したと発言。船内では、ウイルス感染の危険性がある場所と、安全な場所を区別しておらず、「どこにウイルスがいるかわからない状態だった」と指摘していた。

 岩田教授は動画の中で、マスクをつけていない乗員がいたり、発熱の症状が出ている人が自分の部屋から出て医務室に行くこともあった、などとも言及していた。

 動画内で同教授は「今、私がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症の正式名称)ウイルスの感染を起こしても全く不思議ではない」などと話し、周囲から隔離された部屋にいるという。このため、岩田教授はインターネット電話で会見した。




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クルーズ船の乗客2人死亡 新型コロナ感染確認の80代の男女

2020年02月20日 12時18分19秒 | 医療のこと
クルーズ船の乗客2人死亡 新型コロナ感染確認の80代の男女

新型コロナウイルスの感染症が集団発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客で、感染が確認された80代男性が死亡したことが、関係者への取材で明らかになった。乗客の80代女性の死亡も判明。クルーズ船の乗客の死亡が確認されたのは初めて。厚生労働省などが2人が感染した経緯などを調べている。

【写真】「ダイヤモンド・プリンセス」から下船した乗客(下)と甲板から見守る乗客

 新型コロナウイルスの感染症を巡っては、神奈川県の80代日本人女性が13日に死亡している。



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【速報】クルーズ船乗客2人が死亡 80歳代の男女 

2020年02月20日 11時54分39秒 | 医療のこと
【速報】クルーズ船乗客2人が死亡 80歳代の男女 
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ダイヤモンド・プリンセスの呆れた感染対策、厚労官僚はなぜ暴走したのか

2020年02月20日 11時44分29秒 | 医療のこと

ダイヤモンド・プリンセスの呆れた感染対策、厚労官僚はなぜ暴走したのか

岩田健太郎・神戸大学教授がYouTubeで告発した、ダイヤモンド・プリンセスのお粗末な新型コロナウイルス対策。アフリカや中国と比べてもひどいという感染対策そのものも大問題だが、意見を口にする者を現場から締め出すという、徹底した「言論統制」を敷いていることも明かされた。なぜ、エリート揃いの厚労省が、こんな暴走をしているのだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

● 感染対策の専門家も 呆れる惨状

 「アフリカや中国と比べてもひどい感染対策、まさかここまでひどいとは…」

 18日、感染対策の専門家である岩田健太郎・神戸大学教授がYouTubeにアップした「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか」という動画が、日本中に衝撃を与えている。

 17日、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船を許された岩田氏が見た光景は驚きの連続だった。

 まず、感染対策の世界では“基本のキ”である、レッドゾーン(防護服を着る区域)とグリーンゾーン(防護服を着なくてもいい安全な区域)に明確に分けることもしておらずグチャグチャ。どこの手すり、どこの絨毯が汚染されているかもわからないというカオスな状態だったという。

 さらに、これまた世界の感染対策の現場では鉄則とされている「医療従事者の安全」もないがしろにされていた。例えば、発熱した乗客が自室を出て、普通に廊下を歩き回って、防護服をつけていない医療スタッフなどと普通にすれ違っているそうで、医療従事者も「自分も感染しても仕方がない」と諦めムードの中で乗客のサポートをしているらしい。これは、アフリカや中国の感染対策と比べてもひどいレベルだ、と岩田氏は指摘している。

 要するに、世界の常識と大きくかけ離れ、医療従事者が玉砕覚悟で現場に飛び込む「カミカゼ感染対策」ともいうべき、支離滅裂な“ウイルスとの戦い”が繰り広げられているのだ。

 感染対策のプロとして20年以上のキャリアを持ち、アフリカのエボラ出血熱や中国のSARSなど過酷な現場での経験もある岩田氏だが、これまでは自分が感染する恐怖はなかったという。専門家としてどうすれば感染しないのかということを理解しているので「対策」が取れるからだ。

  だが、ダイヤモンド・プリンセスのカオスな現場では、はじめて感染するかもしれないと恐怖に感じたという。実際、動画を撮影している時点で、岩田氏は自身も感染したかもしれないというリスクを考慮して、家族などと離れて1人で部屋にこもっていると述べている。

● 北朝鮮も真っ青の 言論統制が敷かれている

 ダイヤモンド・プリンセス号では18日現在、厚労省職員も含む542人という凄まじい数の感染者が出ている。

 これを受けて一部メディアは、「もともと英国籍の船で、国際ルールの中で日本政府は強制力がなかったからしょうがない!」とか、「船内隔離をしないで上陸させていたら、もっとひどいことになっていた」という政府擁護の姿勢を見せているが、岩田氏の「決死の告発」を踏まえれば、擁護できる部分は1ミリもない。

 アフリカや中国よりもひどい感染対応によって、健康な人にまでウィルスを広げてしまった「人災」の可能性が否めないからだ。

 では、何かにつけて「日本の医療レベルは世界一」だと喧伝するこの国の感染対策が、なぜこんなお粗末なことになってしまったのか。情報の少ない現時点ではまだなんともいえないが、岩田氏の告発からうかがえる一因として、「厚労官僚の暴走」がある。

 前にも述べたように、岩田氏は17日にダイヤモンド・プリンセスに乗船を許された。これは岩田氏が個人的につながりのある厚労省の人間と交渉をしたからということらしいが、そこで岩田氏は“奇妙な約束”をさせられる。

 「DMAT(災害派遣医療チーム)のメンバーとして乗船し、決して感染対策の仕事はしてはいけない」というものだ。

 「は?感染対策の専門家に仕事をさせないってどんな理屈だよ」と呆れる方も多いかもしれないが、驚くのはそれだけではない。

 船内を案内された後、岩田氏はスタッフらのミーティングで意見を述べてもいいかと打診をしたところ、感染対策を取り仕切っている何者かの怒りを買ったということで、わずか1日で下船を命じられたというのだ。

 岩田氏によれば、船内では厚労省の方針への異論を許さぬムードが蔓延しているという。岩田氏が訪れる前にも、感染対策の専門家は何人か乗船したというが、ほとんどがこのようなムードを忖度して進言をしない。もちろん、「同調圧力」に屈することなく進言をする者もいたが、厚労省側は耳を貸さず、岩田氏のように船から追い出されてしまうらしい。

  つまり、中国や北朝鮮のような「言論統制」が、現場の専門家たちの「粛清」を引き起こして、ただでさえ稚拙な感染対策をさらにひどい状態にしているのだ。

● 異常な自己保身をしてきた 厚労省のカルチャー

 では、なぜ厚労官僚は日本国民の安全に関わるような危機を前にして、このようなワケのわからない暴走をしてしまうのか。国民の奉仕者になりたいと一生懸命に、国家公務員試験の勉強をしたようなマジメな人たちが、なぜこんな愚かなことをしてしまうのか。

 いろいろな意見があるだろうが、筆者は、厚労省という「組織のカルチャー」が大きく影響していると思っている。

 古くは薬害エイズ問題、消えた年金問題、そして近年では毎月勤労統計のデータ捏造、介護保険料の算出ミス、シベリア抑留者の遺骨が日本人のものではないと知りながらも放置していた問題などなど、厚労省は不祥事が絶えない。

 これらに共通するのは、自分の「立場」さえ安泰ならば改ざんも隠蔽もいとわない、何か大きな問題があっても見て見ぬふりをする、という、異常なまでの「自己保身カルチャー」だ。

 こういうクサいものにフタ的な組織からすれば、岩田氏のような人物が「危険分子」であることはいうまでもない。「なぜこんなメチャクチャな感染対策をしているんですか?」と意見をされたら、誰かの立場が危うくなってしまうからだ。

 これを避けるには、「危険分子」を追放するしかない。人間の免疫機能が、外部から侵入したウイルスに対して、総力を挙げて攻撃をするように、自分たちの保身のため、外部から来た「異物」は総力を挙げて潰すのである。

 この強烈な縄張り意識、偏狭なセクショナリズムが、感染対策の専門家たちの口を封じて、追放するという常軌を逸した行動を招いたと考えると、すべて説明がつく。

 そこで疑問なのが、なぜここまで厚労官僚は「自己保身カルチャー」が強いのかということだろう。

  役人の自己保身というのは、国によって程度の違いはあれど、世界のどこでもある普遍的なカルチャーである。だが、感染対策の専門家を追い払ってまで自分の立場を守るというのは、どう考えても「異常」だ。なぜこんな自国民の生命安全を軽視した暴走ぶりになってしまうのか。

● 厚労省に受け継がれる 「旧日本軍」の系譜

 いろいろなご意見があるかもしれないが、筆者は厚労省という組織が、やはり自国民の命を軽視して暴走した「旧日本軍」の系譜にあるからではないかと思っている。

 ご存じの方も多いかもしれないが、厚労省の前身・厚生省は敗戦後、大陸や南方に取り残された日本人たちの復員・引揚事業を引き継ぐ形で、旧陸軍省と旧海軍省を吸収している。戦傷病者や戦争遺族に対する支援を厚労省が引き継いでいるのはそのためだ。

 と言うと、「組織として繋がりがあるからといって、組織カルチャーまで陸軍や海軍と同一視するというのは暴論だ!」というお叱りもあるかもしれないが、ならば銀行業界はどうなのか。

 いまだにメガバンクで旧興銀派とか旧富士銀行派、旧三和派なんて言葉があるように、合併などで吸収された組織のカルチャーは完全に消え去ることはなく、新しい組織内で脈々と受け継がれている。日本の戦後体制をつくったのが、戦時中のエリートたちであるように、旧体制の人間は1人残らず一掃されました、というような状況にでもならない限り、組織カルチャーというものは世代を超えて受け継がれていくものなのだ。

 実際、今回の新型コロナの対応を見ていると、厚労省は旧日本軍の思想を引き継いでいるとしか思えない。例えば、厚労省の感染対策に批判的だった岩田氏をダイヤモンド・プリンセス号から追放したのは、「このままでは日本は負ける」と軍部に批判的な人間を次々と投獄して拷問をした「言論統制」と丸かぶりだ。

 さらに、この2つの組織が、特に親子のようにソックリだと感じるのは、「情報」の軽視ぶりである。

 岩田氏のような専門家をここまでわかりやすく排除していることからもわかるように、厚労省がこのウイルスとの戦いにおいて、「情報」というものを恐ろしいほど軽視しているのは明白だろう。専門家のネットワークで得られた知見や情報よりも、役所の論理や、国家の事情が優先されているのだ。

 実はあまり知られていないが、この「情報軽視」というのは、旧日本軍という組織の最も際立った特徴だったのだ。

 ご存じのように、世界の戦史研究家たちの間では、日本の旧帝国陸海軍は、「情報戦」に失敗した組織の典型例として語り継がれている。

  それを象徴するのが、1946年4月、米軍が政府に提出した「日本陸海軍の情報部について」というレポートだ。ここには日本型組織の“情報軽視”ぶりが辛辣に指摘されており、当事者である大本営陸軍部参謀にいた堀栄三氏も「あまりにも的を射た指摘に、ただ脱帽あるのみ」と白旗をあげている。



● 「情報軽視」が 被害を拡大させる

 では、具体的にどのような「情報軽視」をしていたのか。堀氏の著書『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』(文藝春秋)から引用する形でご紹介したい(カッコ内は堀氏の注釈)。

 「情報関係のポストに人材を得なかった。このことは、情報に含まれている重大な背後事情を見抜く力の不足となって現われ、情報任務が日本軍では第二次的任務に過ぎない結果となって現れた。(作戦第一、情報軽視)」

 このように正しい情報を得て、バックグラウンドを読み解くことを怠ると、どのような悲劇が待っているのかということは、旧海軍の台湾沖航空戦がわかりやすい。

 実際は、この戦いはボロ負けだった。しかし、情報を軽視していた軍部は「こちらに壊滅的な犠牲者が出ているのだから、米海軍もそれなりにダメージを受けているはずだ」というとんでもない思い違いをして、希望的観測のような「過大戦果」を発表した。そして、この「デマ」を真に受けて甚大な被害を受けたのが陸軍だ。敵の戦力を完全に見誤ったがゆえ、無謀な作戦が立案され、死ななくていい兵士たちが大勢亡くなったのである。

 この情報軽視からの甚大な被害という流れは、今回の「ダイヤモンド・プリンセスの悲劇」も全く同じである。

 汚染された船内で、素人が考えたような雑な感染対策をしていても、二次被害や三次被害が広がっていくだけなのは、岩田氏のような専門家に助言を仰げばすぐにわかる。しかし、情報を軽視していた厚労省は、「船の中に閉じ込めて陸に上げなければ、国内の感染は防げるのだからそれなりに意味があるはずだ」というとんでもない思い違いをして、「船内にとどまらせるのが最善策」だと自己正当化につとめた。そして、このデマを真に受けて、多くの乗客、医療従事者、自衛隊などの支援スタッフがウイルスにさらされたのである。

 厚労省が旧日本軍の組織文化を引きずっているとしたら、今回の「ウイルスとの戦争」の行く末はかなり暗い。国家の体面やエリートの保身のために、「みんなで立ち向かえばきっと勝てる!」みたいな精神論によって、多くの国民が犠牲になるからだ。

  「ダイヤモンド・プリンセス号の542人感染者」は、これから始まる大きな悲劇の序章なのかもしれない。





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安倍よ、ただで済むと思うな…菅官房長官「最後の逆襲」が始まった

2020年02月20日 11時34分24秒 | 政治のこと


安倍よ、ただで済むと思うな…菅官房長官「最後の逆襲」が始まった

政権の終わりが見えてきたと思ったら、一枚岩だったはずの政権幹部たちの関係が異様なまでに軋み始めている。自分が死ぬか、相手が死ぬか。五輪まで半年、永田町で本格抗争の号砲が鳴った。

「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答
Photo by iStock        
 


総理に呼ばれなくなった
 
 「もう、あの人も終わりだよな」

 ある自民党のベテラン議員が言う。官房長官・菅義偉のことである。官邸の守護神と言われたのも今は昔。

 定例の記者会見では、記者の質問にもまるで上の空。「すみません、もう一回言って?」を繰り返すシーンは、毎度のこと。回答に窮し事務方からペーパーを差し込まれることも増えた。

 この4ヵ月、菅はさんざんだった。菅原一秀や河井克行といった「側近」を無理矢理入閣させたものの、一気にスキャンダルに見舞われた。

 重用してきた官僚が不倫騒動に追い込まれ、自分が肩入れしてきたIR問題でも、10年ぶりの国会議員逮捕という騒動に巻き込まれた。すべて菅の周りで醜聞が出たことから、「菅潰し」の声が囁かれた。

 総理候補など夢のまた夢、スキャンダル処理にほとほと疲れた菅は、「このままやけくそで辞任するんじゃないか?」と噂を立てられる始末だ。

 安倍総理との関係も決定的に軋みだした。昨年末から、菅が安倍に呼ばれる機会が減った。もちろん、朝、官邸で顔は合わせるものの、安倍は視線を合わせない。

 要人との同席回数や接触時間は、かねてから菅との不仲が囁かれる今井尚哉秘書官のほうが格段に多くなった。

 安倍に嫌われたのか。自分を嵌めたのは、今井ではなくて、安倍なのではないか。疑心暗鬼が、菅の胸中を交錯している。

 官邸に2つあった危機管理ラインのもと、菅と今井は、修復不能な関係に陥った。今井は「菅さんは信用できないよ。総理の寝首をかく男だしね」と公言し、菅も「総理にぶら下がり会見なんてやらせて、本当にあのバカ」と今井を批判。だが、安倍は今井を選んだ。

 「今井が官僚だからですよ。政治家とちがって、主君に取って代わろうとすることはありえない。総理にとって菅さんは不気味だが、今井は安心して使える。その結果、安倍総理と菅さんは『官邸内別居』状態になってしまった」(安倍側近)

 このままでは、菅の政治家生命は終わる。頻繁に行っていた夜の会合も鳴りを潜め、菅の側近議員も「まったく誘われなくなったね。何をしているんだろう」と言う。表情も乏しくなり、抜け殻のようだ。

 だが、これは演技だ。

 『仮名手本忠臣蔵』に出てくる大星由良之助の一力茶屋のシーンを覚えているだろうか。連日酒を飲み、昼行灯そのものの大星は、ここで敵を油断させ、討ち入りのタイミングを見計らう。

 慎重に五感を働かせていれば、どんなときにも運は巡ってくる――後ろ盾もない横浜市議から出発した叩き上げの菅は、それがわかっているのだ。俺をバカにして、ただで済むと思うなよ。「逆襲」への兆しはかすかに出てきている。

 1月21日、廃棄していたはずの「桜を見る会」の3年分の資料が、突然見つかった。

 会場設営の契約書などが、内閣府総務課に残っていたというのだ。これまでの説明とはまったく異なるが、これは菅を後押しする官僚の「反乱」だった可能性が高い。官邸職員の証言。

 「桜の件は、けっきょく安倍さん自身の問題なわけです。安倍後援会が850人も招待され、昭恵枠まで膨大にあった。

  すべて『廃棄』でウヤムヤにするつもりが、ここでわざわざ資料が出てくるというのは、菅さんに世話になった官僚が、菅復権のために、あえて出したとしか考えられない」

ぜんぶ、俺のせいか?
 
 最近の「菅潰し」は、人事権を握ってきた菅に恨みを持つ官僚が荷担してきたという見方がある。一方で、アメとムチを使い分ける菅に「人事で世話になった」と感謝の感情を持っている官僚も多い。前出の職員が言う。

 「菅さんにとっては、資料が突然出てきたのは大きな援軍でしょう。総理が追及されるきっかけになるし、『桜』対応を振り付けてきた今井氏にとっても失点となります」

 菅が入閣させた前法相・河井克行と妻の案里についてはどうか。すでに広島地検は家宅捜索だけでなく秘書をはじめ30名以上の事情聴取まで行っている。しかし、もともと、河井夫妻は安倍総理との関係が深い。

 「河井氏は『菅銘柄』と言われてきましたが、実際には河井さんは『安倍派』といっていい。案里氏の出馬も、対立候補の溝手顕正元参院議員を、安倍総理が大嫌いだったことからごり押ししたもの。菅さんは後から従っただけ」(自民党代議士)

 だが河井が法務大臣を辞任する段になると安倍は「菅さんが大丈夫といったから」「菅さん自身が何度も選挙区に入ったでしょう。だから問題ないと思っていた」と菅に責任転嫁している。

 そのような事情があるからこそ、週刊文春が報じた「参院選前、1億5000万円が自民党から河井陣営に振り込まれていた」という事実は、菅にとっては有利に働く。

  カネの主体は党なのだ。官房長官である菅には関係ない。むしろ安倍銘柄であることがクローズアップされていくだろう。
     
Photo by GettyImages        
 


二階とのタッグ
 
 「さらに、次期検事総長と目されてきた東京高検検事長の黒川弘務氏が、2月8日の誕生日をもって定年退官する可能性が高まってきたのが、菅氏にとって追い風です。

 『官邸の門番』としてさまざまな政治案件を握りつぶしてきた黒川氏が消えれば、菅氏も『黒川がいなければ、私も手を出せません』と堂々と安倍総理に言える。

 稲田(伸夫)検事総長は、『黒川がやめれば、8月の任期までバンバン事件をやる』と語っているため、河井夫妻の立件は確定的になるでしょう」(政治部デスク)

 大臣経験者の逮捕となれば、政権への打撃は大きい。菅と安倍のどちらがダメージを受けるか? 安倍のほうだろう。

 IR問題についても、実は安倍のなかでは危ない時限爆弾がある。逮捕された秋元司が、細田派の有力議員の名前を具体的に挙げ、カジノ企業との癒着を検察に話しているという。

 「具体的に、安倍に近い現職大臣の名前と、その人物が受け取った2000万円という金額も話している」という噂で永田町は持ちきりだ。

 これまで挙げてきた「追い風」は、今のところ、静かなさざ波にすぎない。どう活かすかは、菅次第。しかも、先手を打たれるかもしれない。

 「総理には、年内に内閣改造を行って、菅さんを閣外に出すという思いもあるようだ。後任には甘利明氏の名前が上がってきている」(安倍側近)

 実際には、「菅以外に、安倍さんの防波堤がつとまる政治家はいない。安倍さんとしては、菅に内閣を守らせつつ、力だけは着実に削いでいくという戦略だ」(閣僚経験者)という見方が強い。

 いずれにせよ、菅は座して死を待つことはできない。チャンスがくれば、官房長官を辞任し、派閥を立ち上げるだろう。

 援軍は多い。なにせ、睡眠時間まで削って会合を行い、飼い慣らしてきた「隠れ菅派」の議員は優に50人を超える。いまの菅を支えるのは、幹事長の二階俊博である。

 「二階さんは今年になっても、何かにつけて菅さんの携帯に電話を入れて、ねぎらったりアドバイスをしたりしています。総理は、去年9月の人事で、いったん本気で二階幹事長更迭を計画しましたから、二階さんは安倍への警戒心を募らせているのです」(自民党幹部)

 安倍に切られそうになった実力者2人が、タッグを組み始めているのだ。

 目下、安倍が4選を狙わないかぎり、岸田文雄への総理禅譲はほぼ確定的だとされる。

 「岸田さんと犬猿の仲である菅さんは、ついに『タダの人』になる。そうなるくらいなら、自分が総裁選に出馬するか、あるいは同じ神奈川選出の河野太郎か小泉進次郎を担いで政権をつくり、幹事長に就き『キングメーカー』として生きながらえるしかない」(菅派議員)

 隠れ菅派に加え、二階派はもちろん、岸田を見捨てた古賀誠率いる宏池会の古賀グループ、さらに竹下派や石破派も戦列に加わる――。人数的には、不可能ではない。針に糸を通すような繊細なやり方で、最後の一手を下す。

 裏切られたなら、裏切り返すだけ。菅はいま、牙を研ぎ続けている。

 (文中敬称略)

 「週刊現代」2020年2月1日・8日合併号より
     
週刊現代(講談社)




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