ニュースなはなし

気になるニュースをとりあげます

虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”

2025年03月18日 23時03分57秒 | 不動産と住環境のこと

 

 

虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”〈1250もの区分所有権を売り出し〉(文春オンライン) - Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/57f96228c56448334d61209e90373b6d4f3b6db6

 

 

虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”〈1250もの区分所有権を売り出し〉
3/15(土) 6:12配信

 

 


32
コメント32件


文春オンライン
 電気、水道といった施設の利用に必要なインフラが止められ、他者の権利に阻まれて解体もできなければ売却もかなわない……。「負動産」状態になってしまっているリゾートマンションや会員制リゾートがいまや少なくない。

【画像】廃墟化してしまった、かつてのリゾート「エクストラクラブ岩原」の現在の様子

 はたして、一世を風靡した数々の物件はなぜ無用の長物になってしまったのか。ここでは、不動産の調査を続けるライターの吉川祐介氏による『 バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮 』(角川新書)の一部を抜粋し、1250もの区分所有権を売り出していたエクストラクラブ岩原について紹介する。(全2回の1回目/ 続き を読む)

◆◆◆

ある会員制リゾートクラブの会員権の販売手法
エクストラクラブ苗場。建物裏はガラスが破損している箇所もある

 新潟県長岡市に本社を置き、いわゆるラブホテルなどの経営を行っていた「協和観業株式会社」が、1980年代半ば頃から新潟県湯沢町において運営していた会員制リゾートクラブが「エクストラクラブ」だった。現役時は3か所の施設を運営していたが、すべて湯沢町内に存在していた。

 1号店となる「エクストラクラブ湯沢」は、独立した施設ではなく、85年10月に新築された「ライオンズマンション越後湯沢」の9階のワンフロアをすべて協和観業が取得し、200口に分割した共有持分として販売することでクラブの運営を行っていた。

 その後86年、苗場エリアにあった三国小学校浅貝(あさかい)分校(閉校)の隣に5階建ての専用施設「エクストラクラブ苗場」をオープン。

 そして同社の真打ちの施設となる、地下1階地上14階建ての「エクストラクラブ岩原(いわっぱら)」が88年に完成し、それぞれの施設の会員(共有持分者)が、相互にその3施設を利用できるシステムだった。

 同じ町内に三か所もの施設を構えたのは、前章で解説した通り、当時の湯沢町は苗場を中心に大変なスキーブームで、恒常的に宿泊施設が不足していたからであろう。

 協和観業が進出した時点で、すでに湯沢町内にはいくつかの会員制リゾートが存在していたが、マンションの建設ラッシュが続く湯沢町において、マンションの1室を購入できるほどの資金力を持たない層をターゲットに事業を拡大していたことは間違いない

 協和観業は、会員権の販売手法も、また運営もトラブル続きの問題企業であった。そもそも1店目である「エクストラクラブ湯沢」が置かれたライオンズマンション越後湯沢の9階は13室あるのだが、各部屋はそれぞれ区分所有登記が行われておらず、協和観業は9階部分のワンフロアを丸ごとを200口に分割して販売していた。

 会員制リゾートの会員は、自分が共有持分を所有している部屋しか使用できないわけではなく、予約時の状況に応じて施設のいずれかの部屋が割り振られる。

 そのため、ワンフロアを200口に分割して登記していたとしても、施設の運営に直ちに影響が出るわけではなく、問題は表面化しないかもしれない。

建物一棟全120室を1250口に分割して販売
 しかし建前上は、その共有持分登記は会員の入会金などの担保になるものなので、他のリゾート会員施設では各居室にそれぞれ10〜20人単位で共有持分登記を行うのが一般的だ。

 苗場、岩原で新築された2施設についても、苗場は全32室を320口、岩原は全120室を1250口に分割して共有持分登記が行われている。ちなみに第一次会員の販売価格は一口303万円である。

 建物1棟全体を会員全員の名義で共有する手法は、エクストラクラブに限った話ではないだが、1200人を超える見ず知らずの赤の他人と共有している、自分がどの部屋の権利を有しているかも明確ではない状態の「所有権」に、果たして数百万円の担保価値があると言えるのか。

 もちろんそれは、結果を知っている今だからこそ言える話なのかもしれないが、このエクストラクラブの新築時点で、不動産共有型のリゾート会員権には同様の懸念が持たれていたのも事実なのだ。

 会員権購入者からの批判の高まりを受けて通産省がリゾートクラブ業界の実態に関する報告書を公開したのは、エクストラクラブ湯沢の開業からわずか9か月後のことである。

 同社のパンフレットでは「元金は不動産として保証されます」などと断定しているが、多くの施設において、その謳い文句通りになっていなかったからこそ、運営会社と会員の間で紛争が頻発していたのだ。

 前述の東京弁護士会のパンフレットにおいても、セールスの謳い文句通りの売却価格が一切保証されていない事例が数多く掲載されている。

管理費や修繕積立金を20年以上払わなかった運営会社
 また協和観業は、およそ企業としての責任感も持ちあわせていない会社であった。

 前述のように「エクストラクラブ湯沢」は、一般の分譲リゾートマンションであるライオンズマンション越後湯沢の9階のワンフロアを丸ごと自社の会員施設として運用しており、全13室中12室は自社名義で区分所有権を取得・所有していた。当然区分所有者としてマンションの管理費や修繕積立金を支払う義務があった。

 ところが同社が管理費等を支払っていたのは新築からおよそ半年間ほどの期間だけである。施設の運営は、管理費を滞納しながら継続していた。おそらく最初からまともに費用を支払う気などなかったのだろう。

 あきれたことにその後同社は20年以上にわたって管理費を滞納し続けた。

 

 

 最終的にその滞納額は億単位に膨れ上がり、2019年、地元の管理会社が競売を申し立て、協和観業、および901号室にまだ残されていた会員の共有持分を差し押さえた。その後改装が施され、現在ライオンズマンション越後湯沢の9階部分は、地元企業が運営する民泊施設として運用されている。

会員の承諾を得ずに一般宿泊客を受け入れ
 最後に完成したエクストラクラブ岩原は、1〜3階部分に喫茶店やボウリング場、テニスコートなどの共有設備を備えており(商業施設の区分は協和観業が単独で所有)、会員用の施設としてだけではなく、一般の宿泊施設(ホテルエクストラ)として宿泊客の受け入れも行っていた。

 しかしこれも信じがたい話であるが、同社が区分所有権の販促用に発行していたパンフレットのどこを見ても、一般客を受け入れる宿泊施設として運用するなどという記載はない。それどころか広告内には「限定オーナー制」との文言があり、あたかもオーナーしか利用できないかのような(というより、そうとしか読み取ることができない)記載がある。

 会員制リゾートとして運用する一方、一般の宿泊客も別料金で受け入れている施設はあるが(例えば東急ハーヴェストクラブの一部施設も非会員の利用が可能)、共有持分であれ当然部屋の所有者の承諾が必要になるものであるし、クラブによっては部屋の権利を有する会員に対し、ホテルの収益の一部を分配するところもある。

 協和観業はそうした会員へのリターンを行った形跡もなく、そもそもホテルとしての運用自体、会員すべての承諾を得て行われていたものですらなく、あまつさえ、より高額の宿泊料を取れる(会員向けの割引価格が適用されない)一般客の予約を優先するあまり、会員の方が逆に予約を断られるという本末転倒の有様だった。

虚偽だった「未利用宿泊券買上げシステム」
 エクストラクラブの会員には、年間に、夏季利用券と冬季利用券がそれぞれ10枚ずつ、つまり年20泊分の宿泊券が送付されていたが、協和観業はこの宿泊券の未利用分について、1枚8500〜1万円で買い上げるので、エクストラクラブの会員権は「財テク」としても有効であると謳われていた。

 パンフレットにはご丁寧にも、利用券買い上げシステムの財源確保の手段まで記載しているが、それを読む限り会員が宿泊時に支払う施設利用料(ルームチャージ1室3000円、一人1泊1000円)を、未利用宿泊券の買い上げ資金に充当するという。

 本来、施設の維持管理に充てられるべきルームチャージを、換金性の低い宿泊券(運営会社自身が引き取るのならなおのこと換金性がない)の買い上げに回していたら、施設の維持管理費用はどこから捻出するのか。

 

 会員は年会費を支払っているが、それだけでは到底施設の修繕や管理・スタッフの人件費などまかなえるものではない。

 僕のYouTube チャンネルでこのエクストラクラブを扱ったのち、エクストラクラブの元会員であるという視聴者の方から連絡をいただいた。

 その方によれば、結局この利用券買い上げシステムなるものは実際には一切機能しておらず、未利用の宿泊券が買い上げられることは一度もなかったという。パンフレットの記載は完全に虚偽であった。

リゾートクラブ存続中に宅建業免許を失っていた
 万事がこんな有様なので、ほとんど詐欺のような話であり、そのため協和観業は常に顧客とのトラブルが絶えなかったようである。

 協和観業は、管理費すらも踏み倒したことからもわかるように、積極的な情報公開やアフターフォローを行うような体質の企業ではなく、僕に連絡をくれた元会員の方は、裁判によって共有持分の買戻しに応じさせたと振り返っている。

 協和観業が所有していた長岡市内の自社ビルは、94年の時点で売却済みで、以降はそのビルに賃借人として入居して営業を続けていた模様だが、協和観業のグループ会社であり、エクストラクラブの会員権販売を手掛けていた「エクストラ販売」は95年には宅建業者としての業務を休止して、95年4月28日付の官報の宅地建物取引業保証協会弁済業務保証金(宅建業法により宅建業開業時に法務局への供託が義務付けられている営業保証金)取りもどし公告に、エクストラ販売の名前が記載されている。

 協和観業、エクストラ販売はともに登記上は今なお存続しているが、宅地建物取引業免許は、まだエクストラクラブが現役だった時点で失っていることになる。

 当時新聞に出されていた広告などの資料を見ると、協和観業は90年代以降、湯沢町だけではなく千葉県の旧大原町(現・いすみ市)にも同様の施設の建築を計画していたらしい。

 今でも同市内には、協和観業名義の開発用地や開発許可申請の記録が残されたままだが、施設そのものの建築は実現されることなく、進入路の舗装と擁壁工事のみが行われた状態で放置されている。

 バブル崩壊後の90年代以降の協和観業は、会員制リゾートクラブの運営はほぼ停滞状態で、裏で複数の訴訟を抱えつつ、岩原の施設を使用したホテル経営を細々と続けていたようである。

写真=吉川祐介 

 〈写真あり〉「小さな投資で大きく楽しめる会員制別荘」はいまや“有名心霊スポット”に…なぜそんな惨劇が起こってしまったのか  へ続く

 

 

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いじわるばあさん 長谷川 町子 | トップ | 超異分野学会、西新宿、住友... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

不動産と住環境のこと」カテゴリの最新記事