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なんと、がんの患者の半数が示す「特徴的な変化」があった

2024年01月11日 23時03分33秒 | 医療のこと
なんと、がんの患者の半数が示す「特徴的な変化」があった…「早期のがん」を見つけるために「検査結果でチェックすべきポイント」 (msn.com) 




昨今、がんにかかる人は増加しているが、死亡率は年々下がり続けているのをご存じだろうか――。「がん治療」の進化が著しいことが大きな要因の一つだ。一方で、患者側の最新医療に関する知識がアップデートされていないばかりに、手遅れになってしまうケースも残念ながら少なくないという。


がん治療で後悔しないために、私たちが身につけておくべき知識とは何か。国立がん研究センターが、現時点で最も確かな情報をベースに作成した『「がん」はどうやって治すのか』から、そのポイントをお伝えしたい。今回は、早期にがんを発見するために、検査結果でどこをチェックすべきか、を解説しよう。


*本記事は国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。


がんの検査自体が負担になることも

がんの検査には、学術的な論文などによって多くの医師から信頼性が認められた検査方法が使われています。とはいっても、検査自体が患者さんの体に負担となる場合もあり、検査によっては合併症(検査がもとになって起こる病気)の可能性もあります。
また、費用がかなりかかるものもあります。こうしたことも考慮したうえで、一人ひとりの患者さんの状態に応じた検査を行います。


© 現代ビジネス
がん患者さんの半数に貧血がみられる理由
まず、血液検査から話を始めましょう。一般的な血液検査はどこの病院でも行える簡便な検査ですが、がんの存在を疑う手がかりとなる情報が得られる場合があります。


たとえば、がんの患者さんの半数は貧血を示します。これは、がんによって体内に貯蔵された鉄をうまく利用できなくなるために赤血球の寿命が短くなったり、赤血球をつくれと命令するエリスロポエチンというホルモンが、がんによって起こる炎症の影響で減ってしまったりするからです。


胃がん、大腸がんといった消化管のがんからの慢性出血や、血液細胞をつくる骨髄にがん細胞が入り込むこと(浸潤)によって貧血が起こる場合もあります。


また、進行がんでは白血球の一種である好中球が増え、リンパ球が相対的に減ることがあります。これは、がんが増殖して炎症反応が起こり、炎症の場所に集まる好中球が増えるためと考えられています。


炎症反応が起こると血小板も増えるので、がんになると血小板が増えやすいことも知られています。さらに、血液中には細胞がつくるさまざまな酵素が含まれており、特定の酵素の増減や、複数の酵素の量のバランスから、がんが疑われる場合もあります。


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【イラスト】がんになると血小板が増えやすいことがある 
【イラスト】がんになると血小板が増えやすいことがある 
© 現代ビジネス
肝臓と腎臓の機能を詳しく調べる
なお、血液の検査は、がんの存在だけでなく、患者さんの全身の状態を知るのにも役立ちます。


とくに、肝臓と腎臓の機能は、抗がん剤の代謝に関係するので詳しく調べる必要があります。B型肝炎ウイルスをもっている患者さんに免疫抑制効果のある薬剤を使用する場合には、ウイルスが再活性化するおそれがあるため、慎重に検査をします。


また、がんの治療では、手術などで出血する可能性もあるので、血液の凝固機能を調べることも重要です。


腫瘍マーカーは目安にすぎない
多くの方が「がんの血液検査」と聞いて思い浮かべるのは、腫瘍マーカーの検査でしょう。


がんがあると、がん細胞やがん細胞に反応した細胞がつくる特定の物質(抗原、抗体、酵素、ホルモンなど)が血液中や尿中で増加することがあります。これらのうち、がんのできる臓器によって特徴的なものが腫瘍マーカーとして利用されており、全部で50種類以上が知られています。


腫瘍マーカーは、体への負担が少なく簡単に調べることができ、種類によっては診断のための検査が健康保険で認められていたり、人間ドックなどでも検査できたりします。


ただし、注意しなければいけないのは、「がんがあれば必ず増えるとは限らず、がんがない場合や良性の腫瘍の場合にも増えることがある」ということです。このため、腫瘍マーカーの検査結果だけでは、がんと診断することはできません。画像検査や病理診断の結果と合わせて診断することになります。


抗がん剤などによる治療中も月に1回、腫瘍マーカーの検査が健康保険で受けられるので、患者さんのなかには、毎月の来院のたびに腫瘍マーカーの値を見て一喜一憂される方も多くおられます。しかし、診断の場合と同様、治療効果の判定においても、腫瘍マーカーの値が治療の効果を正しく反映しているとは限りません。


こうした事情から、海外では腫瘍マーカーの検査をしていない国もたくさんあります。腫瘍マーカーは、診断においても、治療効果の判定においても、目安にすぎないのです。

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元管制官が指摘する管制「ナンバー1」の捉え方 羽田空港衝突事故の海保機機長は「“ナンバー1”の意味を取り違えた可能性」

2024年01月11日 22時03分47秒 | 事件と事故

元管制官が指摘する管制「ナンバー1」の捉え方 羽田空港衝突事故の海保機機長は「“ナンバー1”の意味を取り違えた可能性」

【報道特集】
1/11(木) 6:32配信


TBS NEWS DIG Powered by JNN


羽田空港で着陸してきた日本航空機が海上保安庁の飛行機に衝突・炎上しました。海保機はなぜ滑走路に侵入していたのか。2機の飛行機と管制官との交信記録を分析し、元管制官にも話を聞いて検証しました。


【写真を見る】元管制官が指摘する管制「ナンバー1」の捉え方 羽田空港衝突事故の海保機機長は「“ナンバー1”の意味を取り違えた可能性」【報道特集】


■JAL機客語る 緊迫の18分間「キャビンに煙が充満」


1月2日、日本航空の機体が激しい炎に包まれた。


上村彩子キャスター
「羽田空港の第2ターミナルです。火災発生から3時間ほど経ちますが、まだ煙が上がっている様子が確認できます」


事故が起きたのは、午後6時前。


羽田空港のC滑走路に新千歳空港発の日航機が着陸。能登半島地震の救援物資を積み、出発しようとしていた海上保安庁の飛行機と衝突した。


その後、日航機は滑走路を右に外れながら、1キロ先で停止したという。


機内の後方に座っていたという男性は、機体が停止して間もなく、客室に煙が立ち込めてきたという。


事故機の搭乗客
「キャビンに煙が充満してきたのでシャツなどで口を覆っていました。取り乱したり、パニックになったりしている人もいました」


客室乗務員「姿勢を低くしてください!」
乗客「壊れるよ…」
子ども「開けてください!」


機内で脱出を求める声が相次ぐなか、客室乗務員が乗客へのアナウンスを続けていた。


日本航空 元客室乗務員 代田眞知子さん
「皆さんドアに普通殺到するんですけれども、すごくうまくコントロールされているなと思いますね」


そう指摘するのは、代田眞知子さん。日本航空で客室の統括責任者を10年以上務めた。


日本航空 元客室乗務員 代田眞知子さん
「人は飛行機が動いていて止まった時点で一斉に逃げようという気持ちになるので、それを抑えるために客室乗務員が『大丈夫、落ち着いて』とまず第一声で出してくださいと。乗客をコントロールするような大きな声で制するという練習をして、声が小さい人は何度も訓練をやらされてました」


代田さんによると、機長や客室乗務員などは年1回の定期訓練を受けなければ、飛行機に搭乗できないという。



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>元管制官 田中秀和氏
「ナンバー1という言葉のみで『滑走路に入って良し』とするルールは世界のどこにもありません。任務が災害派遣であったこと、出発が遅れていたことで、何とか大事な任務を時間軸として取り戻したいという意識があったとすれば、それはハリーアップ症候群に合致すると思います」



そして、事故発生から18分後。


逃げ遅れがいないか、機内全体を確認した機長とみられる男性が最後に脱出用


シューターを滑り降り、客室乗務員と共に機体を後にした。


■なぜ滑走路に? 元管制官の指摘 “ナンバー1”の意味を取り違えた可能性


なぜ、事故は起きたのか。管制官と、2つの機体との「交信記録」を分析した。


衝突の4分半前、離着陸をコントロールする「タワー」の管制官が日航機にこう指示を出している。


管制(東京タワー)「JAL516、滑走路に進入を継続してください」


日航機(JAL516)「滑走路に進入を継続します」


さらに2分後…


日航機(JAL516)「着陸支障なし、JAL516」


実は海保機は、日航機に対する着陸許可の交信を聞いていなかった可能性がある。


このタイミングでは、海保機が無線を「タワー」の周波数に合わせておらず、地上走行を管制する別の周波数の無線を聞いていた可能性があるのだ。その後、海保機は、タワーの管制官にこう呼びかける。


海保機(JA722A)「タワー、C誘導路上です」


管制(東京タワー)
「東京タワー、こんばんは」
「(離陸の順番は)ナンバー1、滑走路停止位置まで地上走行してください」


海保機(JA722A)
「滑走路停止位置に向かいます。ナンバー1、ありがとう」


そう答えた海保機だったが、停止位置を越え、滑走路に進入してしまった。


なぜ、進入してしまったのか。
元管制官の田中秀和氏は、「ナンバー1」という言葉を海保機の機長が誤解した可能性を指摘する。「ナンバー1」とは本来、離陸の順番を示しているだけだという



元管制官 田中秀和氏
「ナンバー1という言葉のみで『滑走路に入って良し』とするルールは世界のどこにもありません。任務が災害派遣であったこと、出発が遅れていたことで、何とか大事な任務を時間軸として取り戻したいという意識があったとすれば、それはハリーアップ症候群に合致すると思います」


焦ることで自分に都合の良い解釈をしてしまう、ハリーアップ症候群の可能性があったという。

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まさに理想的ピンピンコロリ?……ゾウが長寿なのに「ガンにならない」ワケ

2024年01月11日 20時03分21秒 | 生き物のこと
まさに理想的ピンピンコロリ?……ゾウが長寿なのに「ガンにならない」ワケ(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 




まさに理想的ピンピンコロリ?……ゾウが長寿なのに「ガンにならない」ワケ
1/4(木) 7:03配信


現代ビジネス
PHOTO by iStock


 哺乳類は一般に、体が大きいほうが長生きだ。


 からだの大きさと寿命には何か関係性があるのだろうか? 
 ハツカネズミとゾウを比較して、その秘密を探ってみよう。


【画像】日本人の死因の特徴は「ヨボヨボダラダラ」


 (本記事は小林武彦『なぜヒトだけが老いるのか』から抜粋・編集したものです。)


哺乳類の体の大きさと寿命の関係
 瞬時に老化するサケや、何が原因で死んでいるのかわからない穴蔵暮らしのハダカデバネズミは、ちょっと極端な例かもしれません。私たちヒトも含まれる大型哺乳類の例を見てみましょう。


 哺乳類は一般に、体が大きいほうが長生きです。これには理由があると私は考えています。体が大きい生き物は、そもそも成長に時間がかかります。これ自体も長生きの理由です。加えてその長い成長の間、親が養育しないといけません。その分も親が長生きでないといけません。


 進化の過程で体が大きくなると同時に、それに付随して長生きの親が選択されてきたのでしょう。進化は目的ではなく結果なので、この「長寿化」もまた、「たまたま」です。


 逆に体が小さい動物は、一般的に寿命も短いです。前にお話ししたように、食べられて死ぬことが多いので、そもそも長寿化にメリットはありません。どちらが有利か不利かは、その生きている環境によるのです。


 ちなみにヒトの場合は、体の大きさと寿命は関係ありません。統計的にはざっくりと言って中背でやや太り気味の人が長生きです。


ハツカネズミには長生きに関わる遺伝子がない
PHOTObyGettyImages


 話を元に戻します。まずは小さいほうから見ていきましょう。


 よく例に挙げられるのはネズミの仲間です。ハツカネズミは妊娠期間が20日(はつか)のため、そのように名前がつけられました。生まれて成熟するまで2ヵ月なので、約3ヵ月で世代交代します。寿命は数ヵ月から1年で、鳥や他の動物に捕食されて死ぬ場合が多いです。ですので、慌てて子供を作るようにも見えますが、実際には進化の「選択」、つまり食われる前に子供を残せる「早熟」な種だけが生き残ってこられたのです。


 実験室で人工飼育した場合は、捕食される心配はないのですが、やはり同じサイクルで子供を産みます。人工飼育では2年以上生きるものもいて、最終的にはがんで死ぬことが多いです。また後ほど詳しくお話ししますが、がんは遺伝子の変異で起こります。長く生きていればいるほど徐々に遺伝子に変異が蓄積してきて、がんになるリスクが高くなります。


 もともとネズミは数ヵ月で食べられて死んでしまい、何年も生きることはないので、がんを抑制したり長生きに関わるような遺伝子はそもそも必要ではなく、あっても働きが弱いのです。たとえばp53というがんを抑制する遺伝子を、ゲノム編集でがんを発症しているマウスに導入すると、2週間足らずというすごい勢いで全身からがん細胞が排除されます。


 p53遺伝子は、DNAの傷を感知し、傷が少ない場合は修復し、多い場合はその細胞を殺して発がんを防ぐ働きがあります。このようながんを防ぐ遺伝子の働きが弱いのです。

ゾウが長生きでガンにならない理由
PHOTO by GettyImages


 今度は大きい動物です。ヒト以外の陸上哺乳類で最も寿命が長いのはゾウです。ゾウは60年以上生きるものもいます。ゾウのような大型哺乳動物は、元々食べられて死ぬ個体は少ないので、人の手で飼育しても寿命は延びません。逆に、狭い檻暮らしによるストレスのために、寿命が短縮する場合もあるのかもしれません。


 興味深いのは、ゾウはあれだけ体が大きくて細胞の数も多く、寿命も長いのに、がんにはほとんどなりません。言い方を換えれば、がんにならないから長生きだとも言えます。ゾウががんにならない理由を調べた研究があります。結果として見つかったのは、先ほどのp53の遺伝子の数です。なんと20個もあることがわかりました。加えて、リフシックス(LIF6)というp53の働きをさらに助ける遺伝子もゾウにだけ存在します。


 ゾウの細胞を試験管に取り出して紫外線や放射線などを当て、DNAの傷に対する感受性(どのくらい死にやすいか)を調べた研究もあります。結果は意外なことに、DNAの傷に非常に弱いことがわかりました。つまりゾウの長生きの理由は、傷ついたDNAを持つ細胞を修復して生かすのではなく、容赦なく殺して排除する能力に長けているためと考えられます。


 老化して傷ついた細胞も同じように排除されるため、ゾウは基本的には老化症状を示さず、死ぬときには心筋梗塞などの循環器系の不具合が原因で、ピンピンコロリというわけです。結果的に、「老いたゾウ」は存在しないのです。


 私たちヒトにとって少しずつ老いていく「老化」はごく身近なものですが、自然界の生物を見渡すと、とても珍しい現象だったのです。


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精神疾患と診断された人が「薬漬け」の異常な現実、向精神薬の強制投与は過度に鎮静化させる「拘束」

2024年01月11日 16時03分12秒 | 医療のこと
精神疾患と診断された人が「薬漬け」の異常な現実、向精神薬の強制投与は過度に鎮静化させる「拘束」

本人の意思を無視した長期強制入院、病院への強制移送、身体拘束、薬漬け……、


3・22・2022

日本の精神科病院を取り巻く現状は、世界標準からかけ離れた異常な点ばかりだ。そんな日本の精神医療の抱える現実をレポートした、本連載「精神医療を問う」全15回に大幅加筆した書籍、

『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』が3月11日に当社から刊行された。 連載内では盛り込めなかった、当事者たちの切実な声から明らかになった日本の精神医療が抱える深い闇の実態を、さらにお伝えしたい。


■患者に薬を飲まない自由はないのか 

 精神科病院では、うつ病薬や睡眠薬など脳の中枢神経に作用する向精神薬が処方される。その副作用や依存で苦しむ人は多いが、患者自身へインフォームドコンセント(医療行為に関する十分な説明と患者の同意)はおろそかにされている。

  精神科病院で手足や胴体を縛る身体拘束とほぼセットで患者に投与されるのが、向精神薬だ。病院が身体拘束を行う場合は家族の同意を得る必要がある。しかし、向精神薬はたとえ大量に投与する場合でも、本人や家族に同意を求めることすらない。「病院の秩序のため」「家族のため」と言われ、患者は薬を半ば強制的に投与される。


 患者を過度に鎮静化して無抵抗にするという点で、向精神薬は身体拘束と同じだ。その意味で、向精神薬の投与は「化学的拘束」とも言われる。入院中、患者は看護師の前で薬を飲み、しっかり飲んでいるか確認される。口を開いて飲み込んでいるかまで見られることもある。 

 精神障害のある当事者と支援者で作る「YPS横浜ピアスタッフ協会」に所属する堀合研二郎さんは、「医療者側が薬物療法以外の選択肢を持っていないため、それに頼りがちになっている」と訴える。堀合さんは、20代のとき統合失調症と診断され、向精神薬の副作用に苦しんだ経験がある。


 「最低限の量と最低限の副作用で日常生活を送るのがいちばんいいが、基本的にその薬が効く場合は最大量まで増量される。そして飲まなくなったら、同じ状態になると脅される」  

堀合さんは、症状が安定していた時期にもかかわらず、医師に薬を飲んでいないという疑いをかけられ、再び入院をさせられた経験がある。「処方された薬を飲むしかないため、患者側には自由はない」と堀合さん。 

 「患者は、何かしらの心理的な要因や環境的な問題があって苦しんでいる。しかし、医師はそちらへの働きかけをしないまま、薬によって解決しようとする。副作用が出るとそれをやめて別の薬は出してくれるが、その薬にも副作用がある。医師は病気の再発を防ぐことを優先して減薬しようとしない。もっと個々人の副作用や当事者の生活に目を向けてほしい」(堀合さん)



アスペルガー症候群と診断され、10代のときから向精神薬を飲み続けている21歳の加藤詩織さん(仮名)は、薬の量を減らせないことが悩みだ。年々薬の量は増えているが、薬を飲んでも眠れない日が続き、昼頃までだるさが残る。これまで摂食障害と自傷行為で、精神科病院に3度入院した。その後、薬の量を減らしたくても減らせないという。  

飲むのを勝手にやめたときもあったが、主治医に『自分で服薬の管理ができないなら、入院して薬を飲む習慣をつけることになる』と言われた。入院はもう嫌だからまた飲むしかありません」(加藤さん)

■医師の処方にチェック機能が働かない  精神科の薬物投与は1人の医師によるもので、そこにチェック機能が働きにくい。本来ならば、薬剤師が医師の処方に対して疑問点や不明点を確認する「疑義照会」がチェック機能になるはずだ。しかし、「疑義照会は形骸化している」と複数の医師や薬剤師が口をそろえる。 

 医師がピラミッドの頂点にいる医療界では、その力関係から薬剤師が医師の処方に口を出すことははばかられるからだ。医師同士であっても、互いの処方をチェックすることはない。

 「精神科の処方は医師1人ひとりによる名人芸になりやすい。薬物治療のガイドラインすら守らない医師もいる。しかも、医療従事者と患者には情報の非対称性がある。患者は症状に苦しんでいるため、薬について調べる余力がない」(前出の堀合さん) 

 堀合さんが参加する「抗精神病薬と社会」研究会では、薬を強制しない精神医療のアプローチについて議論している。同研究会は、カナダ・ケベック州で普及している精神科治療薬を自律的に服薬するためのアプローチ「GAM」(ギャム:Gestion autonome de la medication)を研究し、それを応用した方法を当事者や研究者、医師や薬剤師が中心になって日本への導入の可能性を検討している。

■服薬の経験がトラウマに 

 同研究会の主催者の1人で、精神医学の哲学を研究する石原孝二・東京大学大学病院総合文化研究科教授は、精神医療では患者へのインフォームドコンセントが軽んじられていると指摘する。 

 「医療保護入院(本人の同意なしに強制入院させる制度)は入院の強制であって、治療の強制ではないはずだ。しかし、なぜか治療までもが強制になっている」(石原教授) 

 研究会のメンバーで、18歳のときに統合失調症と診断されたことがある大矢早智子さん(仮名)は、10年以上経ってから統合失調症ではなかったのではないかと告げられた。女性は、「当時、統合失調症と言われたことや、薬を何のために飲むのか知らされないまま飲んでいたことが、今のトラウマになっている」と話す。

 「飲みたくないと言うと、『病識がない』(自分の病気のことがわかっていない)とされてしまうことが多い。飲まなければ、病状が悪化したと見なされてしまうこともある」(大矢さん) 

 こうした医療側の論理によって、精神疾患と診断された人は薬を「飲みたくない」「減らしたい」という意思すら否定されていく。病院への収容か、処方された薬を飲むか。そこには本人の意思が置き去りにされたままだ。





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災害弱者への対応は「一刻を争う」。10日足らずで寝たきりに...現地医師からの報告

2024年01月11日 13時03分00秒 | 社会のことなど
災害弱者への対応は「一刻を争う」。10日足らずで寝たきりに...現地医師からの報告【能登半島地震】(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース 




災害弱者への対応は「一刻を争う」。10日足らずで寝たきりに...現地医師からの報告【能登半島地震】
1/11(木) 12:12配信


ハフポスト日本版
石川県七尾市の避難所に身を寄せる人たち=2024年1月3日


最大震度7を観測した能登半島地震で、石川県は1月10日、災害関連死(震災後に災害による負傷の悪化または身体的負担による疾病のため死亡したと思われる死者数で、市町が判断したもの)を8人と発表した。


【画像】JRATの活動


2万6000人あまりが避難生活を送る中、災害から助かった命が危険にさらされている。


被災地で災害関連死を防ごうと活動する現地医師が、ハフポスト日本版の電話インタビューに答えた。


「この1週間で、どんどん悪化している。要介護でなんとか歩けていたのに、避難所で動かずにいたことで、寝たきりになってしまった人もいる。一刻を争う適切な対応が必要だ」。石川県内灘町の金沢医科大学病院リハビリテーションセンターの医師、松下功さんは被災地の窮状を語る。


松下さんは、高齢者や障害のある人など、災害弱者の災害関連死などを防ぐため、東日本大震災をきっかけに組織された「JRAT」(日本災害リハビリテーション支援協会)石川支部で2日から被災者救援の活動を開始、現地対策本部で指揮にあたっている。


JRATでは、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らがチームを組み、避難所を回る。


高齢者が静脈血栓症にならないような体操や、低体温症の予防策、摂食・嚥下などについて、被災者の状態を見ながら指導している。


水が不足する中、誤嚥性肺炎を予防するには、ウェットティッシュで口の中を拭くなどして口腔内を清潔に保つこと、血栓症予防のため、狭い場所では足首を動かすことが有効という。


生活の不活発化を防ぎ、高齢者らが自分で動く力を失わないよう、避難所の環境も調べ、車椅子や杖などの福祉用具や簡易ベッドの手すり、段差のスローブなどの必要性について、市町の担当者に情報を伝えている。


9日にはリハビリテーション科専門医と理学療法士のチームが七尾市と穴水町の計10カ所を訪ねた。避難していた被災者の数は10人から300人(夜間は600人)まで、避難所の規模はさまざまで、被災直後には要介護3程度だった人が、全く動けなくなっていたケースもあったという。車中泊の人も多く、JRATでは血栓症予防に弾性ストッキングの配布も検討している。


穴水町の避難所では、複数人が新型コロナに感染しており、JRATのメンバーは感染症対策をしながら対応にあたった。


松下さんは「能登半島は、高齢化率が非常に高い地域。特殊な地形のため、救援に向かう陸路が限られている上に、その道が寸断されている。雪が降り積もり体温を奪う季節に、感染症が追い打ちをかける。非常に厳しい状況だ」と話す。余震も続いており、ハフポスト日本版の取材中にも強い揺れがあった。


石川県は10日、災害関連死を8人と発表した。松下さんは「地震で助かった、とそれだけで安心してはいけない」という。「災害弱者の状態が悪化するのは、あっという間です。このままでは日ごとに寝たきりになる人や死亡する人が増える。僕たちは助かった命を守り、平時の状態に戻さなければいけない」。


長引く避難生活による心身機能の低下や災害関連死の危険は、今後さらに増えていく。JRATでは、応急対応としてのリハビリだけでなく、避難所での生活不活発病予防、地域生活の自立へと、段階を踏み、息の長い支援を続けていく予定だ。


七尾市から穴水町まで、通常40分で行けるところが倍の1時間20分かかる。珠洲市や能登町など、甚大な被害のあった地域へは日帰りできないため、中継する前線基地をつくろうと計画をしている。


人手は全く足りていない。JRATでは全国の医療従事者に向けて、参加を呼びかけている。問い合わせはJRAT(https://www.jrat.jp/contact.html)へ

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