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新兵がチャンと敵兵を殺せるように訓練すること>なかなか難しいようです

2024年03月31日 15時05分48秒 | 天候のこと

人殺しはどれくらい難しいか? (2007年12月18日)

>どのように訓練されても、どのような大義名分があったとしても、直接的な怨みも何もない人間、自分と同じように親子・兄弟・友人に囲まれて生き、休日には家族そろって出かけ、いつかは年老いてこの世を去るであろう一人の人間を、われわれは心情的に殺せないのである




第二次世界大戦中、日本軍・ドイツ軍と戦った米兵のライフル銃兵のうち、実際に敵に向かって発砲したのは全体の15~20パーセントに過ぎなかった。残りの8割は引き金さえ引かなかったか、故意に目標をそらして発砲した。にわかには信じがたい事実だが、この数字が示す「戦わない兵士の多さ」は、ナポレオン戦争や南北戦争ほか古今東西の戦いを通じて観察される事象だという。

極端な例では兵士の練達度、銃の性能から推定される殺傷能力の100分の1程度しか軍隊としての能力が発揮されていない。射撃練習用の標的とは違い、生きて呼吸をしている敵に相対すると、ほとんどの兵士は相手に向けて発砲できないのである。デーブ・グロスマン著『戦争における「人殺し」の心理学』は、戦争の前線においてさえ、殺人という行為がわれわれにとっていかに困難なものであるか、また国や軍隊がいかにしてこれを可能にし効率的に行わせようとしているかを、過去の研究成果とインタビューの結果を元に説いている。


戦闘直後のイスラエル軍兵士に対する調査において「何が一番恐ろしかったか」という問いに対して、「死ぬこと」「負傷すること」よりも「ほかの人間を死なせることという答えの比重が高かった。

これに対し戦闘体験のないスウェーデンの平和維持群の回答の多くは「死と負傷」だった。これは戦場が決して想像できない場所であることをわれわれに教えてくれる。アクション映画やサスペンスドラマでは(そこが戦場でなくとも)いとも簡単に人が殺したり殺されたりている。われわれ非戦闘体験者は、軍隊に入って訓練を積み前線に送られれば、敵に殺されるのが怖いし、またその怖さから敵に出会えば誰でも敵を殺傷できると思いがちだ。しかし実際はその逆である。兵士にとっては「殺される恐怖」より「殺す恐怖」「失敗する恐怖」の方が重荷なのである。


戦争における殺人に対する拒否反応を軽減する要素・方法はいくつかある。相手との物理的距離(遠いほど殺人が可能になりトラウマにもなりにくい)、集団との自己同一化(心理的つながりが強いほど殺人が行われやすい)、権威者の要求(同左)など。また、心理的なものには文化的・倫理的・社会的・機械的距離が関係する。

「あいつらは畜生以下だ」「これは復讐だ」という思い込みや刷り込み。画面モニターや暗視装置など人間をゲーム感覚で殺傷できる機器の発達など。


また、第二次世界大戦後「戦わない兵士」を戦わせるための訓練方法が確立したという。脱感作とオペラント条件付けだ。脱感作とはもともとアレルギーの原因物質を少量注射して過敏性をなくす治療法だ。たとえば訓練の過程で兵士たちは「殺せ、殺せ」と連呼しながら走らされる。他にもあの手この手で敵の痛みに対して慣れ、鈍感になるよう作り変えられる。オペラント条件付けは飴とムチによる矯正方法といえる。射撃演習において実際の人間そっくりの的を効率よく倒すと、報酬が与えられ、顕彰される。逆に失敗すると軽い刑罰が与えられるなど。

これらの現代的プログラムを導入した軍隊の殺傷能力は飛躍的に向上している。ベトナム戦争では兵士の発砲率は90パーセントを超えた。しかし、どのように訓練されても、どのような大義名分があったとしても、直接的な怨みも何もない人間、自分と同じように親子・兄弟・友人に囲まれて生き、休日には家族そろって出かけ、いつかは年老いてこの世を去るであろう一人の人間を、われわれは心情的に殺せないのである。そして、もし殺した場合にはその経験は深いトラウマとなり、その克服に残りの人生の多くの部分、あるいは全てを費やす事になる。


私は四五[口径]を持っていた。それをぶっ放したとき、相手の銃剣の切っ先はいまのあなたと私ほども離れていなかった。すべて片づいたあと、情報収集のためその兵士の遺体の調査を手伝いました。それで写真を見つけたんですよ。―中略― 細君と、ふたりのかわいい子供が写っていました。それ以来 ―中略― 頭について離れんのですよ。あのかわいい子供たちは父親なしで育ったんだ、それというのも私が殺してしまったからだと。私はもう若くはない。まもなく自分の所業について神に申し開きをせねばならんのです(第二次世界大戦中南太平洋で日本兵を撃ち殺した退役軍人の話より p.262)


この本は戦争反対を主張するものではないし、逆に軍事行為の正統性を主張するものではない。戦場という異常な環境に置かれた人間の心理を冷静に収集・分析することで、戦争がいかなる行為であるかをわれわれに考えさせる。ベトナム戦争後半から終結時にアメリカ世論が反戦一色になった際、帰還兵はパレードで歓迎されるどころか、人々に(実際に)唾を吐きかけられた。戦地のトラウマを引きずり自らの人間性を否定する泥沼の精神的状態にあった兵隊たちに対し、歓迎と受容と励ましで自己肯定を与え彼らを救う事ができたはずの国民。その国民のむごい仕打ちは彼らのその後の人生を破壊し、それにより少なくとも50万人のベトナム帰還兵がPTSDに苦しむことになった。著者はその責任を政府・国民に問うている。言葉は冷静だが糾弾と言っていいだろう。


私は崖を飛びおり、死にかかっている男に駆け寄った。助けたかったのか、とどめを刺すつもりだったのか、よくわからない。なぜかわからないが、見ておかなければならないという気がしたのだ。どんなやつで、どんなふうに死んでゆくのか。 ―中略― 聞こえるのは、死んだ男の血が泡立ちながら地面にしみこんで行くかすかな音だけだ。目は開いたままだった。まだ幼さの残る顔。何だかひどく穏やかな表情だった。こいつの戦争は終わったのだ。だが、私の戦争は始まったばかりだった。傷口からどくどくと流れ出る血が、死体のまわりに黒っぽく丸いしみを広げてゆく。こいつが生命を失くしたように、おれは永遠に無垢を失くしたんだと思った。こうして私ははるばるベトナムにやって来たのだった。立ち去る日が来るのかどうか分からなかった。いまもわからない。小隊の残りがその高台に到着したとき、私は焚き火の側面に茂みを見つけて、そこで激しく吐いた。(スティーブ・バンコ「駆け出し歩兵、無垢の喪失」より p.452)


この本は文庫本にして500ページある。過去の発表をまとめきれずに重複している記述も多いが、飛ばし読みをさせない情熱と勇気、冷静さと気迫に満ちており、真摯な態度には襟を正される思いがする。唯一、締めくくりの章で、現代アメリカの犯罪・社会的病巣とシューティングゲームや暴力的な映画を関連づける試みは科学的論拠に裏付けが乏しく、少々強引に感じさせた。それが残念だ。

デーブ・グロスマン/著 安原和見/訳 『戦争における「人殺し」の心理学』(筑摩書房 2004)[b Cg/Ku8/1] (原書 “On killing: the psychological cost of learning to kill in war and society.”)

追記(2008年5月17日)

先日、内村鑑三著『よろづ短言』の中に戦場の兵士に関する以下の一節を見つけたので追記しておく。

露國兵卒の述懐:露國兵卒の一人、曾て露土戦争に出て土國兵卒の一人を銃殺し、彼れ亦傷を負ふて其傍に仆る、幾干もなくして彼れ看護卒の發見する處となり、擔かれて味方の陣に歸り、終に聖彼得堡の病院に輸送さる、病床に在て彼れ感覺を回復するや、頻りに彼の殺せし土國の兵卒の事を思ふて歇まず、彼の傍に在りし人々に告げて曰く「余は余が銃劒を以て刺殺せしかの土國の靑年に對して何の怨恨をも抱かず、彼れ亦余に對して何の怨恨あるなし、然るに余は露國人にして彼は土耳古人なりしが故に、我等徴せられて戦場に出て、劒を以て相争ひ、彼は余を傷つけ、余は彼を殺したり、想へば何の理由ありて余はかの好個の靑年を殺せし乎を知らず、若し戦場以外に於て余彼れと遭遇せん乎、我等両人は最も好き友人となりしならん嗚呼忌むべきは戦争なるかな、余の傷平癒する後は余は終生戦争の廢止を唱へて歇まざるべし」と、知らず同一の感を懐く者は遼東の野に支那人を刺殺せし我が兵卒の中にも有るや無きや。(内村鑑三『よろづ短言』より p.396)




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ソメイヨシノ、やっと、咲き始めました

2024年03月31日 13時05分00秒 | 日々の出来事
まだ、咲き始めのソメイヨシノですね⭐


3・30・2024
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春の陽光です

2024年03月31日 08時06分15秒 | 日々の出来事
風は冷たいですが、河面には春の日差しですね⭐
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ソメイヨシノが咲きました❗

2024年03月31日 06時05分38秒 | 日々の出来事
櫻の開花です❗春がきますね☀️



3・19・2023
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衆院東京15区補選は情勢混沌、小池氏支援候補に自民対応未定…立民は新人擁立へ

2024年03月31日 03時05分33秒 | 政治のこと


衆院東京15区補選は情勢混沌、小池氏支援候補に自民対応未定…立民は新人擁立へ
3/30(土) 8:52配信




読売新聞オンライン
(写真:読売新聞)


 衆院東京15区補欠選挙(4月16日告示、同28日投開票)を巡る情勢が混沌(こんとん)としている。自民党は、小池百合子東京都知事との連携で「不戦敗」を避けたい考えだが、小池氏側が擁立する候補者の支援のあり方が定まっていない。野党各党も対応が割れている。


 補選は柿沢未途・前法務副大臣(自民を離党)の議員辞職に伴い実施される。地域政党「都民ファーストの会」特別顧問を務める小池氏は、29日の定例記者会見で作家の乙(おと)武(たけ)洋(ひろ)匡(ただ)氏(47)の出馬を明らかにし、「日本のゲームチェンジを担っていくにふさわしい方だ。私もお声がけした」と述べた。都民ファが国政進出を目指して設立した「ファーストの会」は同日、乙武氏が同会の副代表に就任したと発表した。


 乙武氏の出馬方針を受け、自民都連会長の萩生田光一・前政調会長はこの日、党本部で小渕優子選挙対策委員長、茂木幹事長と相次ぎ会談し、対応を協議した。


 自民は公認候補の擁立を見送り、小池氏と連携する方策を模索してきた。「政治とカネ」を巡る逆風を踏まえ、小池氏の集票力に期待しているからだ。自民の本音は、自民以外の公認候補者を推薦する形は避けたいというものだ。このため、自民内では「乙武氏が無所属ならば相乗り可能だ」(幹部)との見方が多い。公明は基本的に自民と共同歩調を取る構えだ。


 乙武氏を巡っては、自民が2016年参院選で公認候補とすることを検討した。しかし、週刊誌で女性問題が報じられ、擁立を見送った。自民内からは「女性問題がネックにならなければいいが」(閣僚経験者)と指摘する声が出ている


 野党の足並みもそろっていない。


 国民民主党は22年参院選で都民ファと連携した。榛葉幹事長は29日の記者会見で、乙武氏について、「オファーがあれば全面的に応援する方向で最終調整している」と述べた。


 日本維新の会は新人の金沢結衣氏(33)を擁立する。東京で初となる衆院小選挙区選出議員を誕生させ、党勢拡大の足がかりとしたい考えだ。共産党も新人の小堤東氏(34)の擁立を発表している。


立民、新人擁立へ
 立憲民主党は、衆院東京15区補欠選挙で、前江東区議の酒井菜摘氏(37)を擁立する方向で調整に入った。複数の党関係者が29日、明らかにした。酒井氏は、昨年12月の同区長選に無所属で立候補して落選した。区長選では、立民、共産、れいわ新選組、社民の各党から支援を受けた。




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