(「河北新報」令和5年3月20日付記事より引用)
家族相談、関係機関と連絡調整
23年度完了へ 人材育成が課題
常的に人工呼吸器やたんの吸引などが必要な子どもである「医療的ケア児」に関し、家族の相談に応じたり、関係機関との連絡調整に当たったりする支援センターが2023年度に全都道府県での整備を完了する見通しになったことが19日、分かった。群馬、大阪といった未設置の7府県が23年度当初予算案に関連経費を計上するなどした。孤立しがちな親子を地域で支える体制づくりの第一歩で、今後は市区町村との連携や専門人材の育成が鍵となる。
厚生労働省によると、自宅で暮らすケア児(O~19歳)は全国で約2万人と推計される。医療技術の進歩に伴って新生児の救命率が向上し、約10年間で2倍に増えた。
ケア児は新生児集中治療室(NICU)などに長期入院した後、自宅での生活に移る。24時間付きっきりになる家族の負担は大きく、緊急時の対応方法や、復職するために預けられる施設があるかどうかを尋ねたくても相談先がわからず、自治体の窓口をたらい回しにされることがあった。
21年施行のケア児支援法は、センターをワンストップの相談窓口として位置付けた。医療機関や社会福祉法人といった施設に開設するケースが多く、専門知識のある看護師らが対応。市区町村や学校、病院と連携して支援体制を整える。
各都道府県によると、今年2月までに40都道府県がセンターを設置。残りの群馬、滋賀、大阪、和歌山、広島、鹿児島、沖縄の7府県のうち、和歌山を除く6
府県が整備に向けた経費を23年度当初予算案に盛り込んだ。和歌山は23年度中に県庁内に担当職員を置き、センター機能を持たせる方向で準備を進める。
一方、市区町村ごとの支援の取り組みには地域差がある。保育施設や学校の受け入れ体制を強化するため、医療的ケアを担える職員の確保が課題となってい
る。
中核的役割活動手探り
都道府県が設置している「医療的ケア児支援センタ-」は、保護者らの相談対応に加え、複数の施設にまたがるサポートの調整、人材育成など中核的な役割が期待されている。空白地帯だった7府県でも2023年度中に整備される見通しとなり、全国の支援体制がようやく整うものの、活動は始まったばかりで手探りの状態だ。
19年度の厚生労働省調査によると、家族の約4割が「ケア児から5分以上、目を雕せない」と回答。昼夜を通してケアが必要で、7割以上が睡眠不足に陥ったり、将来への強い不安を感じたりしていた。
一方で、支援体制の構築は途上にある。厚労省が昨年8月、設置済みのセンターを対象に調べたところ、管内全体のケア児への支援状況を把握しているのは6割、関係機関の職員に研修を実施しているのは4割にとどまった。
三重県はセンターを8ヵ所、愛知県は7ヵ所設置している。しかし、大半はI力所のみで、利用者からは「広い地域をカバーできない」との声も出ている。
家族相談、関係機関と連絡調整
23年度完了へ 人材育成が課題
常的に人工呼吸器やたんの吸引などが必要な子どもである「医療的ケア児」に関し、家族の相談に応じたり、関係機関との連絡調整に当たったりする支援センターが2023年度に全都道府県での整備を完了する見通しになったことが19日、分かった。群馬、大阪といった未設置の7府県が23年度当初予算案に関連経費を計上するなどした。孤立しがちな親子を地域で支える体制づくりの第一歩で、今後は市区町村との連携や専門人材の育成が鍵となる。
厚生労働省によると、自宅で暮らすケア児(O~19歳)は全国で約2万人と推計される。医療技術の進歩に伴って新生児の救命率が向上し、約10年間で2倍に増えた。
ケア児は新生児集中治療室(NICU)などに長期入院した後、自宅での生活に移る。24時間付きっきりになる家族の負担は大きく、緊急時の対応方法や、復職するために預けられる施設があるかどうかを尋ねたくても相談先がわからず、自治体の窓口をたらい回しにされることがあった。
21年施行のケア児支援法は、センターをワンストップの相談窓口として位置付けた。医療機関や社会福祉法人といった施設に開設するケースが多く、専門知識のある看護師らが対応。市区町村や学校、病院と連携して支援体制を整える。
各都道府県によると、今年2月までに40都道府県がセンターを設置。残りの群馬、滋賀、大阪、和歌山、広島、鹿児島、沖縄の7府県のうち、和歌山を除く6
府県が整備に向けた経費を23年度当初予算案に盛り込んだ。和歌山は23年度中に県庁内に担当職員を置き、センター機能を持たせる方向で準備を進める。
一方、市区町村ごとの支援の取り組みには地域差がある。保育施設や学校の受け入れ体制を強化するため、医療的ケアを担える職員の確保が課題となってい
る。
中核的役割活動手探り
都道府県が設置している「医療的ケア児支援センタ-」は、保護者らの相談対応に加え、複数の施設にまたがるサポートの調整、人材育成など中核的な役割が期待されている。空白地帯だった7府県でも2023年度中に整備される見通しとなり、全国の支援体制がようやく整うものの、活動は始まったばかりで手探りの状態だ。
19年度の厚生労働省調査によると、家族の約4割が「ケア児から5分以上、目を雕せない」と回答。昼夜を通してケアが必要で、7割以上が睡眠不足に陥ったり、将来への強い不安を感じたりしていた。
一方で、支援体制の構築は途上にある。厚労省が昨年8月、設置済みのセンターを対象に調べたところ、管内全体のケア児への支援状況を把握しているのは6割、関係機関の職員に研修を実施しているのは4割にとどまった。
三重県はセンターを8ヵ所、愛知県は7ヵ所設置している。しかし、大半はI力所のみで、利用者からは「広い地域をカバーできない」との声も出ている。