ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

三十路記念の旅 西と南の果てへ その2

2024-01-24 00:35:09 | 旅行(道外)2020~
1日目 正午 ~最果て航路~



成田空港を出発して約4時間、飛行機は石垣空港へと無事に着陸した。
新千歳空港と比較するとかなり小ぶりだが、小奇麗な空港である。
到着ゲートでは「お~りと~り(いらっしゃいませ)八重山へ」の横断幕が歓迎してくれ嬉しい。


幸いにも天候に恵まれた沖縄初日、飛行機を降りた直後から強い日差しと暖かさを感じていたが、少し屋外へ出てみると驚いた。なんと暖かいこと!
先ほど飛行機内のアナウンスにあったが気温は23度あるらしい。
北国丸出しの厚着が恥ずかしくなり、さっそくジャンパーを脱ぐ。
南国の草木がそよ風に揺れ、北海道の初夏の香りがする。


空港1階ロビーは開放的なフードコートのようになっており、沖縄料理の店舗がずらり。ちょうどお昼時なので、八重山そばの店で「アーサと海ブドウそば」を注文した。
アーサはあおさの事。海ブドウは沖縄の修学旅行で特に感動した食べ物なので迷わず選んだ。
鼻に抜ける磯の香りがよい。

沖縄のそばは小麦粉100%にかん水を加える調理方法で、白色で柔らかくほぼ中華めん。私は普段のそばの方が好きだな……。
カウンターに置いてある調味料(からし?)には何やら柿の種のようなものがプカプカ浮いている。
見た事のない食べ物がいっぱいあるな。
早くも観光客気分全開である。


ようやく石垣島まで南下してきたが、この後はもう1本飛行機を乗り継ぎ、今日じゅうに与那国島へ上陸してしまおうと思う。
石垣空港からはJAL系列のRAC(琉球エアコミューター)の片道30分程度の直行便が1日3便ほど出ている。

憧れの与那国島への上陸、当初はへき地感を味わいたく石垣港からのフェリー上陸を考えたのだが、先述したようにこのフェリーは黒潮の流れに逆らって航行するために「ゲロ船」と呼ばれるほど揺れが激しい(トイレに嘔吐専用の流しが増設されているらしい)。
そんな船に3~4時間も揺られるのはごめんだし、そもそも日程が限られているのであまり移動に時間はかけられなかった。
もっとも、与那国島へ渡る観光客は9割以上が飛行機とのことだ。

搭乗時間の午後3時ごろまで、ロビーで手に入れた八重山諸島のガイドブックを読むなどして休憩スペースで待機。冷房が気持ちよかった。



出発時刻が近づき、2階の出発口へ向かうべくエスカレーターを上ると、なんとびっくり。私が今回目指している波照間島の「日本最南端の碑」のパネルが真正面に飛び込んできた。
やっぱりここはどうしても行きたいなぁ。
フェリーの欠航が心配なルートなので行けるかの確約はまだ出来ない。風景がなおさら魅力的に映る。


普段はLCC(格安航空)ばかり利用しているのでJAL系列は何年ぶりか分からない。
慣れない搭乗手続きを無事に終え、ターミナルの一番端の搭乗ゲートへ。
ようやく現れた行き先「与那国」の表記に心が躍る。ついにあの島へ渡れるのだ。



午後3時20分発、RAC745便。
利用者数の少ない与那国航路は「プロペラ機」と聞いていたのだが、滑走路を歩いた先に見えてきた機体は予想以上に小ぶりであった。
こんなに小さな飛行機に乗るのは初めてだ。少し緊張。


搭乗口の待合スペースにも人はまばらだったのだが、4列×10列少々の小さな機体には20人も乗っていなかったのではないだろうか。
乗客はいかにもな「島のおばぁ」というような地元の人が一部と、あとは私のような放浪旅人といったところか。

今回はあえてプロペラの真横の窓側席を取ったのだが、離陸準備が整いプロペラが回り始めると予想以上の轟音で凄い迫力だ。
どのような挙動で離陸するのか全く分からなかったのでそれも恐怖だったのだが、何のことはない、普段の旅客機と同じように滑走路で助走をつけてあっという間の離陸だった。





石垣島の濃い緑とサンゴ礁の海はあっという間に彼方へ消え、窓から見えるのはやはり海の青一色。
途中、透き通った水色に囲まれた島が見えたが、あれは同じ八重山諸島の鳩間島か。

午後3時20分発、同55分着の与那国航路は離陸後のベルト着用サインが消えてから5分もしないうちに着陸態勢に入る。
1人しかいないCAさんは軽い巡回と案内を終えるとすぐに着席した。



飛行機はプロペラ音を響かせながら大きく旋回し、西日の向こうに徐々に与那国の島影が見えてきた。
はるか上空から見下ろしたそれは「絶海の孤島」と呼ぶにふさわしい姿であった。
私はなにやら恐竜の島を偵察するあの映画の研究者のような気持ちになっていた。

予想以上に緑が多く起伏のある島だ。明日は自転車で島内を一周する予定だが、大丈夫だろうか。




午後3時55分、無事に飛行機は与那国空港へと着陸した。
ついに与那国島への上陸を果たしたのだ。
相当小さい空港だが、ここが島の玄関口。まばらな乗客は皆徒歩で到着ゲートへ向かう。


石垣便と那覇便のみが就航する日本最西端の与那国空港は、飛行場とは思えぬ静かな空気が流れていた。
小さなロビーにはお土産屋さんが4店舗ほどある。
先ほど機内の案内で島内専用のクーポンがあると知り、売店で申請して10枚ほどの束をもらった。ありがたい。

今日はこれから泊まる民宿のおじさんが空港まで迎えに来てくれているはずだが、あちこち探し回るもそれらしき姿は見当たらない。おかしいな……。

次回!宿に旅人集う。
続く。