おかしな夜

前にもどこぞで書きましたが、僕の勤め先は国立公園内の敷地内にあります。そしてちょと隣にリゾートホテルみたいなのが建っていたりします。

さて、そんな風な職場からウチへ帰るべく、車で家路を急いでいたところ途中で不思議な集団をみかけました。10人ぐらいの人らがゾロゾロ歩いてはるんですわ。ホント、”なんでこんな時間帯にこんなところを？！”と思ってしまうようなシチュエイションなんですけど、ゾロゾロ歩いとったんです。
ちょっと気色悪かったんですけど、なんせこっちは家路を急ぐ身です、じんじゃーまんばりのことなかれっぷりで華麗に車でスルーを決め込みました。そのまま坂を下って30秒も走ったでしょうか？！今度はなんとハーネスがついているんだけど引き綱がついていない柴犬が佇んどるやないですか！！
端的に申し上げて、僕は犬の味方です。気に食わん人よりか犬のほうが好きなぐらいです。一頭で困っとる犬をほっちらかしにしてスルーするやなんて到底僕にはできないことなのです。そして僕はピーンっきました！！さっきの人らはこの犬に逃げられて探しとるに違いあらへん、っとです。
そうとなれば、なんとか犬を車に乗してさっきの人らのとこへ舞い戻れば良いわけですが、さすがは柴犬！！尻尾をふってお愛想はするものの抱えて車にのせようとすると踏ん張ってグルルル唸り出します。
ショーガないので犬はその場においておいて、事情を話すべくさっきの人らのところへ車で戻ることにしました。っで、さっきの人らは相変わらずゾロゾロしてはりました。さっきはスルーして気づかんかったですけど、3世代2家族構成みたいな感じです。まぁ、そんなんどうでもええんですけど、”ひょっとして犬探してはれへんですか？！”的な質問をブツけたところ、帰ってきた答えが日本語やありませんでした。たぶん中国語です。ビビリました、僕ホンマにいわゆるボートピーポーちゃうか思たんですわ。
せやけど、妙に明るいオッサンですし、逃げたり、僕をしばこうとしたりする様子もありません。なんとなくオッサンの身振り手振りと表情で”ワシらはあっちのリゾートホテルに泊まっとんやけど、チコっと散歩でブラブラしてんねや、犬なんか知らん知らん知らんでえ”と言っているに違いないと思えてきました。
そんなわけで、僕は”ウィ、ムッシューでアリーヴェデルチで再見でんなぁ”だかなんだかの雰囲気でそそくさとその場を立ち去りました。

そして30秒ほど走ったポイントにいるはずの柴犬は忽然と姿を消してやがりました。そういえば、犬にしてはビミョーに尻尾がぶっとかったような気がせんでもありません。
ひょっとしたらキツネやったんかもしれんですわネ。まったくおかしな夜やで、っといったところです。