
歌論 無名抄 無名大將事
九條殿未だ右大臣と申しし時、人/\に百首の哥よませさせ給ふ事侍き。 其度いみじき人々僻事よみて、果には異名さへ付き給ひにき。近くの德大寺左大臣は、無...

歌論 無名抄 せみのを川事
光行賀茂社の哥合とて侍りし時、予、月の哥に石川やせみのを川の清ければ月も流れを尋ねてぞ...

歌論 無名抄 千鳥鶴毛衣事
俊惠法師が家を哥林苑と名付けて、月毎に會し侍りしに、祐盛法師其會衆にて、寒夜千鳥と云...

歌論 無名抄 井手款冬蛙事
或人云 ことの縁ありて、井手と云ふ所にまかりて一宿つかうまつりたること侍りき。所の有...

歌論 無名抄 業平家事
又、業平中將の家は、三條坊門よりは南、高倉面に近くまで侍りき。 柱なども常のにも似ず、ちまき柱といふ物にて侍けるを、いつ比の人の仕業にか、後に例の柱のやうに削りなしてなん侍し...

歌論 無名抄 関明神事
關明神事 逢坂の關の明神と申すは、昔の蝉丸なり。 彼の藁屋の跡を失はずして、そこに...

歌論 無名抄 中將垣内事
無名抄 河内國高安の郡に在中將の通ひ住みける由は、彼の伊勢物語に侍り。 されど、其跡は...

歌論 無名抄 人丸墓事
人丸の墓は大和國に有り。初瀬へ參る道なり。人丸の墓といひて尋ぬるには、知れる人もなし...

歌論 無名抄 三位入道基俊成弟子事
五條三位入道談云 そのかみ年廿五なりし時、基俊の弟子にならんとて、和泉の前司入道道經...

歌論 無名抄 腰句手文字事
又、云、 雲居寺の聖の許にて、秋の暮れの心を、俊頼朝臣、 明けぬとも猶秋風の訪れて野...