歌論 無名抄 とこねの事
或人云ある哥合に五月雨の哥にこやのとこねも うきぬべきかなとよめりしかあるを清輔朝臣 判者にてとこねといふ事きゝよからずとて まけたり。このみちのはかせな...
歌論 無名抄 頼実数寄
頼實ガスキノ事 左衛門尉蔵人頼實はいみじきすき物なり。和哥 に心ざしふかくて五年が命をたてまつらん。 秀哥よませ給へとすみよしにいのり申けり。 そのゝち年へ...
歌論 無名抄 為仲宮城野萩
為仲ミヤギノヽ萩ヲホリテノボル事 この為仲任はてゝのぼりける時みやぎ野の 萩をほりとりてながひつ十二合に入てもて のぼりければ人あまねくきゝて京へい...
歌論 無名抄 あさりいさり差別事
アサリイサリノ差別 或人云あさりといひいさりといふは同事也。 それにとりてあしたにするをばあさりと なつはゆふべにするをばいさりといへり。東の あまの口仗也云々。まこと...
歌論 無名抄 諸浪名事
諸浪名 なみの名はあまたあり。のりつな入道がいひけるとて 人のかたりしはおなみさなみさゝらなみはうのてか へしはまならしといふみなこれなみの名也。と いひけれどい...
歌論 無名抄 仮名序事
假名筆 古人云かなに物かくことは哥の序は古今のかなの 序を本とす。日記はおほかゞみのことざまをならふ。 和哥のことばゝ伊勢物がたりならびに後撰の 哥のことばをまね...
歌論 無名抄 式部赤染勝劣事
式部赤染勝劣事 或人云俊頼の髄脳に定頼中納言公任大納言に しきぶあかぞめとがをとりまさりをとはる。大納言 いはく式部はこやとも人をいふべきにとよめる物なり。 ひとつ口にいふべから...
歌論 無名抄 俊成清輔判偏頗事
俊成清輔哥判有偏頗事 顕昭云この比の和哥の判は俊成卿清輔朝臣さう なきこと也。しかあるをともに偏頗ある判者なる にとりてそのやうのかはりたるなり。俊...
歌論 無名抄 近年會狼藉事
近代會狼藉事 この比人/\の會につらなりて見ればまづ會所の しつらひよりはじめて人の装束のうちとけたる さまをの/\がけしきありさまみだれがはしき事 ...
歌論 無名抄 清輔宏才事
清輔弘才事 勝命云清輔朝臣哥のかたの弘才はかたならぶ人 なし。いまだよもみおよばれじとおぼゆることをわざい とかまへてもとめいでゝたづぬればみなもとより...