おなじたびの百首に、伊豆守仲綱の哥に「ならはしがほ」などよみたりしをば大貮入道聞て かやうのことばなどよまんひとをば、百千の秀哥よみたりとも、いかヾ哥よみといはん。無下にうたてき事也。 とこそ申されけれ。 是等は皆人に見せあはせぬあやまりどもなり。 ※同じ度の百百首 安元元年右大臣家兼実百首。治承二年の兼実百首とは異なる。 ※仲綱 源頼政男。宇治平等院合戦で戦死。 ※ならはしがお 淋しさはかねて降りにし山里にならはし顔の今朝の初雪 ※大貮入道 藤原重家。兼輔男。