式子 はつ雪
内親王 しろし
さむしろの 岳
夜半の衣で のべの
さへ/\て まつ
新古今和歌集巻第六 冬歌
百首歌に
式子内親王
さむしろの夜半のころも手さえさえて初雪しろし岡のべの松
よみ:さむしろのよわのころもでさえさえてはつゆきしろしおかのべのまつ 定隆 隠
意味:昨夜の独り寝の片敷いた狭筵の夜着の袖が冴え冴えていると思ったら、初雪で岡の辺りの松が白くなっている。
備考:正治二年後鳥羽院初度御百首歌。久保田淳「白氏長慶集第六 冬夜」の本文取り説。参考歌 さむしろに衣片敷き今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫(古今集恋四 よみ人知らず)。狭筵と寒しの掛詞。
白氏長慶集第六 冬夜
家貧親愛㪚 家貧じて親愛㪚ず
身病交遊罷 身病て交遊罷ふ
眼前無一人 眼前に一人無く
獨掩村齋卧 独村斎掩て卧す
冷落燈火闇 冷落して燈火闇く
離披簾幕破 離披して簾幕破る
策策䆫戸前 窓戸の前に策を策ついて
又聞新雪下 又新雪の下るを聞く
長年漸省睡 長年漸く睡を省て
夜半起端坐 夜半に起て端坐す
不學坐忘心 坐忘の心を学ざれば
寂寞安可過 寂寞安んず過すべき
兀然身寄世 兀然として身を世に寄せて
浩然心委化 浩然として心化に委す
如此來四年 此の如くしてこのかた四年
一千三百夜 一千三百夜なり。
令和5年7月13日 神保 壱