龍 田
四番目物 夜神楽物 金春禅竹?
全国に経を納める聖が奈良から竜田川の岸辺に到着して明神参詣のため川を渡ろうとすると巫女が現われ、藤原家隆の歌(竜田川紅葉葉閉づる薄氷渡らばそれと中や絶えなむ)を引用して制止する。そして明神への案内をして、紅葉が神木だと教え、社壇の中に消える。近くの者から龍田明神の謂れを聞き、お告げを待つ間に龍田姫の神霊が現われ、国家鎮護の天瓊矛の守護神の龍祭の神が龍田明神だと語り、神楽を奏で、昇天していく。
ワキ・ワキヅレ 教への道も秋津國、教への道も秋津國、數有法を納めむ。
ワキ 是は六十餘州に御經を納むる聖にて候、われ此程は南都に候ひて、霊佛霊社殘りなく拝み巡りて候、又是より龍田越にかかり、河内
國へと急候。
ワキ・ワキヅレ 古き名の、奈良の都を立出て、奈良の都を立出て、有明殘る雲間の、西の大寺を餘所に見て、はや暮過ぎし秋篠や、外山の紅葉名に殘る、龍田の河に着にけり、竜田の河に着にけり。
ワキ 急候程に、是ははや竜田河に着きて候、此川を渡り明神に參らばやと思ひ候
秋篠や外山の
巻第六 冬歌 585 西行法師 題しらず
秋篠やとやまの里やしぐるらむ生駒のたけに雲のかかれる