かぐ山
天の
てふ
ほす
衣
白妙の
けらし
夏きに
春過て
持統天皇
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○持統天皇
ぢどうとにごり
てよむなり
女帝也御母は越
智姫大臣蘇我
山田石川丸女なり
天智天皇第二の
皇女天武天皇の
后なり草壁皇
子母后なり在位
十一年都は大和國
高原郡藤原の
都なり
大宝二年十二月十
日に崩御した
給ふなり
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此哥の心は卯月朔日衣がへの御哥也
春三月は霞たる山の今日はや霞
はれて雲のなく白/\とさながら夏衣
をも干したるごとくに見ゆる昔此山へ
天人衣をかけほしたるゆへかぐ山とは
よめり新古今の夏の部の巻頭
に入たりいせ物がたりに露とこたへ
てきえなましものをといふにつき
てあいじやうの部に入たりいづれも
よく見て入たり部立にわけて○る
べきの集といふはかくのごとくのこと
なるべし
○李注に曰たゞ夏といふよりも春
すぎて夏来といへば首夏の
次第なり
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巻第三夏哥