新古今和歌集の部屋

年中行事絵巻 検証評価 摸写コレクション

この摸本と住吉家本との比較をしてみると、
①老婆の手を引く女
住吉家本では、老婆の手を引く女の部分が湿気などで欠落しているが、当該摸写では、きちんと描かれている事。
住吉家本
当該摸写本

②鉾を持つ男の脚
住吉家本では、鉾を持つ男の脚が擦れで欠落しているが、当該摸写本では、きちんと描かれている事。
住吉家本
当該摸写本

③牛飼童の顔
見物貴族の牛車の牛飼童の顔は、住吉家本、当該摸写本のどちらも欠落している。これは、オリジナルの欠落と考えて良い。
住吉家本
当該摸写本

④巫女の薙刀を持つ従者
市女笠を被った巫女に随行する従者の服は、住吉家本には模様が無いが、当該摸写本には朱色で模様が描かれている事。
ここだけ色を使った理由は不明であり、オリジナルに模様があったのか、後世の者が書き入れたのかは今となっては不明である。
住吉家本
当該摸写本

その他、紙の薄さ、部分部分を張り付けている事、墨で黒く塗り潰していない事から推察すると、オリジナルを摸写する際の下絵段階の物かと思われる。
なお、この画家は、後崇光院が画かせた清賢なのか、狩野探幽なのか、住吉如慶、具慶親子なのか、はたまた記録に残っていない絵師によるものかは不明である。
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