新古今和歌集の部屋

平家物語 四部合戦状本 治承の辻風

巻第四

同ク十日余ノ比ロ、從中御門京極ノ裎ト大飈吹テ、六条ノ邊リニテ震タシキ吹懸クテ、三四町吹間籠ル。其中屋共多ク破レテ爲一ト不残乍佐平ニ被ルモ吹伏有ケリ桁柱ヲ許□有リ吹キ放ツ門ヲハ置キ四五町裎吹拂垣與ト隣リ成ル。□□ヤ家ノ内資財雑具尽ク数在空ニ檜皮葺ノ□ナ類クヒ如□秋木葉ノ散ルカ風ハ拂塵如ク是ノ吹立ケレバ惣ヘテ目モ不見エ不恠泣揺裎ニ不聞エ物云声モ。彼ノ地獄ノ業ノ風モ覚エシ是非。家ノ損亡セルノミニ是ヲ取リ療ロフ間損ンサレテ身ヲ片輪付ク者不知数ヲ。此風移リテ末方成ス多ク人歎ヲ。辻シ風ハ世ノ常吹ク物ナレトモ有ル斯ル事ヤハ是レモ非只事ニ可然事ノ里○シニヤトソ疑ヒ侍ル。

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