初蝶・蝶・紋白蝶・黄蝶々
鯉の背に初蝶来れば父恋し 沢木欣一
反射炉に初蝶の来て影落とす 栗田やすし
光りつつ蝶が蝶追ふ疎水べり 桜井節子
都府楼の礎石伝へり春の蝶 伊藤範子
初蝶や双子の眠る乳母車 佐々木美代子
蝶飛べりきりんの足を縫ふやうに 中斎ゆうこ
白蝶々いつもつがひのあと先に 細見綾子
初蝶や吾三十の袖袂 石田波郷
つまづきし子に初蝶もつまづきぬ 西村和子
初蝶に手を振つて児の誕生日 井上美樹
水際に日暮れを掬う紋白蝶 宇多喜代子
初蝶をとらへるための双手かな 夏井いつき
紋白蝶ほどの汚れの白靴に 福永耕二