つゞき 爰に平家の侍士武藏國の住人長 ◑中に隔てた
井の齊藤別當實盛は七十有餘に る實盛
年闌たれば今は後栄の恃みたく に押
赤地錦の直垂に黒糸威の 並べて無手と
鎧を 着み十八差◯たる 組む實盛心
征矢 負て只一人進み出 得て
生死 知ら 己
ずに 戦ひけり 手塚
木曽 の手に が郎等
信濃 國 にやと云ひ
の住 さま鎧の押
人手 付の板をつか
塚太郎△ み左り
△光盛という者 の手に
あり實盛 て手
を目が 綱か
けて ひ
進み懸る く
既に組 り
んとなしけ 左右
る折手塚 の鎧
が郎等主に組 を強く
せじと馬手に ふんで
並んで◑ 馬の腹
に引付
提げもて行くに足
は地より一尺ばかり 次へ
△→△、◑→◑の順に読む。