新古今和歌集の部屋

羇旅歌 在原業平 蔦の細道 伊勢物語 つたの細道公園 歌碑



   蔦の細道

 蔦の細道は宇津ノ谷峠越えの最も古い道で

古代には東海道の伝馬の道として、中世には

本道として、行き交う人々で賑わった。

 蔦の細道が広く知られるようになったのは

在原業平が主人公とされる『伊勢物語』に、

「・・・わか入らむとする道は、

 いと暗う細きに、つたかへては茂り・・・・

  駿河なる宇津の山へのうつゝにも

      夢にも人に逢はぬなりけり」

と詠まれたからである。

 

 それ以来蔦の細道は歌枕となり、

ここを往来する歌人たちが業平を懐かしんで

自らの思いを歌に託する所となった。


つたの細道公園

藤枝市岡部町岡部



伊勢物語 九段

行/\て、するがの国にいたりぬ。うつの山にいたりて、わがいらんとする道はいとくらふ、ほそきにつたかえではしげり、物心ぼそく、すゞろなるめを見る事とおもふに、すぎやうじやあひたり。かゝるみちへ、いかでかいまするといふをみれば、見し人成けり。京に其人の御もとにとて、ふみかきてつく

  するがなるうつの山べのうつゝにもゆめにも人にあはぬなりけり


新古今和歌集巻第十 羇旅歌
 駿河の國宇都の山に逢へる人につけて京にふみ遣はしける
                 在原業平朝臣
駿河なる宇都の山邊のうつつにも夢にも人に逢はぬなりけり

よみ:するがなるうつのやまべのうつつにもゆめにもひとにあわぬなりけり 隠

意味:遠い駿河の宇津の山に来て、現実でも夢でも貴方にお会いするなんて、難しいのは、貴方が薄情になったからでしょうか。

備考:伊勢物語 九段

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