新古今和歌集 第十九 神祇歌
新宮に詣づとて熊野川にて
太上天皇
熊野川
くだす早瀬の
みなれ
棹さすが
見なれぬ
浪のかよひ路
読み:くまのがわくだすはやせのみなれさおさすがみなれぬなみのかよいじ
意味:熊野川を下る早瀬の水に馴れた棹とはいかず、さすが熊野新宮の速玉之男神の御神威を示す川だけあって何度渡っても馴れていない急流の波の通い道だ
作者:後鳥羽天皇ごとば1180~1239譲位後三代院政をしく。承久の変により隠岐に流される。多芸多才で、新古今和歌集の院宣を発し、撰者に撰ばせた後更に撰ぶ。
備考:序詞として、さすに掛け、完了のぬとする説もあるが取らない。本歌:大井川下す筏のみなれ棹見なれぬ人も恋しかりけり 拾遺集恋一 よみ人知らず
八代集抄、歌枕名寄、新古今注