歌半臂句事(そがうのすがたの事)
抑樂の中に蘇合といふ曲あり。舞うには五帖まで帖々をきれ/"\に舞をはりて後破をまふ。やがてつゞけて急をまふべきに急の始一反をば誠まふ事なし。如形拍子ばかりにあしをふみ合せてうちやすみつ二反のはじめよりうるはしく舞なり。このけずらひはたがはぬ半臂の句の心なり。歌と樂と道ことなれども目出度詞をのづからかよへる成べし。かよはしてしらざらん人はなにとか思ひわかむ。歌のごとく兩方を心得ておもふためにはことに興ある事也。これは蘇合をば半臂の句ある舞といひ此歌さまをば蘇合のすがたともいひてむかし。
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