新古今和歌集の部屋

謡曲 山姥

山姥                             四番五番目物 世阿弥

山姥の山廻りの曲舞が得意な遊女が、善光寺に参詣の途中急に辺りが暗くなり、宿を貸すといった山の女が、山姥の曲舞を所望し、自分が真の山姥であることを告げ、少しも心に掛けてくれないと恨み、どうせなら暮れて月の夜なら真の姿を見せ、移り舞を舞おうと告げ消える。夜も更け遊女が舞うと山姥が現れ、邪正一如、善悪不二の摂理を説きつつ舞う。山姥の生業を語り、色即是空を説き消える。

前ジテ:山女 後ジテ:山姥 ツレ:遊女百万山姥 ワキ:従者 ワキヅレ:供人 アイ:境川里人

 


百万 恐ろしや月も木深き山陰より、その樣化したる顏ばせは、其山姥にてましますか
シテ 迚もはや穂に出で初めし言の葉の、氣色にも知ろしめさるべし、我にな恐れ給ひそとよ
百万 此上は恐ろしながらうば玉の、暗紛れより現れ出る、姿言葉は人なれ共
シテ 髪には棘の雪を戴き
百 眼の光は星のごとし
シテ 扨面の色は
百 さ丹塗りの
シテ 軒の瓦の鬼の形を
百 今宵始めて見る事を
シテ 何に譬へむ
百 いにしへの
同 鬼一口の雨の夜に、鬼一口の雨の夜に、神鳴り騷ぎ恐ろしき、其夜を思ひ白玉か、何ぞと問ひし人までも、我身の上に成ぬべき、憂き世語も恥づかしや、憂き世語も恥づかしや。


※白玉か、何ぞと問ひし人

第八 哀傷歌 851 

題しらず  在原業平朝臣

白玉か何ぞと人の問ひしとき露とこたへて消なましものを

伊勢物語 第六段

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