僕の若き日を知っている人から見ると、まさか家庭を作り、子供まで育てるとは、180度生き方を変えたように見えるでしょう。実際そうなんですが。
そもそも結婚などするような人間ではなかったのですが、嫁さんと知り合って彼女は僕にない発想を持ってました。「子供が欲しい」。よく話し合ってみると、これはなかなか面白そうな人生計画だと気がつき、挑戦が始まりました。結婚しないと女性は妊娠しないと思っていたので、結婚しました。しかしここからが大変だった。晩婚だったからです。
妊活を始めて実際に子供が生まれるまで3年かかりましたし、その間にきつい経験もしました(流産など)。そんな中で、ちょっと変な話。いろいろ試してうまくいかなかったけど、成功は変なところからやってきました。タイのバンコクに有名な子宝の祠があってお参りするとよく効くんだというのは昔から知っていました。嫁さんに話すととんとん拍子で形になってバンコクへ。祠にお参りすると、なんとびっくり、後から計算するとバンコク滞在中に授かっていたのです。でも、この子とは会うことができませんでした。流産です。これは僕にとって辛かった。長くひきづったのですが、嫁さんは逆で、流産の次の日から元気になり、女は強いなと見せつけられました。
今度は嫁さんが、台湾の台北にすごい神様がいるらしいよと見つけてきました。僕はあまり乗り気でなかったのですが、嫁さんのお顔をみると忍びなく、すぐに航空券を揃えました。台湾の神様はお宮にいて、子宝のお札をいただくと効くそうです。で、行ってみました。なんと、またすぐ懐妊です。そしてこのお札は子供を授かったら、子供の欲しい人にあげると、その人も妊娠すると言われています。嫁さんが、このお札をそのような夫婦にお渡しすると、そちらも妊娠。不思議なものです。
これ以来、家族旅行では台湾に行くようになりました。そして台北に行くと必ずこのお宮にお礼参りに。今では受けをとれる笑い話ですが、神様は本当にいるんだ、というのが僕の持論です。
「老い」という現象、それ自体から逃れられる人はいません。しかし、そのことを苦しみと捉え るかどうかは全くの別問題です。 藤田一照