今回は少し前にご紹介したWonder ( R.J.Palacio著)の引用文の
補足をお届けします。
まず始めにどんな表現だったかの復習を♪
自己紹介の時に口ごもってしまったAugustが
先生に「もっと大きい声で」と言われたことを話しているシーン
~今回は先生の言葉の部分から引用します♪~
"Can you speak up, honey?" said Ms. Petosa.
「もう少し大きな声で話せるかしら。」とペトサ先生が言った。
※「~先生」と呼ぶためにteacher が使われることはありませんので
ご注意を!!Mr. Mrs. Ms. が「先生」の意味を表します。
"My name is August," I said louder, forcing myself to look up.
(※forcing などの用法については
Is that it? それだけ?(Sushi&Beyondより)を参照してください。)
まず、新しく引用した先生の言葉の部分の解説から~
speak up でここでは「大きな声で話す」という意味です。
up だから 反対語はspeak down?と思いたいですが、
speak down は「へりくだって話す」や
speak down to +人 で
「(人)に対して偉ぶって話す」という、
また別の意味になりますのでご注意を!
speak up には「自分の意見を話す」という意味もありますが、
ここでは「大きな声で話す」という意味で解釈します。
そうなる理由は
引用文の前の部分の文脈が関わっています。
先生のこの言葉の前にはどのような場面があるか
少し遡ってさらに引用してみます。
"My name is August," I said, and yeah,
I kind of mumbled it.
(※kind of は 「どちらかというと」
mumbleは「口ごもる」というような意味です。
まとめると:
(「僕の名前はオーガストです。」と僕は言った、そして、そう、
ちょっと口ごもりながら言ってしまった。)
"What?" said someone.
(「何て(言ったの)?」と誰かが言った)
この後にくるのが
先ほど紹介した先生の言葉、
"Can you speak up, honey?" です。
ここでもし「自分の意見を言ってちょうだい」と解釈してしまったら・・・
生徒たちが順番に自己紹介をしているシーンなのに、
急に意見の話になったら、文脈から外れてしまって、
何の話かよくわからないことになってしまいますよね!
流れから考えて、
「もうちょっと大きい声で」となるほうが絶対に自然です。
知らない単語が気になってその意味を調べる場合にも
前後の文脈は大事です♪
今回は声のボリュームに関する表現で使われている
loudについても少しだけ補足します。
【どのように】話すか、は
動作の説明にあたりますので、副詞が担当します。
loudは一見すると形容詞として捉えてしまいそうになりますが、
副詞としても使うことができる単語ですので、
口語的な使用法ですが、
louderと比較の形にすると「より大きな声で」と
【どんな風に】言ったのかを伝えることができます。
もとから副詞の形をしているloudの類語のloudlyは
loudと同じく「大きな声(音)で」という意味を伝える単語です。
この二つの単語、使用法はほとんど同じですが、
話言葉ではカジュアルな表現として loudがよく使われます。 loudlyは丁寧な表現に使われます。
ちなみに「小さな声で」という表現も色々ありますが、
よく使われる表現に
in a low voice というフレーズがあります。
しかし、やっかいなことに、
ここで「小さな」を表しているlowには
「低い」という意味もあります。
ということは、in a low voiceで
「低い声で」という意味でも解釈できます。
どちらで解釈するべきか・・・
カギは文脈にあります。