この部屋で便利と不便という言葉をくずされました。
302号室の飯富、いづみ夫妻は反転住宅の一番新しい住人。アメリカでは国立公園でキャンプをしながら旅をしていたのですが、この部屋はその時の感じと同じなんです。楽しくて毎日が夏休みのような、この地面とつながっている感じが好きです。二人はアメリカの大学で映画を専攻、そこで知り合い結婚した。「ラスベガス&グランドキャ二オンへ行きたい!」を共著、国内外を問わず注目を集めている。再びアメリカ行きを考えていたが、この住宅に出会い、即決で入居する。「ここに来られた方によく「不便じゃないですか」と聞かれます。そうすると、そもそも不便とは何かと考えてしまいます。凹凸の床も球体の部屋も便利でも不便でもないんですね。ですからここには不便という言葉は存在しません。そういう価値観より、楽しいという言葉が先に来ます。荒川さんがよく言葉を壊すといわれます。僕達はまず、便利と不便という言葉をこの部屋で壊されました。