1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 今日の法話は、檀家さんとの会話で、43年前の甲子園、松井秀喜さんの5打席連続敬遠の話を。

2025-02-09 11:08:02 | 法話

【2月10日投稿分】


嘗て、北九州において、高校球児だった檀家男性(現在51歳)が拙僧に「住職は1992年の第74回全国高校野球選手権大会での2回戦、明徳義塾高等学校(高知県)対 星稜高等学校(石川県)の試合であった、松井秀喜さんへの5打席連続敬遠というのを覚えてますか」と。「どうしたの、今頃」「いや、テレビで松井さんを見てね、当時の事が脳裏に」「そうか、勿論、覚えてるよ。拙僧はその時、30歳だったもんな。マスコミが大いに騒ぎ立て『勝利至上主義』の物議が社会現象になったもんね。爆破予告まで出て、大変な騒ぎになったもんな。高校野球において、これほど真っ二つに意見が分かれた事例は、そう多くはなかったんじゃないかな。どちら(敬遠賛成、反対)の意見が正しいかなんて、それこそ、真剣勝負をしている当人さん達にしか、判断出来ないんじゃないかな。そういえば、確か、この大会(43年前)から、甲子園のラッキーゾーンが撤去されたんだよね」と。


対し、檀家男性が「住職さんは当時、5打席連続敬遠は、認める派、認めない派、どっち側でしたか」と。「そうか、君は当時、松井さんと同じ年で、高校球児だったもんね。そうだね、どちらかと言うと、拙僧は認める派かな。その高校(明徳義塾)がどこに目標を置いていたか、だよね。あくまでも『優勝』というものに目標を置いていたのか、1試合でも多く試合をして、ベンチの選手を全員、甲子園に出場させてあげたかったのか、その時のチーム事情があったのか。負けたら即、引き上げの甲子園だもんね。甲子園出場の切符を勝ち取るまでに、地区予選において、どんなドラマがその高校(明徳義塾)にあったかなんて、部外者には全くわからん事でしょ」と。


続けて拙僧「その場だけの状況(5打席連続敬遠)を見て、部外者が是非の判断をするは、あまりにも軽々かな。人がそう動くからには、そう動くだけの理由が、必ずあるもの。43年前にSNSなんてものがなくて、本当によかったと思うよ。昨今の様に、正義感が暴走出来るツールがあったら、相手投手(同高校、同高校球児達)は、どれだけ誹謗中傷を世間から浴びせ掛けられた事か、最悪の事態(人生ストップ)まで起こっていたかも。考えただけで、ぞっとするわ。それに対して松井秀喜さんはその後『5打席連続敬遠された、という事実に相応しい選手になろう』と心に誓ったそうだもんね。もちろん、この2人(松井秀喜さんと相手投手)、後に再会し、この事について談笑したそうだよ」と。


すると、檀家男性が「住職さん、この私との会話をSNSに投稿したら、昔の事とは言え、蒸し返されて、袋叩きに合うんじゃないの。昨今は、人を陥れる情報に飢えてる時代だから」と。対し、拙僧「その言葉だが、昨今、よく使われる言葉だよね。だけど、大丈夫だと思うよ。このあなたとの会話だけど、結構教訓も詰まってるし、懐かしむ人達もおられるだろうから。NHKの朝ドラ『おしん』が再放送されても、炎上なんてしてないでしょ。今現在にリアルタイムで放送されたら『おしん』なんて、間違いなく大炎上も大炎上だよ。再放送(昔の物)なら騒がず、静観して見る事が出来るなら、今現在リアルタイムのドラマも、その心で見りゃいいものを、と思うけどね。だから『拙僧は、松井秀喜さんの5回連続敬遠は、認める派でっせ』と言っても、43年前の事だから、文句言ってくる人など、恐らくいないでしょ。それにしても、この松井さんへの敬遠ですが、当に、球史に残るものになってるよね。ほとほと凄い選手だと思うよ」と。


続けて拙僧、この檀家男性に「凄い選手といえば、松井秀喜さんより1学年上には、イチロー選手がいるよね。イチローさんは、愛工大名電で2度、甲子園へ出場されているが。そのイチローさんにおいては、こんな話が。自分のせいで敗戦した時、宿泊所の玄関で座り込んで泣いていると『人間は負ける事で、力を付けていくんだよ』と声を掛けてくれた人がいたと。それが横綱曙さんであったという事だもんね。徳川家康公が『勝つ事ばかりを知り、負ける事を知らざれば、その害、わが身に及ぶ。及ばざるは、過ぎたるより、勝れり』と後世に教訓を。愛知県出身の家康公の言葉というが、また、縁を感じるよね」と。


因みに、イチローさんですが、ドラフトの指名は4位であったと。信じ難いでしょ。他にも、工藤公康さんはドラフト6位、掛布雅之選手もドラフト6位、金本知憲選手はドラフト4位と。叩き上げから球史に名を残したは、他にも少なからず。イチローさんが「夢や目標を達成するには、1つしか方法はない。小さな事を積み重ねること」と。確かに、ですね。人は自分がしてきた事、やってきた事が、今ここにある結果(答)ですもんな。


今1つ、凄いと言えば、野球選手ではないですが、米国の映画俳優シルベスタースタローンさんですかね。拙僧の好きな俳優さんの1人ですが、自分の愛犬を売らなければならない程にお金がない時代に、ボクサーの映画を世に出したいと脚本を書き、映画界に持ち込むと、その筋の人達から注目を浴びたと。が「主役は自分がしたい」のスタローンさんの要望に対し、プロデューサーから「主役は有名俳優を使う。諦めてくれ」と大金を積まれたが、断固として拒否し、主役として成功を掴み取り、現在の地位を手に。案外にプロの人達が否定(シルベスタースタローンさんが主役ではヒットしない)するものが、成功するものって多いですよね。寺尾聰さんの『ルビーの指環』なども「こんなお経みたいな歌、売れませんよ」とその筋のプロ連中から。が、その結果は、みなさんもご存知の通りですもんね。ほんと、犬も歩かにゃ、棒にも当たらん、ですわな。何でもがそうですが、否定から入ったら、得るものはないですよね。まず動いてみよ、ですね。


拙僧は映画『ロッキー』も当然好きですけど、歳を取られてから、燻し銀の老俳優さん達を集めて制作されたアクション映画(エクスペンダブルズなど)の方が、どちらかと言えば好きですかね。70歳超えてのあのアクション映画、常日頃、どれだけ体作りに努力をされているんでしょうね。並大抵の努力ではないと思いますよ。矢沢永吉さんも、小田和正さんも然りです。それを考えたら、拙僧はまだまだ、63歳にて。人間は死ぬまで、生きとかにゃならん。どう生き抜くか、その参考になる人達ですね。


【付録】

拙僧はこれまでに、約10年間でSNSに3000話の長短法話、また、法話の本を3冊、世に出させて頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、デイサービス、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで。尚、檀家は千葉県にも)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳です。父親の他界年齢を基準にすれば、あと僅かに10年。これより先の残された時間は、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。


下記で拙僧の過去の法話を読む事が出来ます。興味がございましたら、是非。


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                   拙僧が持つグループ「出会うは運命、出会ってからは努力、最後は感謝」

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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。


添付写真は、わが寺の達磨大師像(屋久杉造)。武者小路実篤さんが「桃栗三年柿八年、達磨は九年、俺一生」と。桃栗柿はその年数で実を付け、達磨は面壁九年で悟りを。だが俺は、死ぬまで精進努力をせにゃならん、と。


次回の投稿法話は、2月15日になります。