天皇の即位20周年となった、今日、記念式典が国立劇場で開催されたらしい。
これに先立ち、天皇・皇后夫妻が記者会見した。
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主なポイントは、
(1) 日本国憲法では、「天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」と規定されています。私はこの20年、長い天皇の歴史に思いを致し、国民の上を思い、象徴として望ましい天皇の在り方を求めつつ、今日まで過ごしてきました。質問にあるような平成の象徴像というものを特に考えたことはありません。
(2) 平成の20年間を振り返ってまず頭に浮かぶのは
① 平成元年、1989年のベルリンの壁の崩壊に始まる世界の動きです。その後の2年間に東西に分かれていたドイツは統一され、ソビエト連邦からロシアを含む15カ国が独立しました。そして、それまで外からはうかがい知ることの難しかったソビエト連邦、およびそれに連なる国々の実情や過去の歴史的事実が、世界に知られるようになりました。このような世界の動きを深い感動を持って見守ったことが思い起こされます。
② ベルリンの壁の崩壊から4年後、私どもはドイツを訪問し、ヴァイツゼッカー大統領ご夫妻、ベルリン市長ご夫妻と共に徒歩でブランデンブルク門を通りました。西ベルリンから東ベルリンに入ると、ベートーベンの「歓喜の歌」の合唱が聞こえてきました。私どもの忘れ得ぬ思い出です。
③ しかし、その後の世界の動きは、残念ながら平和を推進する方向には進んでいきませんでした。平成13年、2001年、世界貿易センタービルなどが旅客機の突入により破壊され、3000人以上の命が失われました。それを契機としてアフガニスタン、続いてイラクで戦争が起こり、今も両国とパキスタンでは多くの命が失われています。
(3) 国内のことでまず思い起こされるのは、
① 6400人以上の人々が亡くなった阪神・淡路大震災です。地震による家屋の崩壊とともに火災が起こり、誠に痛ましい状況でした。ただ、淡路島では火災がすべて未然に防がれ、また、地域の人々による迅速な救出活動により多くの人の命が助けられたと聞きました。この地震はその後に大きな教訓を残しました。建築の耐震化が進められ、人々の間に災害に対する協力の輪が広がりました。
② 今日、日本では高齢化が進み、厳しい経済情勢とあいまって、人々の暮らしが深く案じられます。そのような中で、高齢者や介護を必要とする人々のことを心に掛け、支えていこうという人々が多くなってきているように感じられ、心強く思っています。皆が支え合う社会が築かれていくことを願っています。
皇后のコメント
① 冷戦の終結に続く平和の到来を予想していましたが、その後、少なからぬ地域で紛争が起こり、テロ行為も増し、昨今も各地で人命が失われています。
② 地球温暖化、世界的金融危機、様々な新しい感染症の脅威など、世界的な規模で取り組まねばならぬ問題も多く、様々な意味で世界をより身近に感じるようになった20年間でした。
③ 国内においては、阪神・淡路大震災を始めとし、大規模な自然災害が多く、被災した人々の悲しみは想像を絶するものであったと思います。災害の予知能力が高められ、予防の対策が進み、災害への備えが常にあることを切に願っています。
④ 高齢化、少子化、医師不足も近年、大きな問題として取り上げられており、いずれも深く案じられますが、高齢化が常に「問題」としてのみ取り扱われることは少し残念に思います。本来、日本では還暦、古希など、その年ごとにこれを祝い、また、近年では減塩運動や検診が奨励され、長寿社会の実現を目指していたはずでした。高齢化社会への対応は様々に検討され、きめ細かになされていくことを願いますが、同時に90歳、百歳と生きていらした方々を皆してことほぐ気持ちも失いたくないと思います。
歴史認識
天皇
① 私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです。昭和の時代は非常に厳しい状況の下で始まりました。昭和3年、1928年、昭和天皇の即位の礼が行われる前に起こったのが、張作霖爆殺事件でしたし、3年後には満州事変が起こり、先の大戦に至るまでの道のりが始まりました。
② 昭和の六十有余年は、私どもに様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って、未来に備えることが大切と思います。
皇后
① 私はむしろ、今すでに世界的に蔓延(まんえん)する兆候を見せており、特に若年層に重い症状の出る新型インフルエンザのこと、また、今後日本に起こりうる大規模な自然災害のことが心配で、どうか大事なく人々の暮らしの平穏が保たれていくよう願っています。
② 近年、日本の社会にも様々な変化が起こり、家族が崩壊したり、人々が孤立していく傾向が見られますが、一方、社会が個人を支えていこうとする努力や、地域が高齢者や子どもたちを守っていこうとする努力も、其処(そこ)ここで見られ、また民間の各種の支援運動も増えて、人と人、家族、社会と個人など、人間関係の在り方が、いま一度真剣に考え出されているように思われます。
③ 心配を持ちつつも、陛下とともに、この国の人々の資質を信じ、これからも、人々と共に歩んでいきたいと思います。
以上 (引用が長すぎて済みません)
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「過去の歴史知り未来へ」=即位20年、平和へ思い-両陛下が会見
時事通信 2009年11月12日(木)06:03
天皇陛下の即位20年を祝う政府式典が12日、開かれる。これに先立ち、天皇、皇后両陛下は皇居・宮殿で記者会見された。陛下は「心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということ」と述べ、先の大戦への道のりに触れ「過去の歴史的事実を十分に知って未来に備えることが大切」と、平和への思いを語った。
天皇陛下は「この20年、長い天皇の歴史に思いを致し、国民の上を思い、象徴として望ましい天皇の在り方を求めつつ、今日まで過ごしてきました」と振り返った。
20年でまず頭に浮かぶこととして、ベルリンの壁崩壊などを挙げたが、「その後の世界の動きは、残念ながら平和を推進する方向には進んでいきませんでした」と指摘。米同時テロに続きアフガニスタン、イラクで戦争が起き、今も多くの命が失われていると憂えた。北朝鮮による拉致問題では「(拉致された)当時は、日本人皆が拉致の行われたことを事実として認識することはありませんでした。このため、拉致が続けられ、多くの被害者が生じたことは返す返すも残念なことでした」とした。
また、国内の出来事としては阪神・淡路大震災を挙げた。
日本の将来についての質問に対し、陛下は先の大戦に至る昭和の歴史を振り返り、「昭和天皇にとって誠に不本意な歴史であったのではないか」と述べた。一方、平成生まれの人々が、スポーツや碁の世界などで活躍するようになったことを喜んだ。
皇后さまは「区切りの年に当たり、陛下とともに国の安寧と人々の幸せを心から祈念いたします」とした。
健康に関し、陛下は「皆が健康を心配してくれていることに、まず感謝したい」、皇后さまは「野球の松井(秀喜)さんに見習って(ひざのけがを)忍耐強く治したい」と話した。