5月31日衆院本会議で強行採決された、「働き方改革」一括法案に対して、高橋千鶴子議員は、「歴史を70年後戻りさせる大改悪だ」と批判しました。
志位和夫委員長は同日の記者会見で、「労働時間の規制は19世紀半ばのイギリスの工場法から始まっており、労働時間の規制を取り払う今回の法案は、19世紀前半まで歴史を逆行させてします”異次元の大改悪”だ」と批判しました。
年収1075万円以上の「高度専門職」への「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)の導入には、野党が一致して反対しています。 同制度では、使用者は労働時間を管理せず、残業代も払いません。 労働者は際限のない長時間労働を強いられ、過労死しても自己責任とされる欠陥法案です。
安倍首相は、「自律的に働ける」「成果で評価される」と美化していますが、労働者に裁量を与える規定はありません。 また、成果主義賃金を義務付ける規定もありません。 そして、日本経団連は将来的には年収基準を400万円まで引き下げることを主張しています。
その他にも、「過労死を招く残業の容認」「非正規格差の固定化」「生産性の向上を目的」した雇用対策法を「労働施策総合推進法」への改悪など、”異次元の大改悪”が「働き方改革」一括法案です。
6月2日付「しんぶん赤旗」は、財務省が1日発表した2018年1月~3月期の法人企業統計を報じています。金融・保険業を含む資本金10億円以上の大企業の内部留保は423兆5000億円と、前年同期と比べ、23兆1000億円増え、史上最高に。 第2次安倍政権成立以前の12年の同期と比べると、1.34倍に急増しました。
6月3日付、朝日」は、「平成30年間 働く世帯の家計」(大和総研の是枝俊悟研究員の試算)を掲載しました。
「平成の約30年間で、一般的な働く世帯の税と社会保険料の負担が月に約3万4千円、率にして36%ふえたことが分かった。 この間物価は1割上がったが、消費に回した額は逆に約4千円減少。 年金や医療などの負担で、働く世代の暮らしが先細った姿が浮き彫りになった」
「膨れ上がったのは企業部門が持つ現金だ。 法人企業統計によると、企業の現預金(金融・保険除く)は16年度末、過去最高の211兆円で、88年度末より4割以上増えた」
「法人税率が42%から23.2%に引き下げられたこともあり、平成に生まれた富が企業に流れ込む構図になっている」
「ロバート・オーウェンは、1817年には1日8時間労働を新たな目標とし『仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」のスローガンを作り出した」「オーウェンらの運動の結果、イギリス政府は1833年に工場法を制定したが、その内容は不十分であり、1847年の改正でようやく若年労働者と女性労働者に対する10時間労働の制限が実現している」(ウイキペデイア)
安倍政権に、労働者と国民の未来を託すことができるだろうか。