志位和夫日本共産党委員長は、15日に、「コロナ危機をのりこえ、新しい日本と世界をー改定綱領を指針に」と題して、「党創立98周年記念講演」を行いました。志位氏は、講演の中で、「コロナ危機を克服してどういう日本をつくるかー7つの提案」を行いました。「7つの提案」の理由については、紹介を省略させていただきましたが、そのうちの「第5の提案ー科学を尊重し、国民に信頼される政治をつくる」について、紹介させていただきたいと思います。
「コロナ危機では、『消毒液の注射』を提案したトランプ米大統領をはじめ、科学を軽視する政治指導者の弊害が深刻な形であらわれました。安倍首相もこの点では人後に落ちません。2010年に発表された政府の『新型インフルエンザ対策総括会議報告書』に明記された、感染症対策の組織や人員体制の強化、PCR検査体制の強化などの科学的提起は、ことごとく無視されました」
「全国一律休校要請、『アベノマスク』など、科学的知見を無視した思いつきの対応が、混乱と不信を招きました。科学を尊重し、国民に信頼されることは、コロナ危機の痛切な教訓ではないでしょうか」
志位氏が、「第1の角度ー新自由主義の破たんがすっかり明らかになった」の項で、「米国ー『新自由主義は全くの過ち、惨めな現実をつくりだした』」ことを指摘し、ノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学教授、ジョセフ・スティグリッツ教授の発言が紹介されました。(「読売」4月26日付)
「読売」紙での、スティグリッツ教授の発言については、以前、紹介させていただきました。今回、志位氏の提案を受けて改めて、同教授の「コロナ危機後の新たな秩序作り」の関連部分を紹介させていただきます。
「米国の発展の根幹にあったのは科学を重視する精神です。科学によって、私たちは周りの世界を理解し、私たち自身を理解し、社会を進歩させてきたのです」
「政府は科学技術に投資し、創造と刷新を後押ししてきました。重要な発見や発明のほとんどは政府の支援の成果です。20世紀の大発見である、遺伝子の本体・DNAの発見もそうです」
「トランプ氏は科学に信を置かず、コロナ禍への対処を誤りました。ただ、これは同氏が特殊なのではなく、科学を軽視し、科学費の削減を主張する右翼思想が台頭してきていることの反映です」
「眼前の危機で人々は科学の重要性に目を開きました。克服の要はウイルスを特定し、治療薬とワクチンを開発する科学の力です」
「私たちは科学を重視し、政府を重視し、市場のあり方を根本的に見直した、新たな秩序作りの向かうと私は考えます。それは、一握りの国や人ではなく皆が富を共有できるような、新たなグローバル化の模索であるはずです」