宮応かつゆきの日本改革ブログ

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「米中対立は『新冷戦』かー”多極化進む中の自国の取り分争い” ウィスタッド米エール大教授

2021年04月21日 | 未来社会へのプロセス

 4月20日付「朝日」紙「オピニオン&フォーラム」欄に米エール大学教授オッド・アルネ・ウィスタッドさんが登場し、インタビューに答えました。ウィスタッド教授は、1960年ノルウェー生まれ。米ソの第三世界への介入を研究、新しい冷戦史像を構築した。著書に「冷戦 ワールド・ヒストリー」など。と紹介されています。

 読まれている方も多いと思いますが、私にとっても参考になる発言がありました。一部を紹介させていただきます。

 冒頭部分で、ウィスタッド教授は、次のように語りました。

「 ー 米中の対立は、新たな冷戦なのでしょうか」

(教授)中国は米国にとっての大きなライバルであり、中国共産党は米国を敵視している。その意味ではソ連と似ています。経済力から考えると、中国はソ連よりも手ごわいかもしれない

「しかし、最大の違いは、ソ連は西側から遮断され、独自の経済圏を持っていたこと。中国は世界市場に統合され、それが中国が急速に大国になった理由でもある」

「もうひとつの大きな違いは、米ソ冷戦は、資本主義と社会主義のイデオロギーの戦いだったことです。『善』と『悪』との戦いでした。これに対し中国にはソ連が持っていたようなグローバルなイデオロギーはありません。名は共産党だが、実際にやっているのはナショナリズムの政策。中国の利益をできるだけ増大させるということです」

― 中略 ー 後段部分を紹介させていただきます。

「 ー 習近平国家主席は『中華民族の偉大な復興』を唱えています。共産党の統治をどう見ますか」

(教授)中国共産党が政権を握ったのは決して歴史の必然ではありません。私は中国研究が出発点ですが、1920、30年代の中国では、共産主義は多くの運動の一つに過ぎませんでした。日本との戦争がなければ共産党が政権を取ることはなっかった。日中戦争で国民党政権が弱体化し、共産党が軍事的勝利で政権を奪取するチャンスが開けたのです」

「建国後の歩みも、50年代から60年代は、大躍進や文化大革命で経済が破綻し、大失敗だった。70年代末からの改革開放政策は成功を収めた。その意味で共産党の統治は功罪両面がある。共産党は選挙で選ばれた政権ではないから、経済成長を続ける続けることで支配を正当化しています。しかし、社会主義の強い統制や巨大企業への締め付けには反発も出てきています。経済が行き詰まれば、共産党の統治も困難に直面するでしょう」

「 ― 台湾をめぐる緊張が高まっています。中国の台湾侵攻はありえますか」

(教授)中国の国内情勢次第でしょう。もし体制が安定し、米国や日本との対外関係で大きな問題が生じなければ、武力衝突はないと思う。ナショナリズムが強い習近平政権でも、そこまでのリスクはとらないでしょう。問題は習政権は内政がうまくいかないと、対外問題のカードを持ち出す傾向があること、特に台湾問題です」

「―  日本について伺います」

(教授)冷戦なしには戦後日本の経済成長も保守政治の安定もなかったと思います。だが、それだけではありません。冷戦が決定的な岐路を迎えた1980年代、日本は信用供与、ドル安容認など米経済を支え、米国の巨大な軍備増強を支えたのです」

「ー 日本の経済力が米国の冷戦戦略を助けたのですね。しかし現在は、安保は米国、経済は中国に依存し、板挟み状態です」

(教授)この状況は相当長く続くと覚悟せねばなりません。日本が米国と緊密な外交・安保関係を維持することは非常に重要です。日米双方だけでなく、それは東アジアにとっても不可欠です。同時に、日本経済にとっての中国の重要性も増す一方でしょう。安保と経済が違う方向を向いている状況を扱うのは大変難しい。しかし、不可能ではない。日本の役割は、米中間の緊張が制御できないレベルなることを防ぐこと。米中双方にとって日本がそういう役割を担う国だと思われることが、日本の国益なのです」

― 中略 ―

「 — 冷戦終結から30年以上が経ちました。私たちはまだ冷戦の影の中にいるのでしょうか」

(教授)いいえ、新しい時代が始まっています。先に述べたように、米国は依然として重要な大国ですが、国際システムを維持する責任を担うことはない。中国も大国であり続けるでしょうが、米国同様、冷戦時の超大国のような圧倒的存在ではない」

「パンデミックが示すように世界は非常に複雑で多様になった。それぞれの国が発言権を強め、米中の影響力には限界があります。これは『冷戦2・0』ではありません。前よりはよい世界かどうかはわかりませんが、私たちは新しい世界の力学を見極めねばならないのです」

 


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