11月23日付、米太平洋海兵隊の「オスプレイの事故調査が完了」のメディアリリースの防衛省仮訳が神奈川県、大和市などに今月3日届けられました。
中谷元防衛相は3日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された米海兵隊オスプレイを活用するよう全国の自治体に働けかけていく考えを示した、と報道されています。
「朝日」4日付は、次のように報じています。
「中谷氏は、『オスプレイは緊急事態や災害防災にも活用できる』。防災訓練として本土で飛行訓練を行うことで、沖縄での飛行訓練が減り、負担軽減につながるとしている。 米海兵隊のオスプレイは今年5月、米ハワイで着陸失敗事故を起こした。 米海兵隊は11月、主原因は操縦士の判断ミスと断定しており、防衛省はオスプレイの安全性を訴える方針だが、自治体がどこまで受け入れるかは不透明だ」
こうした報道にも関わって、米太平洋海兵隊のメディアリリース(防衛省仮約)の事故原因関係部分を紹介します。
「2015年5月17日(日)にべローズ海兵隊訓練場で発生した、MV-22オスプレイの事故に関する法務官調査が完了し、太平洋海兵隊司令官によって署名された」
「事故調査の結果、事故に寄与した主たる要因は、パイロットのパフォーマンスと着陸帯『ガル』の不適切な現地調査でであると判明した。 パイロットは、いかなる規則及び飛行手順にも違反していなかったが、パイロットの意思決定には、事故につながる事象が考慮されていなかった。 最初の着陸を試みた際、着陸帯『ガル』における『低視界着陸レベル』が想定よりずっと高いことが分った。 適切なリスク評価を行っていたなら、パイロットは異なる飛行の態様、経路または着陸帯を選定し、深刻な低視界状態を局限又は回避できたであろうということを、事故調査は明らかにした」
日本政府などは、この点を強調して、パイロットの操作ミスとしていますが、「事故調査」は、次のように指摘しています。
「事故調査によると、着陸を試みた際、低視界状態(空中の埃や砂により、飛行中の視界が制限された状態)において、繰り返し継続的に飛行したことが、左エンジンを失速させ、結果として出力が失われ、機体が不可避的に地表へ落下することとなった。 より具体的には、ローターによる下降気流により空気中の埃や砂が増えるため、事故機が着陸帯『ガル』の上空で低高度のホバリングを行う度に、双方のエンジンのエンジン比率出力(Engine Percent Power (EPP))が低下した。 埃や砂を吸い込んだ結果、エンジンのタービン翼に物質が固着し、左エンジンの『コンプレッサー・ストール』を引き起こすに至った。 そしてそれが揚力を失わせ、着陸失敗に至ることとなった」
そして、
「事故機の搭乗員は、エンジンの不調に対処するに当たり、NATOPS(海軍航空訓練運用手続標準)及び訓練に従いすべての緊急手続きを実施した。 さらに事故調査は、任務や訓練に係る搭乗員による誤った対応や過失により本件事故が発生したものではないと結論づけている」
事故調査の全文を(英文を含めて)政府は公表すべきです。 政府の恣意的な解釈で、オスプレイの「新たな安全神話」を宣伝し、全国の自治体にオスプレイの訓練を強要することは許されないのではないでしょうか。
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