長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

西澤保彦著【下戸は勘定に入れません】

2020-03-04 17:25:08 | 本と雑誌

前代未聞のタイムスリップ本格ミステリ。
この一杯が、タイムマシーン!
全四篇からなる連作短編という形式をとって書かれているが、本質は長編ミステリと同じ。

『あるいは妻の不貞を疑いたい夫の謎』
鵜久森(うくもり)大学人文学部英文学科准教授古徳(ふるとく)先生はバツイチ・独身の50歳。
人生に疲れ、酔って死ねれば本望とウイスキー(カティサーク)片手に寒い夜道を歩き始めたが、偶然、旧友・早稲本幸生(わせもとゆきお)と出会ってしまう。
いまや堂々たる実業家(リゾネット&コンテンツグループ・取締役社長)のこの男は、かつて古徳の恋人・真渓美智絵(しんたにみちえ)を奪って結婚したのだった。
気まずさに逃げようとする古徳だが、早稲本の誘いを断り切れず、彼の豪邸のホームバーで杯を傾けることに。
やがて、酔った2人は28年前の晩へとタイムスリップしてしまう。
条件が揃うと、酒の相手を道連れに時間をさかのぼってしまう古徳先生。
はたして失った恋の秘密を解き明かすことができるのか…?

『もしくは尾行してきた転落者の謎』
古徳先生が住むマンション「タウンハイム鵜久森」で、数日前に投身自殺があった。
その詳細がマンションの管理委託会社㈱勝宮流管理から文章で報告された。
古徳はその内容を読んでいるうちに、唐突に激しい胸騒ぎにかられ…。

『それでもワインを飲ませた母親の謎』
古徳先生のもとに、突然ワインが送り届けられた。
送り主は「早稲本巳恵(みえ)」…早稲本幸生の母親だった。
小首を傾げる古徳だが、直ぐに早稲本幸生から携帯に電話が入った。
早稲本は妙な質問をしてから、今荷物が届いていないかという。
届いた旨伝えると、今時間があるかと問い、あると答えると、マンションの前にいるから、部屋に向かうと告げた…。

『はたまた魚籠(びく)から尻尾が覗く鯛の謎』
古徳先生は1982年の12月31日にタイムスリップした、しかしその道連れは早稲本の愛娘・優香だったので、その時代に生まれていない彼女が何故?となって…。

とにかくこの物語は、目を皿のようにして読まないと、なんだか頭が混乱してしまそうだった印象が強いのでご注意!!
決して気を抜かないように…。


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