家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
現在は、ダニエル元町本店にてワークショップ体験をご案内

最後の謝辞の掲載

2020年03月17日 | Weblog
修了者代表大西様の謝辞を掲載します。
ダニエル第16期⽣終了式 謝辞 2020年3⽉14⽇(⼟)
(はじめに) 第16期は昨年4⽉6⽇から始まり、今⽇まで40回の講義と実技がありました。 オリエンテーションでは、11名⼀⼈ひとりが⼊学のきっかけを⾃⼰紹介しました。「今回の第16期が最後 の募集だということを知って、今始めないともうチャンスはない!」と意を決して集まった⽣徒が多かった と思います。 年齢、男⼥に関わらず集まって、1年間の学びと実技を通して「⾃分だけの、この世に1台だけの」ミッシ ェルチェアーを作ることになるのだとの期待!と、⾃分に出来るのかな?との不安の思いで⾶び込んだとい うのが実感でした。 先週には、なんとか最後の⼈(私ですが)も吉⽥先⽣、⼭之⼝先⽣のヘルプを受けて、なんとかぎりぎり時 間内に終えることができて本当にホットするとともに、もう1年が過ぎたのか、終わってしまったのかと、 感慨を持ちました。

この1年間、多くの先⽣⽅と出会いました。 島崎校⻑先⽣からは椅⼦作りの歴史を学びました。明朝、英国、⽶国、そして今の私たちが⽇々使う椅⼦ までの歴史・出来事の流れを熱⼼に教えていただきました。短い時間でしたが、まるで⼤学で専⾨的な講義 を受けているようで、椅⼦についての興味を引き出してもらった貴重な経験でした。 酒井先⽣からは、デザインの基礎と⼤切さについて学びました。アフォーダンス(⾒えてわかること)と いう概念も習いました。 ⽊⼯実技では、天野先⽣、森⼝先⽣、安⽥先⽣から模範作業をしっかり⾒せてもらいました。⾔葉少なに 模範作業が⽬の前で⾏われ、⽣徒はみな⼀⽣懸命ノートをとるのですが、いざ⾃らやろうとすると、その⼿ 順が頭からすっ⾶んでしまうのです。あれほど必死に⾒つめていてわかったと思ったのも束の間です。そし て先⽣がたが本当に教えようとされたコツ・ノウハウはとてもむずかしく、⾔葉による表現では⾔い表しに くいこと、体で覚えることなのだと実感しました。道具の持ち⽅、使う時の体の構え⽅、⼿の置き⽅、⼿で の抑え⽅、引張る⽅向と⼒の⼊れ⽅など本当に⼤事なことの意味を理解せずに、なんとなく形で真似ようと しても絶対うまく⾏かない、「理屈」に裏付けられた⾝についた作業こそ!⼤切だということがよくわかり ました。 塗装では有福(ありふく)先⽣、⼭﨑先⽣に教わりました。「⽣地調整の⼤切さ」が⾝に染みました。⼀ 通りできたつもりが、だめ!だめ!出しで振出しに戻ることが度々でしたが、塗装の後⼯程になってその意 味を思い知らされました。また、スプレーガンを使っての塗装では傾き、スピード、タイミング、リズムな ど「プロの技」の⼀旦を少しだけ体験させていただきました。そして伊勢原の⼯場では家具製造、修理の「現 場」を垣間⾒させてもらいました。 張りの実技は、吉⽥先⽣、⼭之⼝先⽣に初歩から、鍛えられました。どうして­ぴしっとひっぱれないの か、どうして­まっすぐ上からたたけないのか、最初に作った⽵ヘラは⼀体なんのためだったのか、など、 そうだ!そのように教えてもらったのに!と何度も反省しながらの作業でした。ミッシェルの張りに⼊って からは毎回が時間との勝負で、今までになく実技に集中していました。そのような時に、吉⽥先⽣が⼀⾔ツ ッコミで声をかけてくれて、こちらの緊張をほぐしてから、ここはね、と⾔って助けてくれて嬉しくホット
しました。⼟曜⽇の帰宅後はすぐにバタンキューとなり、家族も⼼配するくらいでしたが、これほど集中し 時間を忘れて作業に没頭できたことには本当に充実感を感じました。最後まで来て、初級のミッシェルの椅 ⼦づくりのプログラムは、順を追って後々の本番に必要な練習も並⾏して進めていける、とても良く考えら れたプログラムであったと理解できました。 また、わたしたちのお世話は、前野様、⼩松さんがしてくださいました。気さくに⽣徒の名前も呼んでく れて、学校の先輩としての雑談ではホッとする⼀時を作ってくださり感謝しています。

1年かかって少しわかったこと 「今回、チャレンジしなくていつするのか!」との思いで⾶び込んだ学校でしたが、「椅⼦」という⼀つ の製品の材料の組⽴から「張り」に⾄る最後までの物作りに携わったことで、⽊や布や⾰への愛着や⻑く愛 ⽤できる椅⼦のデザイン・構造やバネやウレタンや綿の意味、製作⼯程と作る⼿間を順を追って体験するこ とができました。⻑く愛⽤できる良いモノには、たくさんの丁寧な⼿の技(わざ)が加えられて作られてい ると知りました。そして、今回の先⽣⽅が⾒せてくださった⼿の技、技術、経験、が如何に貴重であるのか も知りました。どこででも会える・体験できることではないと知りました。 有名な陶芸家の⾔葉だと聞きましたが、釉薬をかけるのがとても素早いことについて「私の仕事は15秒と 60年」と⾔われたとのことです。(陶匠 濱⽥庄司) ⽬の前でさり気なく、サササッと⾒せられた、のみでのホゾ⽳あけ、鉋がけ、釘打ちや、塗装、⼟⼿作り、 張り、太⿎鋲うちという仕事の背後に、⻑く貴重な過去の経験・匠たくみの仕事に裏打ちされている思いや ノウハウがあることを知りました。

お礼 わたしたちは、この1年間の経験、教えて頂いたことや理屈を さらにいろいろな場所で伸ばし、⽣かし て⾏けたらいいなあと思っています。それぞれが、何らかの形で良い家具や、素敵な椅⼦との付き合い・修 理・補修をして⻑く愛⽤することに関わっていきたいと願っています。 そして、株式会社ダニエル様には、今後、末永く成⻑・発展され、事業を継続されていかれることも⼼から 祈念しております。 ⼀年間、チャレンジの場を準備してくださり、ご指導を頂いた私共⼀同は、深く感謝してお礼を申し上げる 次第です。本当に、ありがとうございました。 第16期終了⽣ ⼤⻄誠
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