家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
現在は、ダニエル元町本店にてワークショップ体験をご案内

久しぶりに瀬田さん取材記録  天野講師編

2012年02月29日 | Weblog
木工の先生に聞きました

天野 高光さん

・「家具の病院」が雑誌や新聞によく取り上げられますが、取材される時のコツとかあるのですか?
「無い。ぶっつけ本番。経験そのものを話すの。そのほうが伝わりやすいと思うよ。質問をしてくれたら、全て答えますからって言いますね、いつも」

・「ブルータス」の2月号に伊勢谷友介と対談されていましたね、この工房で。
「ブルータスはアーコールにこだわっていてね。あの俳優さんはリバースプロジェクトという会社をやっているので、その関係で来たみたいだよ」

・伊勢谷さんは東京芸大卒業で、ものづくりにこだわりがあるんでしょうね。
「僕がちらっと修理の話をしたらね、びっくりするほど盛り上がっちゃって話が弾んで。再生とか再利用とか日本の自然を大切にしたいと真剣に考えている人だなと感じたよ。だから、あの記事は自然な姿で写っているから嫌みが無いんじゃないかな。NHKの取材の時は、もっと笑ってくださいとか言われたけど、表情を作るのは難しいじゃない、俺は演技のプロじゃないんだから」

・授業の都度、ダニエルの深いグリーンや空色や様々な色のTシャツを着こなしていらっしゃって凄く似合うなあと思ったのですが、体型は変わらないですか。クラスの女性陣で天野先生はお腹が出ていないと評判でした。
「別に何もやってないよ。犬を飼ってるから、朝30分から1時間くらい散歩で歩くけどね。あとは通勤に自転車を使っているから、帰りは急な坂を自転車を押して上がるくらい。電動にしたらと言う人がいるんだけれど、それなら運動にならないでしょ。それに、よく動くからかな」

・そもそも動くのが好き。
「そ、何か必ずやってるね。昨日も、苦瓜が好きだから、4月になったら苦瓜を植えて日向に置くので、その箱を作っていたよ」

・ところで、(写真を見ながら)犬ちゃんの名前は?
「権(ごん)、7歳のオス。この間、散歩の時に向かいから歩いて来た奥さんが、『あら、ご主人にそっくりですね』って言うんだよ。びっくりしちゃった。でも、家に帰ってゴンを見ると、子どもの顔のようにも、自分のようにも見えてさ(笑い)。でも、ほんと癒されてる」

・では、学校の話を。7期生は半数以上が中級に進むのですが、助言をいただけますか?
「やっぱり、物事は挑戦だね。行動することだね。頭じゃないから、この道は」

・考えるより慣れろと言いますが、そんな感じ?流れに乗るように自然に体が動くようにということですか?
「そう、もちろん考えはするけれど、経験が大事。家具の病院でやっている修理も、実は、ひらめき、即興。持ち込まれる家具は一つ一つ違う状態だから、見た瞬間にそれに適した修理方法を判断してやる。積み重ねだね。人生と同じ」

・7期生の印象はどうでしょう。
「毎年、少しずつ違うね。今年は静かなほうだったかな。7年やっていると生徒との対話で教わる部分もあるせいか、だんだん出来上がるまでの時間が短くなったような気がする」

・経験が教え方にも活きてくるということですね。
「学校の最初の頃は未知の世界だったから感動の連続。だって、馴染みの無い世界の人が生徒としてやってきて交わるわけでしょ。仕事で今まで無かった事だよなあ」

・そろそろ新入生がやってきますね。
「内藤君ともよく話したんだけど、我々も考えすぎちゃうんだよ。教え方がシンプルにいかなくなる。のめり込んでいっちゃうから。それが問題、今の課題だね。教える側も、教え方を知らなきゃ知らないで一生懸命やるだけのほうがいい、みたいな。いくら説明をしても、言葉で言っただけでは記憶が流れちゃうんですよね」

・はい、実感。模範実技を見て作業台に戻った途端に、何も覚えてない。
「それは誰でも同じ。ほかの事でも同じ。だから、自分のやり方は、教室をぐるぐる回って、そこで見かけたら直接指導する。自分が動くのが一番効率がいいんじゃないかなと。アンケートにもそういうことは書いてあるよね」

・ありがとうございました。最後に、7期生にお言葉を。
「いつも真面目だった。人生は自信が大事、がんばってください」
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平成24年2月25日の授業

2012年02月25日 | Weblog
初級の授業あと2週を残してここまで出来ました。





中級の塗装の成果
大理石調の銘板

緑錆色に仕上げた楽器の銘板

蝶文字?
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上級特派員便り2012年2月18日

2012年02月22日 | Weblog
上級特派員便り

2012年2月18日 @伊勢原校   晴れ 

今日から、久しぶりに伊勢原に戻り、以前製作したキャビネットの塗装に入ります。
講師は有福先生、大村先生です。両者共、我々が言うのもおかしいですが、塗装の本物のスペシャリストです。
以前にも本欄で述べたと思いますが、塗装は家具製作の最終過程で、塗装の善し悪しで、見映えの上で雲泥の差が出ます。大事な工程です。
師曰く、塗装は木地調整が重要。木地調整がしっかりしていれば良い仕上げになるし、その逆は当然その逆となります。師また曰く、木地調整で塗装作業の半分以上が終了したようなものです。

木地調整は、1)製作中や運搬でできた凹み部分や傷をアイロンをかけて戻したり、2)留め部分など接合部にできた隙間をパテで埋めたり、3)しっかり拭き取ったと思われる部分にわずかに残ったボンドをサンドがけで落としたり、4)塗装面を滑らかにサンディングしたり(今回は#180を使用)、5)塗装しない面をマスキングテープや新聞紙でカバーしたり、6)サンド掛けしたあとのサンド粉をエアで飛ばしたり、まあ何か落ちているかもしれませんがこのような木地調整作業があります。

木地調整もそこそこに終わり、と言いますか踏ん切りをつけていよいよ塗装。まずは着色。多くの生徒は仕上げの綺麗な、家具向けのダニエルカラーを選んだ。
着色にはエアガンによる着色とコンビステインを刷毛塗りして拭き取る方法があり、それは好みの選択。
いままでの初期着色作業では、エアガンによる着色を行なっていなかったので、筆者はエアガン着色を選択した。エアガンも刷毛塗りも、どちらも顔料(Note1)であるが、エアガンでは木目に合わせて薄い塗りにしたり濃い塗りにしたり加減ができるのだが、エアガンの動きをスムーズにしないとブチのようにムラができ、修正は難しい。ただし、うまく塗れば綺麗な着色が得られる。一方刷毛塗りは、木目に合わせた着色はできない代わり、濃すぎた箇所は再度刷毛塗りして素早く拭き取ることで修正が利くといった違いがあるようだ。

着色後目止めを塗って本日終了。木地調整にはことのほか時間がかかりました。
これは筆者の私見なのですが、塗装作業が終わると、そのままハイさよならと教室を後にしてしまいますが、そのあとに刷毛を洗ったり、余った塗装を処理したり、いろいろな後始末の作業が残っているようだ。こういった作業も、生徒を甘やかさずにやらせて欲しいと思う、少なくとも一度は。こういう作業内容も知っておきたいと思う。

Note 1:塗料(や染料、インク等も)には顔料と染料がある。その違いは?簡単に言うと、顔料は表面に塗料が着くといった感じで、染料は中の細胞にまで染み込む塗料というところでしょうか。染料は一度塗るとサンドでは落ちないのに対して顔料はサンド掛けである程度落とすことができる。これって正しい理解?

写真1: 塗装前のキャビネ

写真2: 非塗装面をカバー

写真3: 染料と顔料
  
写真4: 木地調整の検査を受けるもまだまだ不十分とチョークマークが入る

写真5: エアガン着色

写真6: 着色終わったキャビネたち


『お道具拝見コーナー』その14(三枝氏投稿)

今週から伊勢原で キャビネットの塗装です。 今回は塗装の主役道具、重力式スプレーガン 明治F100の紹介です。

スプレーガンでは 岩田と言うメーカが有名ですが、明治も古くからのメーカだそうです。 見た所余り壊れる所は無く、手入れさえ良ければ20年前の道具も現役で働いていると聞きました。
塗装といえば 刷毛塗りと思っていましたが、ガン吹き塗装は思った以上に仕上がりが良く、出来れば私も使って見たいと思うのですが、それには問題点があります。
 
先ず、塗料は霧状に噴霧され、そのおよそ1/3は空中に飛散してしまい、最終的に部屋の隅に溜まります。 その噴霧塗料を吸い込むと、人によっては呼吸器のアレルギー症状を引き起こす場合が有ります。 所謂喘息の症状です。

そして、ガン吹きした時、床に有る細かい木屑等の埃が舞い上がり、それが製品に付着する事が有るので、塗装前に十分な清掃を行ったとしても完全に取りきる事は難しく、出来れば排気装置のある、塗装専用の部屋が欲しくなります。

設備としては、スプレーガンはそれ程高価では無いのですが、エアコンプレッサーが必要で、それに調圧装置と水抜きフィルター等も必要です。安定した空気圧を保つ為には、ある程度のタンク容量とモータの馬力も必要になり設備にもお金が掛かります。
排気装置となると備えるのは大変で、フィルターを通してブロアーで排気を外に排気します。ブロアは排気ダクトも必要で、フィルターとブロアーの設備は、その場所の確保も設備費も大変です。

塗膜の丈夫な、ウレタン系の塗料となると、粘度も高く刷毛では上手く塗れませんので、ガン吹きへ移行したい所だと思います。 色々長所や短所を考え合わせ、特に人体への影響や廻りの環境への影響を考慮するとガン吹き設備の導入には、必要装置、必要広さ等を考えると躊躇せざるを得ません。

小さな工房で製作する家具に、OIL仕上げが多いのは、案外これらの理由も関係しているのかも知れません。
 

写真7: スプレーガン


文責・編集  堀江
              

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2月18日の授業

2012年02月19日 | Weblog
初級は、スプリング取り付けが終わり土手巻きを始めました。





これから張る生地を見せてくれました。


中級は、椅子の修理の張りをし完成しました。早速自宅に持ち帰った生徒さんもいました。
ミシンをかける生徒さん

張り布の違う修復した椅子


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上級特派員便り2012年2月4日

2012年02月09日 | Weblog
上級特派員便り

2012年2月4日 @横浜校   晴れ 立春

今日は、張りの最後の練習。
引き続き2級検定試験の課題で練習です。
受検が来年の夏と言うこともあって、真剣みはあっても危機感薄く、一度はやってみると言った感じの練習でした。
試験時間は5時間だそうですが、マニュアルを見ながらの練習で、結局前回の数時間と本日いっぱい使っても縫製まで届かず、試験前になったらかなり練習しておかなければ、時間内の完成、ひいては合格難しと言う感じでした。
しっかりしたマニュアルがあるのだが、読者のためにざっと手順をおさらいしておく。
1. 木枠に麻テープ(力布)を張る(4本)
2. バネ受けを敷いてからバネを木枠に取り付ける。又釘(U字釘)を使う。
3. バネを力布に裏から縫い付ける
4. バネ糸でバネを押し下げながら木枠と絡げる。
5. ヘッシャンクロス(麻布)を張り、バネ枠にセール糸でタタミ縫い、木枠にはタッカーで固定。
6. ヘッシャン上面に土手チップを外周に貼る。
7. 上敷きウレタンを加工してボンド付け。木枠角にウレタンを縫い付ける。
8. 3側面に綿を縫い付ける。
9. 布カバーを縫う。
10. 上敷きウレタンに白綿を乗せて馴染ませ布カバーをかぶせて接着及び縫う。
11. 布カバーをタッカーにて止める
12. こま止めして、はい、完成。お疲れさん。
工程はなかなかに多い。

本日の張りの練習を最後に横浜から再び伊勢原に戻り、次回(2月18日)からキャビネットの塗装となる。
吉田先生、星野先生、海老沢先生お世話になりました。検定試験前にはまたお世話になると思いますので、その時はよろしくお願いします。

もう残り少ない上級課程。専攻科に進む諸兄もおられるようです。専攻科に進むにあたっては、椅子の装飾加工のために、木工旋盤を用意いただけたらいいのですが・・・是非、是非・・・というのが進級の皆さんの要望のようです。

余談になるが、昨年師走、Lazy Boyを購入した。Lazy Boyとはロッキングandリクライニングソファ(商品名:ロッキングリクライナー)である。製品そのものは米国の家具メーカーの製品であるがダニエルで販売している。これが実に気持ちのいいソファーなのだ。宣伝みたいになってしまうが、ロッキングソファにもリクライニングにもなり、ほとんどフラットになる。オーディオルームと言うと大げさだが、TVの前に置いている。一度座ると起き上がれなくなる。Lazy Boyとはソファの名前ではない、まさにそれに腰掛ける人のことだったのだ。

ついでにもう一つ余談だが、前回の特派員報告で、左甚五郎と指紋の話をした。右回りの指紋が多いと器用だと言った話だった。左甚五郎は左右十本の指が皆そろって右回りだったそうで、天骨(てんこつ)と呼ぶそうな。その天骨が、我らが上級クラスにもおりました。お道具拝見コーナーを執筆のS氏である。なるほど、である。

写真1: バネを木枠に絡げる(写真は天骨氏である)

写真2: ヘッシャンを被せて縫合

写真3: 作業の強い味方、タッカー
  
写真4: そして、エアスプレーボンド

『お道具拝見コーナー』その13(三枝氏投稿)

今回は椅子屋金槌の紹介です。
これは 家具の学校に入学した初年度、初級の時にミッシェルの張り作業用に購入した物で、片方の先端打撃面は二つに割れていて、着磁して有ります。 釘頭を吸いつけて片手で打てる工夫でしょう。 普通の金槌と違い、打撃面鏡部分は小さく、正確に打つには相当練習が必要です。
椅子の張りでは、生地を左手で抑えたまま釘を右手で打ち込める工夫がなされている、と言う具合。しかし、これが、使い慣れていない者には曲者で、左手で生地を抑えて釘の付いた槌がそのまま戻ってきて、続いて打つ時に左手指に釘が刺さってしまう。これは痛い、実に痛いものです。
もう片方の先端は、着磁されていませんが、先端は細く、五分釘の頭ほどで、狭いところに釘を打ち込むためでしょう。

筆者の購入したものは、馬印と言いましたが、どれが馬なのかよく判らない、鍛冶屋が作った傷にも見える馬の首が刻印して有りました。
細長く軽い頭部と、丸い細い柄が付属して来ましたが、細く平たく握り易く削り直して、自分で柄を挿げました。 槌の頭が抜けない様に、櫃部分に楔を打ちますが、筆者は先端部分を叩いてつぶして仕上げました。

色々な道具を見て来ましたが、椅子屋金槌の名品に付いて、聞いた事が有りません。 恐らく道具に凝る、或いは工夫する余地の余り無い道具なのでしょう。 道具の良し悪しが仕上がりに影響すると言うより、その使いこなしが仕上がりや、仕上げの速さに影響する様です。

軽い槌なので、手首のスナップで正確にパシと早く振り下ろす必要が有ると思います。 それにリズムが大切で、3分の釘なら2回か3回でパン・パン・カーンと打つとか、そんな使い方でしょうか。 さらに正確に打つには、目と釘の位置関係が重要だろうと思います。 目で打つ位置を良く見て最初の1回目釘を軽く打ち込んだら、真っ直ぐ上に槌を引き上げず、滑らせる様に槌を抜き取り、素早く二打目を打つのが骨だと思います。(筆者の勝手な思い込みかも知れません。間違えていたら御免なさい)

槌は原始的な道具で、脳に直結してコントロールされる道具なので、思う位置に槌頭が振り下ろせるように、脳の命令と腕と槌の関連付けを練習して習得する必要が有るでしょう。

椅子張りの基本は金槌の使いこなしにあると吉田先生は言いますが、技術の未熟な我々は、すぐタッカーを使いたがります。 しかし椅子張り職人の手先の器用さは、金槌を自在に使いこなす訓練の中から得られる物かも知れませんね。

写真5:椅子屋金槌(マグネットハンマー)

文責・編集  堀江
              
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木工の講師 天野

2012年02月07日 | Weblog
木工の先生に聞きました

天野 高光さん

・「家具の病院」が雑誌や新聞によく取り上げられますが、取材される時のコツとかあるのですか?
「無い。ぶっつけ本番。経験そのものを話すの。そのほうが伝わりやすいと思うよ。質問をしてくれたら、全て答えますからって言いますね、いつも」

・「ブルータス」の2月号に伊勢谷友介と対談されていましたね、この工房で。
「ブルータスはアーコールにこだわっていてね。あの俳優さんはリバースプロジェクトという会社をやっているので、その関係で来たみたいだよ」

・伊勢谷さんは東京芸大卒業で、ものづくりにこだわりがあるんでしょうね。
「僕がちらっと修理の話をしたらね、びっくりするほど盛り上がっちゃって話が弾んで。再生とか再利用とか日本の自然を大切にしたいと真剣に考えている人だなと感じたよ。だから、あの記事は自然な姿で写っているから嫌みが無いんじゃないかな。NHKの取材の時は、もっと笑ってくださいとか言われたけど、表情を作るのは難しいじゃない、俺は演技のプロじゃないんだから」

・授業の都度、ダニエルの深いグリーンや空色や様々な色のTシャツを着こなしていらっしゃって凄く似合うなあと思ったのですが、体型は変わらないですか。クラスの女性陣で天野先生はお腹が出ていないと評判でした。
「別に何もやってないよ。犬を飼ってるから、朝30分から1時間くらい散歩で歩くけどね。あとは通勤に自転車を使っているから、帰りは急な坂を自転車を押して上がるくらい。電動にしたらと言う人がいるんだけれど、それなら運動にならないでしょ。それに、よく動くからかな」

・そもそも動くのが好き。
「そ、何か必ずやってるね。昨日も、苦瓜が好きだから、4月になったら苦瓜を植えて日向に置くので、その箱を作っていたよ」

・ところで、(写真を見ながら)犬ちゃんの名前は?
「権(ごん)、7歳のオス。この間、散歩の時に向かいから歩いて来た奥さんが、『あら、ご主人にそっくりですね』って言うんだよ。びっくりしちゃった。でも、家に帰ってゴンを見ると、子どもの顔のようにも、自分のようにも見えてさ(笑い)。でも、ほんと癒されてる」

・では、学校の話を。7期生は半数以上が中級に進むのですが、助言をいただけますか?
「やっぱり、物事は挑戦だね。行動することだね。頭じゃないから、この道は」

・考えるより慣れろと言いますが、そんな感じ?流れに乗るように自然に体が動くようにということですか?
「そう、もちろん考えはするけれど、経験が大事。家具の病院でやっている修理も、実は、ひらめき、即興。持ち込まれる家具は一つ一つ違う状態だから、見た瞬間にそれに適した修理方法を判断してやる。積み重ねだね。人生と同じ」

・7期生の印象はどうでしょう。
「毎年、少しずつ違うね。今年は静かなほうだったかな。7年やっていると生徒との対話で教わる部分もあるせいか、だんだん出来上がるまでの時間が短くなったような気がする」

・経験が教え方にも活きてくるということですね。
「学校の最初の頃は未知の世界だったから感動の連続。だって、馴染みの無い世界の人が生徒としてやってきて交わるわけでしょ。仕事で今まで無かった事だよなあ」

・そろそろ新入生がやってきますね。
「内藤君ともよく話したんだけど、我々も考えすぎちゃうんだよ。教え方がシンプルにいかなくなる。のめり込んでいっちゃうから。それが問題、今の課題だね。教える側も、教え方を知らなきゃ知らないで一生懸命やるだけのほうがいい、みたいな。いくら説明をしても、言葉で言っただけでは記憶が流れちゃうんですよね」

・はい、実感。模範実技を見て作業台に戻った途端に、何も覚えてない。
「それは誰でも同じ。ほかの事でも同じ。だから、自分のやり方は、教室をぐるぐる回って、そこで見かけたら直接指導する。自分が動くのが一番効率がいいんじゃないかなと。アンケートにもそういうことは書いてあるよね」

・ありがとうございました。最後に、7期生にお言葉を。
「いつも真面目だった。人生は自信が大事、がんばってください」
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2月3日の授業

2012年02月05日 | Weblog
初級は、椅子張りの続き
まずスプリン取り付け



土手巻きは、後日

中級は、塗装でテーブルと補修をした椅子の塗装です。
テーブルは、絶妙な色合いで出来上がりました。



椅子は、素材にあった塗装に仕上がってます。

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塗装の講師 その2

2012年02月03日 | Weblog
大村 徹さん 

綾瀬市出身の大村さんは、東京農業大学バイオサイエンス学科で学んだ。子どもの頃からピアノやクラシックギターに親しんでいたせいか、大学ではマンドリン部に入部。マンドリンというと独奏を思い浮かべることが多いが、同じ弦楽器のクラシックギターとコントラバスを加えたマンドリンオーケストラもあるのだという。大村さんの担当はマンドセロ。マンドリンはバイオリンの音域(高音)を。マンドラはビオラ音域(中音域)を。そしてマンドセロはチェロ(低音)の音域をカバーするのだそうだ。
 今まさに脚光を浴びているバイオサイエンスを学んだのに、なぜダニエル?聞いてみた。楽器は、ほとんどが木製だ。手に馴染む木の感触が昔からなぜか好きだった。それに、こんな出会いもあった。会社組織には所属せず、個人で楽器を作っている人の「木のうんちく」を聞く機会があった。それまで「木が動く」なんて気付きもしなかった。動く木だからこそ「湿度や温度管理」も重要だと、その人は教えてくれた。
 家で棚を作って据え付けるなど、ものづくりは嫌いではなかった。何となく「マンドリンを作ろうかな」と思ったが、マンドリンはマイナーな楽器だから、これでは食っていけないなと思う。ほかに木と接することは・・・。「そうだ、家具がある」、と思ったのが大学3年の後半の頃だ。もちろん、その頃就職活動にも歩いた。内定をもらった会社もある。木工関係の会社からも。
 でも、職人さんが手取り足取り教えてくれることはないだろうと考えた大村さんは「訓練校に入って基礎を学ぼう」と、内定を辞退して職業訓練学校に1年間通った。そして、ダニエルに入社。
 ダニエルでは塗装や組み立てなどを行っている。家具の学校には2,3年前から関わっている。学校で教えることで何が難しいですか?と聞いてみた。すると、「普段の自分たちの行いを分かりやすく正しく説明すること」と誠実な答えが返ってきた。
7期生に「送る言葉をください」というと、「今年はサンディングシーラ―を流す人が多かった」と、耳に痛い言葉が。すかさず、「僕たちでも椅子は3年目でくらいでやっと塗るのだから、難しいんですよ」。最後に、「でも、今年の人たちは、塗り順を覚えている人が多くて良かった」とも付け加えた。
「塗っている場面を撮ったビデオを何度も見るとか、我々の模範をしっかり見ることが大事ですね」と、的確なる言葉も頂戴した。

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上級特派員便り、2012年1月28日

2012年02月01日 | Weblog
上級特派員便り

2012年1月28日 @横浜校   晴れ時々曇り 寒い

今日は張りの練習4回目の講習。
ミシンの空き具合や、個人の力量などで作業の進捗に差がありますが、スツールの脚部分を覆うスカートの縫製が終わり、玉縁とともにスツールにタッカーにて取り付けるところ辺りから始まります。筆者は都合により前回お休みしたので、座面布の取り付けから。
スカートは、皆さんフリル付きを選んだためストレートより少々手間がかかります。折り目をきちんとチャコでしるして折り目をしっかりアイロンがけ。その上でミシンで縫製。フリルの変わり目がきちんとスツールのコーナーに来るようにせねばならず、その調整に少々手間取ります。筆者のフリルは前回欠席の時に海老沢先生に進めていただいていたので大変助かりました。
スカートを取り付けたら座面の底を黒い薄布でカバーして完成です。

スツールの見映えの良さは、生地がしっかり張っていること、玉縁が真っ直ぐ伸びていること、柄物は生地の変わり目で柄をきれいにつなげること。こういうところでしょうか。
スツールを仕上げた後は、2級技能試験の課題の練習に入りました。
張りの試験は隔年に行われ、今年はありません。

技能検定では、ミシンとタッカーが使えるようになったため時間内完成がずいぶん楽になったとのこと。以前は手縫いで釘の手打ちだったそうな。

写真1: スカートのミシン掛け

写真2: 手が動かず口ばかり 困ったもの(者)です。筆者です

写真3: 裏生地張って完成
  
写真4: 2級技能検定 椅子張り作業の練習


『お道具拝見コーナー』その13(三枝氏投稿)

今回は、佐宗先生が新しく購入した夫婦鉋の紹介をします。 

夫婦鉋は、碓氷健吾と明恵と言う鉋鍛冶ご夫婦の作品で、最初のセットは、寿一(としかず)と明寿のセットでした。
今回紹介のセットは、晩年の夫婦鉋として銘を千寿翁、万寿翁として切ってあります。
鉋を作って60年以上、その長い年月で生み出された技術の結晶と言える集大成の作品です。
使用鋼材は、千寿翁が東郷0号を元に成分を調整し耐磨耗性を発揮するように調整された、日立金属の青紙スーパーY鋼。
万寿翁はスウェーデン鋼のサンドビック鋼で炭素鋼になり、主に軟材向きの鉋で、それぞれに特色のある鋼材を使った鉋です。
この鉋を有名にしたのは、毎日新聞社刊「道具曼陀羅」に夫婦鉋として載った事に依ると思います。 その記事を読むと、亭主(碓氷健吾)が鍛え(火作り)、奥さん(明恵)が焼き入れ、焼き戻しの熱処理を行う夫婦合作で、それが夫婦鉋と言われる由縁の様です。
明寿がスウェーデン鋼、寿一が砂鉄を原料とする安来鋼を使っているとのことです。

東京の有名な大工頭梁野村貞夫氏が、NHKテレビに出演してこの鉋を試用して薄削りを行ったと聞きました。 碓氷氏は研究熱心で鋼の扱いも上手く、メディアの活用も巧みだったと思われ、三条の鉋鍛冶として有名になり、大工の欲しがる鉋の一つとなった様です。

写真左の貞秀は、有名な鉋鍛冶千代鶴是秀の弟子で、千代鶴貞秀 (本名 神吉義良)の銘を冠した切り出しナイフです。 この切り出しは、誰が(どの代の貞秀なのか?筆者は2代目ではないかと推測しています)作った物か知りませんが、今も貞秀の名前は受け継がれているようです。
筆者は使った事はありませんが、貞秀の鉋は最初はしかくて(Note 2)、刃が欠け易い硬い焼きの鉋ですが、使い込む程に、良くなり抜群の切れ味と聞いています。

さて 評判通りの納得出来る切れ味が、堪能できるか、それは暫く使い込んで一裏か二裏研ぎ減らさないと、判らないでしょう。

現状の作業で、家具職人が鉋を使いつぶすまでにどの程度時間が掛かるでしょうか。 恐らく佐宗先生でも、一生使っても、この二丁を使いつぶすことはなかろうと思います。 それだけ使い甲斐が有り、楽しみの有る鉋だと思いますが、現代では鉋の使用頻度も減っていると思います。 

この情報社会では、評判の鉋をネットなどでいくつも目にすることが有ります。 我々初心者でも、少し高いが購入して、試す事は出来ます。 しかしその性能を十分引き出す事が出来るかどうか、筆者は疑問に思います。 鉋を使いこなせると自信が持てるまでは、使わない方が良いと思います。 正当な評価が出来ないのに、著名鉋を持つ事は、作った鍛冶屋に失礼だと思うからです。 

Note 1:「はしかい」とはどこぞやの方言で、刃が硬くてもろい事を言います。

写真5:夫婦鉋

余談(編者追記):

左甚五郎は、一説には実在の人物か疑いもあるようですが、江戸初期の大工・彫刻師として有名で、特に日光東照宮の「眠り猫」の彫刻は有名ですね。
甚五郎は、右の利き腕が使えなくなり左腕で彫刻を続けたのだそうな。そのため左甚五郎と称するのだとか。

甚五郎の指紋は指十本すべてが右巻であったといわれ、天骨と言われたそうな。右巻の指紋は器用の証しでもあり、今も大工には右巻の指紋を持つ者が多いそうです。ネットでこの興味深い記事を見つけたので一部抜粋して紹介します。読者の手を広げて指紋を見て、器用なのか?また金運の道ありや?確かめてみたらいかがでしょうか。

抜粋記事の筆者が、大工の見習に入ろうと親方を伺った時「右手を見せろ」と言われ「右巻の指紋が三本ある。大工になれるかもしれぬ。」と親方が言った。
指紋が犯罪などの解明に利用されるようになったのは二十世紀に入ってからのことだが、指紋は古い昔から本人を立証する役目を果たし、今も印鑑としても使われている。しかし実際には、人間の生活用具を持ちやすくするための、すべり止めの役目を果たすためにあるのである。
抜粋記事の筆者が中国の旅行先で聞いた指紋の話では、右巻や左巻の渦になっているのを「斗」と呼び、流れているのを「簸箕(bòji)」と呼ぶそうである。斗が一つだと一生涯貧乏暮らしで、二つあれば、まあまあで、三つ四つあれば金運の道ありという。斗とは水を汲み上げる柄杓の意味があり、吉だという。「簸箕」とは風で物を飛ばすという唐箕(Note 2)の意味を持ち、金銭が懐に入っても風で飛んで行ってしまうので一生涯貧乏暮らしで、中国では凶であるそうだ。

Note 2:唐箕(とうみ)とは、収穫した穀物を脱穀した後、籾殻や藁屑を風によって選別する農具。

文責・編集  堀江
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