家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
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2級木工試験を終わって

2008年10月30日 | Weblog
家具手加工2級試験の感想文を掲載します。

                           上級3期生 Nさん

10月3日は家具手加工2級試験の発表日。インターネットで神奈川県庁のホームページを見ると自分の受験番号がありました。受かった!!

上級になり、5月のはじめから家具手加工2級試験の課題に挑戦しました。課題は5時間半で作品の原図作成、治具作成、及び四つの継ぎ手を持った作品を4本の木材で作成することです。まずは佐宗先生が家具手加工2級の課題を実演してくれました。先生は説明のおしゃべりと質疑のため手を休め休めしながら土曜日2回かけての実演でした。これくらいのものならおしゃべりをしなければ、5時間半の試験時間で十分だな、というのが最初の感想でした。でも、いざ材料を渡され、ノコとノミで蟻組を加工し始めるとこれは難しい。ノミやノコを墨線にあてると余計に切ってしまう。墨線から余裕をもたせると、余裕分をノミで調整するのに時間ばかりかかる。先生はいとも簡単に加工しているのに自分でやるとうまく行かない。蟻組の墨線にノコを入れたあとノミでさらうとき奥の底はどこまでさらえばよいの?ノミで削るとバリが出るが、バリをさらうと余計にバリが出る。うまく行かないことばかりでした。墨線どおりに切りなさい、中に遊びをつくったら良い、研いだ刃物を使いなさい、正しい姿勢で作業しなさい、当たり前の注意は最初から先生に言われています。そのたびに先生は面倒がらずに実演やアドバイスしてくれました。ノコをまっすぐ入れるため姿勢と目線と作業台に置く位置に付いて注意。「指の添え方、ノコの最初はノコの元から引き始める。加工途中スコヤで直角や直線の加工状況を確認しなさい、現物合わせでは鉛筆でホゾを塗りつぶすとすり合わせの確認がしやすい」、などなど。ノミで彫った後バリが出ると先生はいとも簡単にバリをそぎ取っています。ヨコズリで削るときれいに取れますよとアドバイス。でも私のノミは研いでいないのでヨコズリすると余計にバリが出ます。バリが残っているかいないかでホゾの合わせが全く違います。良く研いだのみは良く切れることをいまさら認識です。当たり前の注意を体に覚えさせることが大事です。

何回か練習した後、実際の試験時間を意識した早出の時間割授業で朝からの最初のタイムトライアルです。6時間を若干過ぎてやっと完成。でも継ぎ手は隙間だらけです。
その後支給された材料を家に持ち帰って4/5サイズ,3/5、2/5,1/5と小さく作り直しながら4回練習。学校での2回目のタイムトライアルは5時間以内で完成しました。これなら何とかなりそうかなという感じでした。
先生は、指導の最中に生徒のカンナやノミの調整で大忙しでした。私も2分のノミを先生にありホゾ加工専用にグラインダーで調整してもらい、研ぎもしていただきました。このノミの切れること切れること。さすがにプロの調整だと感動!!
試験当日は組み上げれば採点対象にはなるので、できばえはともかく最低限、作品を組み上げて提出するようにとアドバイスいただきました。
試験前日の土曜は道具の調整に当てました。先生も生徒の刃物の研ぎや調整を一生懸命手伝ってくれました。カンナは試験当日の時間節約のため、事前に裏金を調整したうえで刃を多めに出して持ってゆくとよい。

試験当日。7月20日のとても暑い日でした。朝、海老名の駅で数人待ち合わせの上試験会場へ。「木材工芸技術技能訓練校」と看板のある3階建ての古いペンシルビルに到着。試験会場の入り口では正野先生が我々の到着を心配そうな目つきで待っておられました。試験場に入ると、道具は既に先生が運んでくれていました。日当たりは良い上にエアコンも無い2階の広間が試験会場。
まずは試験官と受験生が集まって写真撮影、ゼッケンの配布、試験の注意事項の説明、材料の配布があり、いざ試験開始となりました。

与えられた場所は作業台を含め1.5-2m四方の場所。そこに自分の道具を並べ緊張の中で作業開始。3人の試験官がそれぞれ3-4人の受験者を監視しているのですが、ぎりぎりの時間配分の中で注意されたらどうしようと思ってひやひやでした。幸い私に注意は来なかったので何とか乗り切れました。午前中にありホゾ加工が終わりました。正野さんが作った受験対策時間配分に添っていたのでやや安心。

お昼になり皆で支給の仕出し弁当を食べました。進捗状況は皆大体同じようだったのでまずまずと思い午後の部へ向かいました。ペース配分はまずまずと思っていたら午後の開始早々電動ドリルの音が聞こえます。えっ!もう組み上げる人がいるの。音のする方向からそれは正野さんか、大村さんだとわかって一安心。難しいありホゾは午前中に終わっているのでややペースを速めて対応。しかし、練習より5枚組、腰押しの加工にかなりてこずりました。

途中で試験官が定盤を出してきて、「これでねじれを見てください」とのこと。授業では聞いていないし、言われたとしても、ねじれの正しい直し方がわからないので無視。そんなことをしていたら規定時間に間に合わない。何とか3時ごろになってようやく組みあがりました。完璧とはいえませんが、現状でこれ以上のものができるとは思わなかったので規定の3時15分に提出しました。提出後は体の力がスーッと抜け、まさに脱力感。冷房の無い試験場でしたが作業中は暑さもそれほど感じませんでした。翌日の状態は家内に言わせると、疲れて抜け殻のような様子だったようです。

8月の筆記試験前には筆記試験の説明会を開いていただきました。講師に来ていただき過去問題を中心に試験問題の説明をしていただきました。合格ラインは60-65%らしいので、初級でまじめに聞いていれば簡単に合格できる内容でした。実際の試験では過去問題にも無いものが2-3問ありました。試験の後仲間と飲みながら答え合わせをしたら間違いは多くても10問程度だと思えたので筆記の合格は問題ないと思いました。ダニエルのカリキュラムに感動!!

久しぶりの試験挑戦はとても楽しいものでした。手加工試験を受けてからは刃物の研ぎやカンナの調整など道具の手入れや、調整をとても気にするようになりました。2級試験挑戦のための勉強は手加工に対するモチベーションが高まり、とてもよいカリキュラムだと思いました。

佐宗先生達の、繰り返しの同じ指導、道具の手入れの手伝い(手伝いではなく先生に手入れさせた感じでした)、教材の準備など有難うございました。



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