◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

3月26日(火)

2013-03-26 10:27:29 | Weblog
●下地鉄
観梅や枝ぶりよきをまず選び★★★
料峭や箱根連山暮色なる★★★
春宵や灯りの並ぶ港街★★★

●小口泰與
満願の御朱印帳へ春の日矢★★★
子等を待つ駄菓子売り場のしゃぼん玉★★★
春眠の我が身を起こす明けの地震★★★

●佃 康水
四阿の空へ囀りほしいまま★★★
神島へ渡船に靡く春ショール★★★
木肌より紅艶やかに花の噴く★★★

●多田有花
山桜咲く彼方より新幹線★★★★
新幹線が山桜の咲く彼方から滑るように走ってゆく。これは今、日本を象徴する風景となった。(高橋正子)

咲き初めし三葉つつじの小さきが★★★
花咲ける下に老犬寝そべりぬ★★★

●河野啓一
朝空にあかねのわかばバラ芽伸び
朝空にあかねのわかばバラ芽伸ぶ(正子添削)★★★★
朝空にあかね色のバラの芽が色彩的にすがすがしい。添削は「バラ芽伸ぶ」と終止形にし、句を引き締めた。(高橋正子)

春寒に花躊躇せず咲けよかし★★★
春菊のぐんと伸びたり空晴れて★★★

●桑本栄太郎)
うす闇のうすきピンクや馬酔木咲く★★★
雲浮かべ湾処に空の春の川★★★
平らかにまた青々と畦青む★★★★

●黒谷光子
絶えることなき水の音朧の夜(原句)
水音の絶えることなき朧の夜★★★★(正子添削)
添削は、元の句を整理してイメージをはっきりさせた。ものみな柔らかな朧夜に、水音だけがくっきりと聞こえる。春の水音がやさしい。(高橋正子)

祝婚の宴は春の湖望み★★★
春の月も一度仰ぎ錠をする★★★

●川名ますみ
車椅子地の花屑をよけられず★★★
療苑に常より早き紫木蓮★★★
紫木蓮咲きて患者も医師も樹下★★★

●小西 宏
里山の道の暗きに藪椿★★★
人里を離れて桃の紅に逢う★★★
鶯の声藪奥に響きあう★★★

●古田敬二
今年また会えし菫に跪く★★★
蕉翁も愛でし色して菫咲く★★★
濃き色にも淡き色にも咲く菫★★★

●高橋秀之
退職の花束高く春の宴★★★
若草の色づく埋立地は広し★★★
瞬く間食す菜飯の握り飯★★★
コメント (2)
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3月25日(月)

2013-03-25 10:26:17 | Weblog
●古田敬二
畑への斜面に瞬くイヌフグリ★★★
青春の山々丸くかすみおり★★★
春の風竹の中から聞こえけり★★★

●河野啓一
木蓮は空の青さを受けて咲き(原句)
空の青受けて咲きたる紫木蓮(正子添削)★★★
元の句の「木蓮は」の「は」が問題で、メージが弱いので印象強くなるように添削した。紫木蓮としたが、空の青を受けて咲く木蓮の紫は深い色合いである。(高橋正子)

桜散る決意新たに受験生★★★
曇空に溶け込むごとく白木蓮★★★

●小口泰與
つばくらや菓子の倉庫の深庇★★★
鳥達の木伝(こづた)う声の春意かな★★★
駘蕩の朝寝の我と小犬かな★★★

●小川和子
高々と花満つ校舎の外窓へ★★★★
校舎の高い窓に触れて桜が咲き満ちている。窓の内から見れば窓は桜に埋め尽くされている。今年は早い桜であるが、卒業や入学に重なる桜の花は、生徒たちの胸にいろんな思い出を残すことだろう。(高橋正子)

深空より囀り喜々とバスを待つ★★★
自転車の児の口遊む卒園歌★★★

●多田有花
谷の風梅の香りを運び来る★★★
はくれんの開きし先に昼の月★★★
理髪屋の軒先かすめ初燕★★★

●桑本栄太郎
菜の花や畑の一隅黄明かりに★★★
気ままとは微風に揺るる雪やなぎ★★★
囀りのつがい飛び交い蜜を吸う★★★

●小西 宏
せせらぎの仄かに届く花明かり(原句)
せせらぎの微かに届く花明かり(正子添削)★★★★
「仄か」が問題なので添削した。桜が咲き満ちる明かりに、せせらぎの音がかすかに聞こえてくる。どこか近くにせせらぎがあるのだと思うと、花明かりに音が加わり、俄然句が生きてくる。(高橋正子)

曇天を明るく照らし花の山★★★
軒ごとに桜広げる丘の家★★★
コメント (3)
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3月24日(日)

2013-03-24 04:05:30 | Weblog
●小口泰與
人影に稚鮎いっきに反転す★★★
紅梅の花の数だけ雫かな★★★
旧道の山家にひさぐわらび餅★★★

●古田敬二
蟻出ずる見つけて止まる三輪車★★★
やや濁り雪解の木曽川光りけり★★★
着地点探して舞うよ春の雪★★★

●藤田洋子
ひと雨に山がふくらむ彼岸明け★★★★
彼岸が明けると、寒さから解放されたように、ひと雨に足りて木々が芽吹き、山がふくらむ。「ひと雨」「彼岸明け」の季節の微妙な変化をよく捉えて秀句となった。(高橋正子)

春の雨ときに寺領の鵯が鳴く★★★
竹林に彼岸の雨の音を聞く★★★

●多田有花
初桜いつもの嶺のいつもの木★★★
<妙見富士登山二句>
円墳の連なる彼方春の山★★★
満天星の花咲く道を頂へ★★★★

●河野啓一
千秋楽夕陽を受けて木瓜の花★★★
箕面川流れ聞きつつ葱坊主★★★
麦青む頃となりけり畝傍山★★★

●小西 宏
鳥は陽を揺らして啼けり花盛り★★★★
むちむちと赤子の足のごとき花★★★
風少し吹いて桜の川堤★★★

●桑本栄太郎
芽柳の揺れて青空ゆるぎなし★★★
手を打てば翔び出しそうな花豌豆★★★
山崎の駅のホームや連翹黄 ★★★

●高橋秀之
八朔柑おまけの一つがこぼれ落ち★★★
桜咲く子連れの母が一休み★★★
走り寄る子の両の手に風車★★★★
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3月23日(土)

2013-03-23 04:07:42 | Weblog
●小口泰與
精悍な雉の走りや朝ぼらけ★★★
熊蜂の威嚇や利根の瀞制す★★★
種袋振るや箱庭ほほえみし★★★

●迫田和代
山桜遠くに沈む青い海★★★
初燕ふるさとの祖母想うてか★★★
時雨降り外出やめた車椅子★★★

●黒谷光子
髪カットして春風の湖辺まで★★★★
すっきりと髪を切った項を春風が通りすぎる。気持ちも爽やかに、足もついつい湖のほとりまで延びた。春風の湖辺がロマンティック。(高橋正子)

湖近き街の軒並み木瓜の花★★★
三月の婚へ列車の時刻表★★★

●河野啓一
街角に清らな色や初桜★★★★
街角で、ひときわ清楚な色を放つ桜。それも初桜なので、ういういしい清楚さが街も人の気持ちも浄化してくれる。(高橋正子)

花だより心華やぎ小径ゆく★★★
満開も近く大和の山桜★★★

●桑本栄太郎
春潮や風に耀よう波頭★★★
料峭の六甲ライナー海の上★★★
春日さす運河に舫う浚渫船★★★

●小西 宏
坂ゆけば花を過ぎ行く人の影★★★
見上げれば空輝ける花盛り★★★
夕暮の丘膨らませ花満開★★★

●藤田裕子
手の中に蕗の薹の香を包む★★★
黄の色をひらひら浮かせ木々の蝶★★★
歩道にはパンジー安らぎの揺れをもち★★★

●高橋秀之
ぶらんこや二人並んで前後ろ★★★
バイバイの声ぶらんこの揺れ止まる★★★★
初日から誘い合わせて春休み★★★
コメント (1)
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3月22日(金)

2013-03-22 10:40:01 | Weblog
●小口泰與
天と地の響く怒りや春嵐★★
春嵐怒髪天つく榊かな★★★
あけぼのの木々の憤怒や春嵐★★★

●河野啓一
わが町にようやく出合いし初桜★★★
街角に清楚な色やさくら咲く★★★★
門辺にも草花とりどり春が来た★★★

●多田有花
東京はすでに花見と聞く彼岸★★★
梅が香と日差し楽しむ木のベンチ★★★
花前の枝を仰げる午前午後★★★

●祝恵子
途中下車寒緋桜の下におり★★★★
この道を誰かが掃いてさくら咲く★★★
雪柳転々と登り花白し★★★

●桑本栄太郎
川に沿い土手の蛇行や青き踏む★★★
野の梅の峰に抱かれ天王山★★★
鉄橋の土手を跨ぎて草青む★★★

●井上治代
弁当に韮卵そえて子に持たす★★★
春嵐日本列島揺るがしぬ★★★
仲春の正午のチャイムのびやかに★★★

●佃 康水
誕生日2句
スイトピー添えて花籠届けられ★★★
祝われて姉の手染めの春ショール★★★
初ざくら瀬戸のさざなみ煌めけり★★★

●小西 宏
碧き川漕ぎ行く船の若桜★★★
風止めば雨降りきたる桜の夜★★★
木々の葉の生ゆるは見えず朧月★★★

●高橋秀之
一本の桜の先は青き空★★★★
「一本の桜」がよい。大きな木であれ、小さな木であれ、その桜には青い空がある。うれしいことではないか。(高橋正子)

残雪の冠鮮やかこれぞ富士★★★
春の朝の眩しき日差し富士の山★★★
コメント (1)
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