◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

10月13日-14日

2013-10-14 07:14:16 | Weblog
10月14日

●小口泰與
雀らの高音となりし刈田かな★★★
母郷へと高ぶる帰心初もみじ★★★
鳥渡る風雅の旅へ行きたしよ★★★

●多田有花
秋祭り太鼓の音の麓より★★★
秋陽強し屋台が町を巡行す★★★

栗の毬数多落ちたる尾根の道★★★★
尾根伝い自体楽しいものだが、それに栗の毬が落ちていたりすると、深まる秋を感じさせられ、特に拾うわけでもないのに楽しい気持ちになる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
青空に朝の旗火や体育祭★★★★
「旗火」は、昼花火とは別物で、鳥取地方の方言かもしれないが、運動会などで開催を知らせる音だけの花火のこと。青空に向かって体育祭の開催を知らせる音だけの花火がばばーん揚がる。子供のころの運動会を思い出すような、秋冷の朝である。(高橋正子)

秋天の生駒嶺遠くうねりけり★★★
やわらかなみどり膨らむ芙蓉の実★★★

10月13日

●高橋秀之
陽に向かい赤く大きくハイビスカス★★★
夕暮れの雲間に白く秋の月★★★
秋いずこ三十度超す温度計★★★

●小口泰與
田の刈られ畔にありあり曼珠沙華★★★★
熟田の畔に沿って咲く曼珠沙華は色彩が鮮やかで日本の秋を象徴する景色の一つになっているが、稲が刈られたあと、畔に残された曼珠沙華が一抹の寂しさ、姿がありをもって咲いているのも、ありありとした姿が見えて惹きつけられる光景だ。(高橋正子)

我が在の赤城の風の冷ゆるかな★★★
秋蝶の万里の波濤越え行けり★★★

●多田有花
水平線はるかに秋の海光る★★★
秋空より飛行機ゆっくり降りてくる★★★
六甲の山襞に秋の夕日影★★★

●桑本栄太郎
雲影の稜線走り秋の峰★★★
雨雲の中に青空野分めく★★★
走り根につまずき歩む天高し★★★
コメント (3)
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10月11日-12日

2013-10-12 08:45:27 | Weblog
10月12日

●河野啓一
きんもくせい町内広く香らせて★★★★
町内のあちこちから金木犀が匂ってくる。「金木犀」に着目すると、まるで一木が町内に広く香りを広げているように感じられる。着目がユニーク。(高橋正子)

椿の実黒光して部活かな★★★
温め酒恋しき夜や病棟に★★★

●小口泰與
ぴいぴいと我が物顔の鵙の群★★★
山路きて数多どんぐり踏みにけり★★★
無残なり破れ葉にからぶ秋なすび★★★

●迫田和代
朝早く窓に映った雁の列★★★
月さやか我が影伸びる帰り道★★★
父母の歳越えた吾の秋彼岸★★★

●多田有花
芽を出すぞというじゃがいもを肉じゃがに★★★
窓開けて風を入れるや秋暑し★★★
稲架並ぶ向こうに色づく晩稲の田★★★

●桑本栄太郎
白花のひとつ残りて萩は実に★★★
解き放つ脇につぼみの椿の実★★★
びつしりと色の深みや実むらさき★★★★
実むらさきは、「びっしりと」と言って決して憚らないほど実をつける。紫色の実は「色の深み」を実感させるのだ。「色の深き」ではなく、「色の深み」と捉えたところが素晴らしい。(高橋正子)

10月11日

●小口泰與
どんぐりのばしっと落つる湖面かな★★★
秋深し眼間せまる山の襞★★★
雀追う鴉ぴょんぴょん刈田かな★★★

●桑本栄太郎
 白内障手術入院の病室より
青空の稜線近き秋の峰★★★
青空に雲の茜や秋入日★★★

眼帯を外し眩しき秋日かな★★★★
眼帯を外したとたん、目にまぶしい秋の日。手術の成功と光りが見え、物の見えるうれしさがこの一瞬にあった。(高橋正子)

●多田有花
ずっしりと袋に重き薩摩芋★★★★
里芋、じゃがいもなどに比べると、ずっしりとした重さを一番感じるのは薩摩芋だろう。形が大きいというだけではなく、実入りの良さを感じるのだ。食べる楽しみもさらに加わってくるのだ。(高橋正子)

嵐去り空に泳ぐや鰯雲★★★
秋の昼河原に響くサクソフォン★★★

●小西 宏
澄む空に大きな梨を食い太る★★★
栗鼠の尾の叫びに高し昼の月★★★
露草と赤のまんまの語り合ひ★★★
コメント (2)
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●投句箱10月1日~10日●

2013-10-10 05:27:53 | Weblog
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
コメント (61)
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10月10日

2013-10-10 04:46:45 | Weblog
●小口泰與
晩秋の湖心舟影長きかな★★★
名月や雲ひとつ無き明けの空★★★
朝寒と言葉かわせし庭越しに★★★

●桑本栄太郎
 白内障手術入院より
秋日眩し瞳孔開く点眼液★★★
秋愁や明日の手術を想いおり★★★

手術終え群青紺や秋の宵★★★★
前書きに白内障手術とある一連の句。白内障のためにぼんやり濁って見えた景色が、手術を終え物が鮮明に見えるようになった。なかでも秋の宵の群青紺の空の色は格別美しい。その色が見えて感激である。(高橋正子)

●小西 宏
絹雲に葉の紅極む花水木★★★★
花も可憐で美しい花水木であるが、秋の紅葉した葉も捨てがたい。高層圏にかかる絹雲との対比に紅が際立つ。(高橋正子)

竹揉まれ台風近し寺の奥★★★
振り向けば金木犀の葉隠れに★★★
コメント (2)
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10月9日(水)

2013-10-09 05:50:42 | Weblog

○小口泰與
虫の音にお国訛りのありしかな★★★
夕映えを湖に沈めしななかまど★★★
榛名富士映す湖面や花すすき★★★

○多田有花
やわらかき陽にきらきらと秋の滝★★★
秋高し流れる雲を湯船より★★★
日本海を嵐が進む寒露の夜★★★

○小川和子
風集め風ひきうけて狗尾草★★★
コスモスの濃淡揺れて電車の灯★★★
悠久の空よ層成す鰯雲★★★

○古田敬二
池の傍芒まぶしくウェーブする★★★
視野一杯広がる芒のまぶしかり★★★
落日に芒の原の白ひかり★★★
落日に白く光れる芒原★★★★(正子添削)
いよいよ日が落ちようとすると、芒原が一面に白く輝く。やわらかい、白い光の美しさが侘しさを伴って広がる景色がよい。(高橋正子)
コメント (1)
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