◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

10月20日

2013-10-20 06:21:54 | Weblog
●小口泰與
うつし世の日の出のようや花かんな★★★
どんぐりの沼に落ち込む力かな★★★
花そばや毛の三山に雲の無し★★★

●河野啓一
色付きし柿の実眺むまだ薄き★★★
秋雨のそぼ降る中や門に立つ★★★
白秋の雲薄くして空広し★★★★

●高橋秀之
瀬戸内のその先遠く高き空★★★★
瀬戸内海の島々が浮かぶその先が遠くまで広がり、そこに高い秋の空がある。穏やかな瀬戸内海の秋の風景が楽しめる。(高橋正子)

胡堂前道行く人に今年酒★★★
路地裏の格子戸秋の薄日差す★★★

●多田有花
茹でてから皮を剥くのよ里芋は★★★
囲われて菊ゆっくりと開花する★★★
降る雨に紅葉かつ散る桜かな★★★

●桑本栄太郎
<神戸六甲アイランド埠頭へ>
秋潮の空へと滑りモノレール★★★
秋潮の海辺のカフェの日差しかな★★★
さんざめく風の波頭や秋の潮★★★

●小西 宏
雲紅く染めて台風去りし朝★★★★
台風が去ったあとの朝焼けの空。まだ、不安が残る朝の空だが、台風が去ったことには間違いない。これからすっきりと晴れてくるだろう。(高橋正子)

烏賊舟の並び輝く月の海★★★
秋の葉の色混ぜて山夕映える★★★
コメント (2)
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●投句箱10月11日~20日●

2013-10-20 01:04:07 | Weblog
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
コメント (74)
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10月18日-19日

2013-10-19 07:20:40 | Weblog
10月19日

●迫田和代
お終いの皿の上なる青葡萄★★★
摘菜に上から水をザーザーと★★★

コスモスやコスモスらしく風を受け★★★★
コスモスは、いかにもコスモスらしく風を受けている。コスモスを吹く風はコスモスをコスモスらしくさせているのだ。言われて、然りだが、和代さんの真骨頂の句だと思う。(高橋正子)

●小口泰與
振り向くと利鎌の月に退さりけり★★★
夕映えや秋のちょうちょう急ぎゆく★★★
上州の風の無き日の種なすび★★★★

●多田有花
鉢植えの菊を運びし軽トラック★★★
雨あがり新高梨を買い求む★★★

十月桜雨の滴を宿し咲く★★★★
消え入りそうに咲く十月桜が、雨の滴を宿している。「滴を宿す」というが、十月桜は、滴に花が包まれている感じさえする。そんな美しさがある。(高橋正子)

●桑本栄太郎
山崎の隘路にコスモス畑かな★★★
大阪駅ビルの谷間の秋日影★★★
実ざくろの赤や芦屋の家々に★★★★

●祝恵子
腰落とせアナウンスの声運動会★★★
秋苗を植えれば学童帰りゆく★★★

しりとりをしつつ帰る子秋の暮★★★★
女の子たちであろうか。秋の暮をきりもないしりとり遊びをしながら帰る子どもたちが、かわいらしく、ほほえましい。作者の子らへの眼差しがやさしい。(高橋正子)

10月18日

●小西 宏
台風の遥かに去りし波の音★★★
海暮れて紅灯す芒の穂★★★
月昇る遥かに海を広げつつ★★★★
「海を広げつつ」に、新鮮な驚きがあり、臨場感がでた。月が昇るにしたがって、遥かの海を照らしていく。海の波がはっきり見てくる。少し寂しい月の夜である。(高橋正子)

●小口泰與
実むらさき清濁流す大河かな★★★
草紅葉志賀高原の空青し★★★★
志賀高原も草紅葉に彩られるようになった。澄んだ青空と草紅葉の対比にやさしさがある。(高橋正子)
やわやわと花そばゆるる山の裾★★★

●佃 康水
渋皮煮子らへ届けむ栗を剥く★★★★ 
栗の渋皮煮は手間暇がかかる。渋皮を破らないよう丹念に鬼皮をむき、剥いた栗を重曹で渋抜きをし、さらに砂糖を入れてことこと煮、それを一晩、二晩おいて味を含ませる。子らへの思いが、ひとつひとつの栗に、また作業に込められている。(高橋正子)

傷付けず栗剥き終えて渋皮煮★★★
明けやらぬ琵琶湖へ細き秋時雨★★★

●多田有花
部屋の戸をみな閉め切って秋深し★★★
ホットケーキに蜂蜜とろり秋の暮★★★
後の月テニスコートで見上げおり★★★

●下地鉄
秋風にゆられて返す穂波かな★★★
きりもなくよせる波音浜の秋★★★
その人から名の消え行く老いの秋★★★

●桑本栄太郎
浮かれ来るごとき青空野分晴れ★★★
朝日透き線路に沿いて芒の穂★★★
秋空へ赤きクレーンや高槻駅★★★
コメント (6)
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10月16日-17日

2013-10-18 07:08:34 | Weblog
10月17日

●小口泰與
望郷や蜂の子飯の甘辛き★★★
近道や刈田の香りくゆり満つ★★★

空澄むや木槌の音の伸びやかに★★★★
建築中の家があるのだろう。木槌を打つ音が澄んだ空から響いてくる。木槌の伸びやかな音に昭和への郷愁が湧く。(高橋正子)

●桑本栄太郎
ぷちぷちと歩み躊躇い木の実踏む★★★
歩みつつ木の実を拾う家路かな★★★

鈴懸けの実の青空へ野分過ぐ★★★★
鈴懸と野分のとりあわせに意外性があるが、それは今年の季節の意外性といってよい。今年は十月になっても大型台風が来た。野分が過ぎた後、鈴懸の葉が落とされ、実が明らかになる。青空の中の鈴懸のかわいらしい実が印象的だ。(高橋正子)


●川名ますみ
風一陣過ぎ富士山に秋のいろ★★★★
一陣の風が過ぎ去り、富士山は拭われたように一気に秋のいろとなった。「風一陣」は印象が強く、又三郎か、風神いるかが起こした風のようだ。(高橋正子)

野分中ときに閑かな音の来ぬ★★★
さあ富士を見せむと雲の野分晴★★★

10月16日

●小口泰與
昨晩の雨を鋤き込む秋の畑★★★
ざわざわと稲穂波だつ今朝の空★★★
初雁の火山灰の帯より往ぬるかな★★★

●黒谷光子
牛若を演ず少年さわやかに★★★★
牛若丸を題材にした能はいくつかあるようだが、この句は「鞍馬天狗」を鑑賞したときのことであろうか。美少年牛若のさわやかさが心に残る能である。(高橋正子)

篝火に天狗なお燃え秋の能★★★
能果てし神社を後に秋の雨★★★

●下地鉄
外にも出よ今日の秋日の美空かな★★★
荒芝に寄りあい老いの秋日かな★★★

秋風にカラカラ音する空弁当★★★★
「空弁当」にはっとした。空の弁当箱は、箸や仕切り板などがあって、提げればカラカラ音がする。秋風に吹かれて鳴るようでもある。秋風と空弁当、そして自分が、一つに、同じになったような心持が感じられて面白い。(高橋正子)

●桑本栄太郎
ぷちぷちと足裏優しく木の実踏む★★★
青空に風の名残りや辛夷の実★★★
<故郷の追憶より>
狛犬や鎮守の杜の椎拾ふ★★★★

●多田有花
雨あがり山野晩秋の色に★★★
台風の名残の雲が奥山に★★★

試みに新しき絵を描く秋★★★★
秋に「新しさ」を見た。仕切り直したり、また新たに始める。秋はそういった新しさに挑む季節のようだ。
コメント (4)
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10月15日

2013-10-15 08:23:49 | Weblog
●小口泰與
百千の鵙や電線我が物に★★★
秋深き赤城の襞の迫りくる★★★
山風に南へ藁塚の倒れけり★★★★
風によって南へ倒れるということは、もう、北風が吹き始めたのだろうか。刈田に立つ藁塚の倒れた様におかしみもあるが、寂しさもある。(高橋正子)

●河野啓一
あぜ道をたどれば秋日鳥の声★★★
森の辺の雑木色づく秋夕日★★★
さざめいていろは楓は渓のなか★★★

●桑本栄太郎
コスモスの宙の背丈よ青空に★★★★
青空の遠き木の枝や朝の鵙★★★
校庭の駐輪数多や体育の日★★★

●多田有花
澄む秋を映して青し音水湖★★★★
「音水湖(おんずいこ)」というのを初めて知ったが、西播磨の揖保川支流にできた人工湖とのこと。春は桜、秋は紅葉が楽しめるようだ。水はひたすらに青く、まさに「澄む秋」をそのまま映した湖だ。すっきりとした句だ。(高橋正子)

山里の青空に映え柿の色★★★
ひやひやと秋の雨降る午後となる★★★

●小西 宏
源流を滑らかに聞き赤のまま★★★
雨のごと木の実音する日暮れ道★★★
家閉じて台風を待つオンザロック★★★
コメント (2)
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