超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

多孔性ナノシートを用いて有機分子の超高速濾過を実現

2009年05月05日 20時25分26秒 | Weblog
 独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:岸 輝雄)ナノ有機センター(センター長:一ノ瀬 泉)の機能膜グループの研究者らは、計算科学センター(センター長:大野 隆央)の第一原理物性グループと共同で、水に溶けている1.5ナノメートル程度の有機分子を超高速で除去できる革新的な分離膜を開発し、膜内部の水の透過メカニズムを明らかにすることに成功した。

 水処理膜では、膜の厚みに反比例して処理速度が向上する。このため、溶存イオンや分子を除去できる極薄の膜の開発は、近年、国内外で活発に研究されてきた。このような膜は、地下水や河川から有害物質(農薬、ウイルスなど)を取り除くことで世界の水問題の解決に貢献し、人工透析膜などの医療分野への応用も期待できる。水処理膜は、膜の前後の大きな圧力差に耐えなければならない。

 このため、一般には、機械的強度が大きい芳香族ポリイミド1)やセラミックス、シリコンなどの無機材料を用いて製造されてきた。しかしながら、極薄の水処理膜の内部にナノスケールの流路を設計することが容易でなく、高い処理速度を実現することが困難であった。

 今回の研究では、極細の無機ファイバーを利用することで、30‐100ナノメートルの薄さのタンパク質(フェリチン)の自立膜を形成し、さらにグルタルアルデヒドという架橋剤を用いて、膜の力学的強度を向上させることに成功した。

 自立膜の内部には、直径約2ナノメートルの水の流路が無数に形成されており、有機分子をブロックしながら、水を超高速で透過させることができる。薄さが60ナノメートルの膜では、6,000 L/ h•m2•barという速度で、有機色素(プロトポリフィリン)を濃縮できることが実証された。この処理速度は、同様な分画分子量2)の限外濾過膜3)(またはナノ濾過膜4))と比較して約1000倍大きい。


 膜の厚さが数十ナノメートルでも十分にこし取る力があり、膜が薄くてすむため、速く濾過できる。塩分は除去できないが、農薬やウイルス、着色物質などの物質を取り除ける。ナイロンなどと同程度の丈夫さで扱いやすく、安価でもある。

 浄水装置に使われているセラミックス製の膜は、厚くて透過力が低く、外から圧力を加えて水を絞り出している。フェリチン膜なら圧力をかけずにすみ、省エネにつながるほか、浄化装置が安価で簡便に作れれば、途上国でも威力を発揮しそうです。

人は何歳まで働くことができるか?

2009年05月05日 20時10分12秒 | Weblog
 理想の退職年齢については長年議論されてきたが、米国経済の急激な不況に伴い、「働くのに年を取りすぎなのは何歳か(how old is too old to work?)」という疑問が人々の最大の関心事となっている。住宅ローン問題や株価暴落の影響による退職金の減少が懸念され、90歳を過ぎても働き続けるほかないという冗談もささやかれるが、実際にそのようなことが可能なのだろうか。

 研究者らによると、理想的な退職年齢というものはなく、高齢者でも新しいことを学び、鋭い思考力を保っていれば、雇用市場で引けを取らないことがわかっているという。米メイヨークリニック(アリゾナ州)神経学教授のJoseph Sirven博士は「働くのに年を取りすぎなのは何歳か」という質問への答えは「仕事ができなくなったとき」で、そうなるのを防ぐ方法は多くあるという。健康的に年を取る秘訣は忙しくあり続けること、それも運動や身体的活動ばかりでなく、むしろ精神面、認知面で常に活動的であることが重要だという。

 今日では、高齢者がそれまでの仕事を辞め、自分の技術や経験を活かしつつ年齢の問題も考慮に入れて別の職に転職することも多いという。従来の退職年齢である65歳を超えても仕事を続けたければ、自分の特質と短所を見極める必要があるとSirven氏はいう。高齢者は素早く機敏に動くことはできないかもしれないが、知恵と経験があり、過去の不況を体験している点でも若い同僚から評価される可能性があると同氏は述べている。

 米スタンフォード大学(カリフォルニア州)精神科臨床准教授のJoy L.Taylor氏は、技術を磨き続けることで仕事の実績に差が出ると強調している。同氏は、米国連邦航空局(FAA)が職業パイロットの退職義務年齢を60歳から65歳に引き上げたことを受け、40~69歳の非職業パイロットを対象に年齢が認知能力に及ぼす影響について検討した。その結果、60~69歳のパイロットは、最初は若いパイロットに比べて技術が劣っていたが、フライト全体の成績では差が小さくなったほか、時間とともに「回避(traffic avoidance)」能力については若手よりも大きな向上がみられることがわかった。

 この研究は、Sirven氏らによる論説とともに、医学誌「Neurology(神経学)」2007年2月号に掲載されたものである。Taylor氏らは現在、着陸待ち旋回飛行時などの運動技術についての年齢による低下をパイロットへの特別な訓練によって克服できるのかどうかを研究している。

 退職する平均年齢を過ぎても仕事を続けるためには、新しい言語や楽器を学ぶなど、常に新しい取り組みに自分を駆り立てることだとSirven氏は助言している。Taylor氏は、仕事の技術の維持、運動や健康的な食生活を勧めており、認知面と身体面の健康はどちらも同じくらい重要であると指摘している。

新しい結核ワクチンが安全性試験をパス

2009年05月05日 20時04分07秒 | Weblog
 実験段階にある結核ワクチンMVA85Aについて、小規模の第I相試験で安全性が示されたことが、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(呼吸器・クリティカルケア医学)」で報告された。

 今回の研究は、潜在性結核感染症患者12人を対象としたもの。世界人口の3分の1がこの潜在性感染者であると考えられており、再活性化すれば発病の原因となりうる。肝炎やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)への感染などの悪化因子のない被験者にこのワクチンを接種し、1年間追跡した結果、ワクチンが安全であり、免疫病理学的反応を誘発することなく、免疫原性を獲得するとの結論に達した。一部の被験者には発熱、頭痛、倦怠感および接種部位での軽い反応などの副作用がみられた。

 研究を率いた英オックスフォード大学のHelen McShane博士らは、今回の研究が結核を撲滅する取り組みの中で重要なステップとなる可能性があると述べている。潜在性感染によってワクチンの効果が低下したり、副作用が悪化したりする可能性があるため、新ワクチンの開発では必ず潜在性感染を考慮に入れる必要があるという。「現在利用されているカルメット‐ゲラン桿菌(BCG)接種よりも効果の高いワクチンが開発されれば、大きな影響を及ぼし、この世界的な感染状況を最も効果的にコントロールできる方法になると思われる」と研究グループは述べている。

 結核の発症に対するワクチンの有効性を評価するには、結核の流行地域でさらに大規模な試験を実施する必要があるが、今回の結果は極めて有望なものであり、開発をさらに進める正当な理由となるものだと同氏らは述べている。

ブロッコリーの新芽に胃潰瘍や胃癌(がん)の予防効果

2009年05月05日 20時01分31秒 | Weblog
 1日に約70gのブロッコリーの新芽(スプラウト)を食べると、胃潰瘍のほか、おそらく胃癌(がん)のリスクも軽減されることが、東京理科大学教授の谷中昭典博士らの研究で明らかにされた。これまでにも、ブロッコリーの摂取により食道癌、膀胱癌、皮膚癌、肺癌をはじめ多数の癌のリスクが低下することが示されているが、さらにここに胃癌が加わることになる。

 共著者の1人である米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)医学部のJed W.Fahey氏によると、この予防効果をもたらしているのは、ブロッコリーに含まれるスルフォラファン(sulforaphane)という成分だという。Fahey氏らは、2002年にスルフォラファンがヘリコバクター・ピロリ菌(H.pylori)の殺菌効果を有する可能性を初めて記載した。医学誌「Cancer Prevention Research(癌予防研究)」4月号に掲載された今回の研究は、スルフォラファンの豊富なブロッコリー・スプラウトの摂取によって、胃の損傷および癌リスクと密接に関連するピロリ菌が減少するかどうかを調べたもの。

 米国ではピロリ菌の感染率が25~30%であるのに対し、日本では感染率が90%に近い。今回の研究はピロリ菌感染者48人を対象に日本で実施されたもので、半数は1日70gのブロッコリー・スプラウト、残りの半数はスルフォラファンを含まないアルファルファ・スプラウトを摂取。8週間後、ブロッコリー群にはピロリ菌の感染レベルに有意な低下がみられたが、アルファルファ群には低下が認められなかった。

 米ノースカロライナ大学栄養学研究所のSteven H.Zeisel博士によると、スルフォラファンはブロッコリーを歯でかんで細胞が壊されたときに初めて形成され、それによって肝臓から発癌物質を不活性化させるのに重要な酵素が産生されるという。食事に取り入れる量を増やせば、有益な生物活性物質の産生を促すことができ、ブロッコリーでもよいがブロッコリー・スプラウトだとなおよいと同氏は述べている。

 しかし、中には錠剤などで簡単にスルフォラファンを摂取しようとする人もいる。「すべての人の食生活を変えさせることは不可能。錠剤でも何もしないよりはいいが、錠剤を多量に摂るのを勧めるわけではない」とFahey氏は述べている。Zeisel氏は「植物に含まれるさまざまな成分を併せて摂ることによって効果が発揮されると考えられ、抽出して錠剤にしても必ずしも効果が得られるとは限らない」と指摘している。

緑茶やオリーブ油の抗酸化作用は保存期間の長さに伴って消失

2009年05月05日 19時53分44秒 | Weblog
 抗酸化物質が豊富に含まれる食品の健康面での有益性は、食品の保存期間に伴って減少していくことが2つの新しい研究で示された。市販の緑茶およびオリーブ油を保存した場合、抗酸化作用がどのくらい維持されるかに着目したもので、いずれも科学誌「Journal of Food Science(食品科学)」に掲載された。

 第1の研究は、緑茶の葉に含まれるカテキン類について調べたもの。カテキン類は細菌やウイルスを撃退するほか、癌(がん)細胞の活性を阻害する作用もあるとされている。しかし、市販の緑茶は腐らず、長期間保存される可能性があることから、米国農務省(USDA)西部地域研究センター(カリフォルニア州)のMendel Friedman氏らは、長期保存によるカテキンの持続性を検証するため、米国、韓国および日本で市販されている8種類のティーバッグの緑茶を元の包装のまま68°F(20℃)の暗い室内で1週間、1カ月、2カ月、4カ月、6カ月にわたり保存した。その後、茶葉を粉砕して熱湯に入れた後、冷まして分析を行った。

 その結果、保存期間の早い段階から抗酸化物質の減少がみられ、6カ月後には8種類の緑茶のいずれもカテキン濃度が急激に減少した(平均32%)。最も多く含まれるカテキン類であるエピガロカテキンガレート(EGCG)は6カ月後には28%、次いで多く含まれるエピカテキンガレート(ECG)は51%減少することがわかった。Friedman氏は、この研究は予備的なものであり、市販の緑茶の栄養素がすべて同じようなペースで減少するとは限らないと付け加えている。

 一方、イタリア、Foggia大学のAntonella Baiano氏らによる研究は、エクストラ・バージンと呼ばれるオリーブ油に着目したもの。エクストラ・バージンは製法が厳密に定められており、含有されるフェノール化合物が抗酸化物質として作用し、心疾患、脳卒中、ある種の癌のリスクを低下させると考えられている。アプーリアApulia地区の2箇所の果樹園でオリーブ収穫後24時間以内に製造された数種類のエクストラ・バージン・オリーブ油について製造、包装の過程を通じて分析した結果、3カ月までの保存では抗酸化作用に変化はみられなかったが、6カ月後にはほとんどのオリーブ油で抗酸化作用が40%低下することがわかった。

 「未開封のままなら栄養的価値が損なわれることはないと考えている人にとっては意外な結果かもしれない」とある専門家は述べ、食品を購入する際には短期間に使いきれるかどうかを考える必要があると助言している。オリーブ油を保存するときは、色つきの小さめのガラスびんに入れ、室温68~77°F(20~25℃)の暗所に保存するのが理想だという。


ここまで細かい研究は今までされていなかったと思う。
抗酸化作用の成分がここまで減少してるのも予想を超えていました。
やはり新鮮なものには勝てないってことだね。