超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

アルゼンチンアリ、7府県で拡大中

2009年05月25日 00時39分00秒 | Weblog
体長2.5ミリと小柄ながら繁殖力が極めて強い、南米原産の外来種アルゼンチンアリが、国内で広がっている。在来種のアリを激減させるなど世界各地で問題となり、国際自然保護連合は「世界の侵略的外来種ワースト100」に挙げる。日本では93年ごろに広島県廿日市市で見つかって以来、現在7府県で確認されている。生息区域が広がっている愛知県田原市では今夏から本格的な駆除に乗り出す。

 田原市がこのアリの侵入を把握したのは05年夏。市役所そばの専門学校からの報告だった。同校では前年夏に「見慣れないアリの集団」を見かけ、当初は市販の殺虫剤で駆除した。年が明けてまた同じアリが出たため専門業者に相談したところ、アルゼンチンアリと分かったという。

 市は、近くの町内会向けに回覧板や説明会で、在来アリとの見分け方や駆除方法などを知らせ、環境省にも相談した。06年度から3年間の調査で市役所周辺での生息が判明。年間約100メートルずつ、生息範囲が広がっているというデータもあった。昨年は試験的に、約13.7ヘクタールに、ホウ酸などの毒入りのエサを置く駆除を行った。

 アルゼンチンアリは、環境省の特定外来生物に指定されている。女王アリが複数いて繁殖力が強く、圧倒的な数で在来アリのエサを奪って絶滅に追い込むなど、生態系を壊す恐れが深刻だ。

 生態に詳しい建設コンサルタント会社「復建調査設計」(広島市)の亀山剛係長は、「民家に入り込んで集団で食べ物に群がったり、寝ている人の体の上をはい回るなど、人間の生活に強い不快感を与える害虫。人間をかんだり刺したりはほとんどない」と話す。

 国内ではこれまでに、神奈川、愛知、岐阜、大阪、兵庫、広島、山口の7府県で確認されたが、侵入経路の特定には至っていない。

廿日市市は国内でいち早く駆除対策を始めたが、分布範囲が広く、まだ有効な効果は見られていない。田原市環境衛生課は早ければ7月にも、町内会などの協力を得て3日間、住宅や公園、道路などにゴキブリ退治と同様の仕組みの毒エサを設置する。

 22日は国連が定めた「国際生物多様性の日」。国連大学(東京都)で開かれたシンポジウムでは、アルゼンチンアリのように人間が意図していないのに海外から侵入してきた外来種をテーマに討論が行われた。講演したアハメド・ジョグラフ生物多様性条約事務局長は「世界規模の貿易や人の移動で、外来種問題と無関係でいられる人はいなくなった。経済的な損失、人や動物の健康と福祉に与える悪影響も極めて大きい」と警告した。

 同条約事務局によると、外来種が地球全体で引き起こす経済損失は、年間1.4兆ドルにのぼるとの試算がある。


本種の根絶は容易ではなく、専門家ですら不可能としている。おそらく効果的な駆除法は未だに見つかっていないものと思われる。というのも、効果的に駆除できるのならこんなにも世界中に広がることはないからである。また情報源によって内容が異なるのも有効な駆除法がないことを伺わせる。

現在研究中の方法

アルゼンチンアリのフェロモンを使う方法について現在研究がなされている。アリの外骨格は、炭化水素の混合物で覆われている。この物質はその成分や成分比などが群れによって異なり、アリはそれを化学的に分析して相手が仲間かどうかを見分けている。

このフェロモンに類似した合成物質はすでに開発されており、この合成物質がアリを騙すことができるなら、合成物質が体表に付着したアリは他のアリに他のコロニーのメンバーと間違えられ仲間に殺される。この合成物質が成功するか否かは製造コストや、方法の容易さ、アリ以外の生物に対する毒性、再使用が効くか否かといった条件にかかっている。また他の方法と組み合わせることでもっと効果的な防除が期待できる可能性がある。