4月25日(火) 恩田俳句教室の巻
今年度は新しく2名が参加され、1名休会の、11名でスタート。
私の俳句教室はそもそも初心者を対象にしたものなので、〝入門〟という言葉が付いています。
だから、入会される方は殆どが始めてなのですが、ある程度テレビや本などで予備知識を持って
来られますので、呑み込みも早いです。一応添削教室という形でやっていますし、
句会にしろ吟行にしろ10名前後がベストメンバーですね。
さて挨拶が済んで、「では、今日の…」と言う間もなく、私はお茶を零してしまいました。
それも熱~いお茶!まだたっぷり入っていたのを、胸から膝へ…もちろん机のプリントにも。
もう、後の祭りです。ちょっとした油断が…ウ~ン大事な(?)胸がやけどしたかも…でも熱かったぁ~
「先生、災難続きで…水難の相があるんでは?」と。
そう、みんなブログ読んでくれているんですよ、アリガタイ。
そうこうするうちに今度は、みなさんの添削句稿を忘れて来ていることに気付き…
もう〝踏んだり蹴ったり〟です。先日の〝三隣亡〟ならぬ〝泣きっ面に蜂〟〝弱り目に祟り目〟…
今考えたらいろいろありましたね。後から思い付くなんて…まあ何でもそんなもんですね、俳句も。
今日の兼題は「雲雀」
日本各地の麦畑や草原など、どこででも見かけて春を代表する小鳥。特に空高く舞い上がって囀るので、
それを「揚雲雀」、上り詰めると今度は一直線に落下するので、「落雲雀」。
では今日の傑作を! 〈紺碧に羽いそがしく揚雲雀〉
新人さんの句ですが、季語は一つ、575の定型という基本ももうバッチリ!言うことなしです。
そこで「この雲雀どうして忙しいのですか?」と聞くと、「そう見えたから…」そりゃそうでしょうね。
見たものを見たまま詠みなさいよ、なんて教えてるんだから。じゃこれでよしと…
でもせっかくここまで勉強に来て、手ぶらでは帰れませんよね。どうしましょうか?
この句は「いそがしく」に作者の独自の目があるのですから、やはりそこを生かしてあげなくては…
そこで助け船が出ましたよ。「先生、雲雀には何か聞きなしがありましたよ」と。何々?
聞きなしとは、鳥のさえずりなどの節回しを、それに似た言葉で置き換えること。
例えば、フクロウの「ぼろ着て奉公」とかホトトギスの「特許許可局」などのたぐい。
では雲雀はというと、私は囀りの「ピーチュル」しか知らなかったのですが、教えてくれました。
「リートル・リートル・ヒーチブ・ヒーチブ」、即ち「利取る、日一分」で、
太陽から借金を取り立てようとしているのだとか。すると、また誰かが
「一升貸して二斗取る…」もあるよと。もうオドロキです。ナンと雲雀というのは欲張りな、
それも、一升で二斗とは…すごい高利貸しじゃあねぇ~。可愛い雲雀の印象がガラリと変わりました。
フゥ~ン、これはいいこと聞いた!これを使わぬテはないゾ、と以下の句になりました。
「揚雲雀」で空はもう見えるので「紺碧」は削りましょう。また、ここではあまり色は意味ないし、と。
借金を取りに忙しく揚雲雀
ちょっと川柳的にはなりましたが、あの高い空でうるさく鳴き立てる雲雀の声が聞こえるでしょうし、
作者の好意的でない気持ちも、また聞きなしを知らない人も〝へぇ~なるほど〟と思ってくれるのでは。
もう一つ、〈雲居より声姦しく恋雲雀〉というのがありまいた。
「雲の中での恋」ホント?「でも雲の中から雲雀の声がするもの、あれラブラブなんでしょう?」と。
すると、「雌は啼かないよ」とか「巣は草の中や麦畑にあるじゃん…」とか、みなさん博識なこと!
結局あの空での囀りは、縄張りを宣言しているのだということに。そこで、次のようになりました。
雲居より威を張る声の雲雀かな
以上、この日の句会もハプニングはありましたが、新しいことに出会えてよかったぁ~。感謝!
お口直しに、我家の「豊後梅」、去年は剪定しまくったので成らず、今年はこんなに…