より良き明日の為に

人類の英知と勇気を結集して世界連邦実現へ一日も早く

朝三暮四の愚

2021-12-29 16:37:33 | より良き我国のために

 皆さんは「朝三暮四」という中国の故事をご存知でしょうか。中国宋の狙公が猿を飼っていて、その猿たちに栃の実を朝三つ晩四つ与えると言ったら猿たちは怒ったが、朝四つ晩三つにすると言ったら喜んだという故事です。目先の利にとらわれて、結局は同じ結果であることを理解しないことの例えです。この話は朝から晩までで完結しますが、私は幾つもの世代を超えるレンジの長い話として考えてみます。

 10月末の衆院選挙では与野党問わず公約は大盤振る舞いでした。消費税減税や現金給付などです。財源は全て赤字国債ですから子や孫に借金を背負わせることになります。しかしコロナ禍のパンデミック下で収入が途絶え、死を選ぶ人が増えている中ではやむを得ない施策と言えます。世界各国も同様に国債を発行して国民の命と生活を守ろうとしています。

 問題はパンデミック以前2019年の政府総債務残高(対国内総生産(GDP)比)で日本は世界最悪の235%、先進7か国(G7)ではイタリア135%、アメリカ108%、フランス98%、カナダ87%、イギリス85%、ドイツ59%です。日本のこの惨状の原因は何でしょうか。日本は財政法第4条で「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」つまり借金財政不可としています。しかし1975年大平蔵相は赤字国債を発行しました。「万死に値する」とはその際の大平氏の言葉です。その懸念は当たり、その後ほぼ毎年度赤字国債の発行が続いて今日の巨額借金に成長したのです。その間にこの度のコロナ禍の様な非常時が続いたならまだしも、十年前に東日本大震災があっただけの平常時が続く中で漫然と積み上げた借金でした。

 国民が選挙で政権を選ぶ民主主義国家では、選挙を前にした政党は競って有権者の耳に心地よい政策を掲げます。例えば安倍内閣の2度にわたる消費税増税延期がそれです。逆に政府は有権者が反発する政策は選挙後に持ってきます。例えば憲法9条を解釈改憲した安倍内閣の安全保障法強行採決がそれです。

 財政法4条を守らず、借金を膨らませる政権を漫然と選び続ける日本の有権者は「狙公の猿」と似ていませんか。自分たちが稼ぎだす以上の浪費生活を謳歌して栃の実4つを食べ続け、その返済の為に3つしか食べられなくなる子孫のことは考えないのです。

 最近は現代貨幣理論(MMT)を唱える人がいます。インフレにならない限り、自国通貨での国債発行を続けても国家破綻しない、という考えです。著名な経済学者や政治リーダーでこの理論に与する人は見当たりませんが、コロナ禍以前の我が国の財政政策はまさにMMTそのものです。

 このところ米国などの先進国がコロナ禍を脱して経済が上向き、インフレになって量的緩和の収束と利上げを見据えています。その結果日本の金利が相対的に下がり、円安を招いています。現在の日本は円安のメリットよりも食糧や石油の輸入の際のデメリットが多いので物価高つまりインフレとなるでしょう。それは取りも直さずMMT理論の「インフレにならない限り」という前提が崩れることであって国家財政破綻に繋がるのです。

 話は変わりますが、我が国の原子力発電政策にも有権者の「狙公の猿」ぶりが見られます。政府は原発が運転中に二酸化炭素(CO2)を出さないクリーンエネルギーだとして2030年での電源構成原発比率を20~22%とし、以後はゼロを目指すとしています。しかし原子燃料製造時と使用後の放射性廃棄物は10万年保管が必要です。その廃棄物は稼働すればする程増えて行きます。今を生きる有権者は比較的安い(と政府が言う)原発エネルギーを使えます。つまり栃の実4つです。以後10万年に至るまでの子々孫々は原発エネルギーを使えず、我々が残した放射性廃棄物の管理だけを続けます。つまり栃の実3つです。

 福島第一原発事故を引き起こしても尚原発に依存する現政権を選ぶ我が国の有権者は「狙公の猿」度が高いのです。一方ドイツは日本の原発事故を見て脱原発を選びました。来年には残った最後の原発も停止します。「狙公の猿」度は略ゼロと言えます。栃の実1つを半分に割って、今を生きる自分たちと子々孫々共に3つ半を公平に分けようとしているのです。

 我が国の有権者の皆さん、「狙公の猿」から脱却しましょう。我々を「狙公の猿」と見くびって赤字国債を当て込んだ甘い話で票を集めようとする政党の顔を思い切りひっかいてやろうではありませんか。


オミクロン株侵入阻止の徹底を!

2021-11-28 18:01:57 | より良き我国のために

 南アフリカで25日に発表された新型コロナウイルスの変異型オミクロン株は免疫をすり抜ける能力を持ち、これまでに開発されたワクチンが効かない可能性を秘めていると言われています。既にこの数日で南アフリカ周辺国、欧州ではドイツ、チェコ、イギリス、イタリア、ベルギー、アジアでは香港で感染が確認されています。まさに燎原の火を見るような広がり方でデルタ株を超える強敵です。

 欧州各国は感染国との往来を遮断、検査体制の格段強化などで完璧に近い水際作戦を取りました。これに対して我が日本は今回も遅れています。南アフリカとその周辺9か国からの入国者に対して10日間の待機を義務付けただけです。そもそも入国を認めるだけでも危険であり、かつ新型コロナウイルスへの基本対応である14日間の待機に満たない中途半端なものです。

 日本政府の対応の遅れは最近の感染者数激減による慢心でしょうか。来年1月から再開予定のGoToトラベルへの悪影響を避けたいのでしょうか。はたまた航空会社を含む旅行業界に忖度しているのでしょうか。しかしその遅れの為に多くの命が失われる危険性が高いのです。欧州諸国に劣らぬ完璧な水際作戦を取るべきです。

 加えてファイザー社を含む国内外の製薬会社には一日も早くオミクロン株対応のワクチンの開発と量産、出荷を要望致します。


与党に投票する皆さんへ

2021-10-28 17:41:40 | より良き我国のために

 私の知人Aさんは数年前に内蔵がんを患い、遠く離れた都内の公立病院で手術して回復しました。その際地元の自民党国会議員の紹介を受けたというのです。「国公立病院には与党国会議員の紹介が効く」とのことでした。知人Bさんは数年前、職場のOB会報に「政府主催の桜を見る会に参加しました」と書きました。職業上顕著な功績があった訳ではないので有力な与党国会議員の推薦枠に入った後援会員と言ったところでしょうか。知人Cさんは「やはり地元に自民党国会議員が居て良かった。道路が良くなった」と言いました。国会議員が地元の為に「我田引水ならぬ引道」するのは当たり前と考えているのです。

 私が彼らの与党国会議員への投票行動を問題にするのはそれが彼らの個人利益や地元利益に結び付いている点です。「後援会員でいれば何かの時に役立つ」、「上級国民になれる」そんな意識が潜んでいないでしょうか。議員側にとってその様な有権者は好都合です。持ちつ持たれつの関係を築けて厳しい批判は受けないからです。まさに悪代官と越後屋の関係と言えます。

桜を見る会の安倍氏の後援会はこれに近いですね。一昨年は約800人に膨らみ、前夜祭では安倍氏側の金銭補填を受けた様ですが、二階自民党前幹事長は「議員が後援会を大事に思うのは当然」と弁護し、安倍氏の元秘書で下関市長の前田氏は「地元の方々に喜んでもらうことが悪いのですかね」と言いました。彼らには公職選挙法の理念など全く眼中に無いのです。

三日後に迫った総選挙で自民、公明両党とその候補に投票する予定のあなた!あなたは上記のAさん、Bさん、Cさんではないですか。もしYesなら、あなたの投票行動は現与党に白紙委任するに等しくなります。現与党は民意を得たとして憲法9条改定を目指します。それを見た周辺国は我が国が平和主義をかなぐり捨てたと思うことでしょう。更に現与党は敵基地攻撃能力保持を目指します。それを見た周辺国は先んじてそれを破壊しようとすることでしょう。それらは我が国を巻き込む戦争への序章となります。あなたは76年前に終わった戦争の悲劇を再び体験したいのでしょうか。あなたの子供や孫にそれを味合わせたいのでしょうか。そうでないなら是非立憲民主党を中心とする野党連合に投票願います。野党を政権交代可能な勢力になる迄育てていただきたいのです。そして米国や欧州の先進国の様に頻繁に政権交代が出来る体制を作ってください。どうぞ宜しくお願い致します。


この晩秋に政権交代を!

2021-09-19 19:05:07 | より良き我国のために

 韓国の民主化は1993年で我が国のそれが1945年とすれば約半世紀の遅れです。ただし国民が勝ち取ったものと米国から与えられたものの差は有りました。その民主韓国の歴代元大統領は金泳三氏、金大中氏、廬武鉉氏、李明博氏、朴槿恵氏の5人です。この5人全員が在職中又は退職後に自身又は/及び親族が罪に問われています。この事実をどう見るか、人により見方はまちまちですが、私は韓国民主主義の健全性の現れととらえます。韓国の大統領には他の民主国家の中でも比較的大きな権能があり、本人や親族は“甘い汁”の誘惑に触れやすいのです。しかしこれを国民が見逃すことなく、罪に問うてきた結果と言えます。やがて韓国では不祥事を起こさない大統領が選ばれるようになって、民度はより高まって行くことでしょう。

 翻って今の我が国はどうでしょうか。安倍前総理は8年近い在職中に数多くの疑惑にまみれています。森友問題、加計問題、桜を見る会問題、これらは自身或いは妻の”お友達”に便宜を図った疑い、選挙区の有権者に”金銭補填”して公職選挙法違反の疑いのあるものです。更には自身の”お友達”の記者が起こしたレイプ事件を警察・検察が不逮捕・不起訴にした疑いです。森友問題で公文書隠蔽・改竄を指示した財務局長、レイプ事件で裁判所が認めた逮捕状の執行を取りやめさせた警視庁刑事部長は後に共に大出世をしています。彼らは「ヒラメ官僚」と呼ばれます。自身の出世のために上ばかりを見て忖度し、法を犯すのです。反対に気骨のある有能な官僚は弾かれて来ました。2014年に官僚人事を内閣官房が握り、かつヒラメ官僚を優遇して来たことの弊害です。そしてこの弊害は現下のコロナ禍で政府の拙い対応にも十分な効果を発揮しています。自宅療養と称する“自宅放置”で死者を続出させたことはその最たるものでしょう。

 桜を見る会問題では安倍氏の資金の流れを正しく追えば本人の罪は免れないことでしょう。しかし現在自民党総裁選挙に立候補している4人は後ろ向きです。わずかに野田氏が公文書改竄問題で再調査に言及していますが、これは安倍氏本人の罪にはなかなか繋がりません。つまり自民党内には自浄能力は無いのです。安倍氏がキングメーカーとして総裁選に介入しているからです。この上は何としても11月の総選挙で政権交代を目指さねばなりません。その上で安倍氏の罪状を暴くことが肝要です。そうして初めて我が国の民主主義が韓国のそれに近付くのではないでしょうか。皆さんこの晩秋、力を合わせて目指しましょう政権交代を!


諍臣と日本学術会議任命拒否問題

2021-03-24 15:36:43 | より良き我国のために

 3月7日放送のNHK大河ドラマ「晴天を衝く」で後に将軍となる徳川慶喜が幕臣平岡円四郎に「諍臣になって欲しい」と頼みました。このソウシンとは主君に驕りや過ちがあった時はこれを諫める役の家臣です。如何に英明な主君でも所詮は人、その権力の大きさに目が眩んで時に驕り、時に過ちを犯すものです。そんな時に諍臣は己の命に代えても主君を諫めて正しい道に導くのでした。

 話は一気に現代に飛びます。2006年の第一次安倍政権は「お友達内閣」と揶揄されました。閣僚を適格性よりも身近さで選んだ結果、何人もの閣僚が不祥事で更迭されました。加えて安倍氏自身の健康問題もあって1年足らずで退陣したのです。組閣に於いて自身の判断で選び、あまり諍臣の意見を聞かなかったのではないでしょうか。

第二次以降の安倍政権では2014年に内閣人事局を創設しました。それまで官僚人事は各省庁内部で決めていましたが、審議官以上の約600名を内閣官房で決めることにしたのです。その弊害は同年即現れました。当時の官房長官菅氏が主導したふるさと納税制度の問題点を指摘した総務省幹部が左遷されたのです。菅氏はその幹部を諍臣として尊重し、その問題点を総務省内で議論すべきだったのです。事実現在高所得者優遇というその問題点は本制度の最大の欠陥の一つとなっています。

菅氏は「内閣の意向に沿わない官僚は交代させる」と明言しました。これでは諍臣は絶滅します。森友問題では安倍氏が「私や妻が(直接)関係していたら首相も国会議員もやめる」と答弁しました。この(直接)は後日間接的関与が問われる段になってから安倍氏が付け加えた文言です。この首相答弁に忖度した財務省理財局長は国会で嘘答弁を繰り返し、証拠となる決算文書の書き換えや隠蔽を指示しました。その功により局長は栄転して国税局長官になりました。一方局長の指示により決算文書改竄を実行した近畿財務局職員は国民の負託に反する意識との間で苦悩した挙句、自死を選びました。この職員こそ命を賭して権力者を諫めた諍臣と言うべきでしょう。

 権力者が諍臣を遠ざけるのは菅政権も同様です。昨年9月、発足直後の菅政権は日本学術会議から提出されていた候補者105名のうち6名を排除しました。同会議の会員任命制度が改まった2004年以降の歴代政権はこれまで同会議から推薦された候補をそのまま任命してきました。しかしこれは安倍政権から変わりました。2回の補充推薦で難色を示して結局欠員とし、更には交代数105人を超える数の推薦を要求して選択する姿勢を見せたのです。そして後継の菅政権でとうとう6名の任命拒否にまで至りました。

 この6人の学者に共通するのは安倍政権での安全保障関連法、特定秘密保護法、普天間基地移設問題などで政府方針に反対したことです。菅政権は国会で排除の理由を何度問われてもまともな説明をしていませんが、これがその理由と見てまず間違いは無いでしょう。同会議は総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」に位置付けられています。その第一の任務は科学的な見地から政府に政策提言することです。当然ながら政府方針に反する提言もあり得ます。今回菅政権は同会議人事に介入してその独立性を犯し、6人の諍臣を排除したのです。

 菅政権のこの暴挙を決して黙認してはなりません。同政権は今、大学の研究機関に対して軍事研究に参加するよう仕向けていますが、同会議は1950年、67年そして2017年と一貫してこれを拒否する声明を出し続けてきました。この度の人事介入の目的は同会議を骨抜きにして政権に靡かせるためです。同会議が軍事研究を拒否するのは科学者が太平洋戦争に加担した過ちに対する深い反省に基づいています。菅政権は再び同じ過ちを犯すよう同会議に強いているのです。

 思えば2013年以降の安倍・菅政権は民主政治という観点で完全に失格です。彼らはそれまで守られて来た法解釈を無理やり捻じ曲げました。例えば憲法9条の条文からは決して導くことのできない集団的自衛権行使をこじ付けで容認に変えました。それは諍臣中の諍臣で「法の番人」たる内閣法制局長官を挿げ替えてまでの暴挙でした。また2017年には野党の要請による国会召集という憲法53条に規定された義務を無視して3か月間放置した挙句、やっと招集したその日に衆議院を解散させました。「モリ・カケ問題」で野党の追及を受けたくないばかりに、野党の要求に答えて審議するという憲法の精神を踏みにじった暴挙でした。

 彼らは現憲法の改定を目指しています。その目指す方向は戦前・戦中の社会、つまり明治憲法下に近い社会です。天皇を国民の上に置こうとしています。基本的人権は「公」の制限を大きく受けます。そして交戦権のある軍隊を持ちます。国民がこの改憲を受け入れないと見た彼らは正面切っての改憲でなく、事実上の改憲を重ねてきました。集団的自衛権行使容認と安全保障関連法、国民の「知る権利」を制限する特定秘密保護法、戦中の治安維持法に近い共謀罪法、自衛隊の敵基地攻撃能力保持方針などです。

彼らの目標は「武力で世界平和に貢献する日本」です。しかし決して武力で平和は得られません。世界を一つに纏めて国毎の武力を排し、対話に依るしか真の平和を実現できないのです。その意味で彼らは間違っています。我々は国際連合を改革し、対話で平和を保てる世界を目指すべきではないでしょうか。我々国民は主権者であり、投票で政権を選ぶことができます。この秋までに予定されている衆議院議員選挙では是非とも自公連立に代わる新しい政権を選択しましょう。その政権は諍臣を大事にし、議論を尽くさなければなりません。その分手間暇はかかりますが、それが正しい民主政治です。そしてその新政権に国連改革を託すのです。前民主党政権を我々は3年で見切りましたが、早まりました。あのまま続けさせていれば今よりは良い日本であったと思われます。より長い目で見て新政権を育てなければなりません。皆さんのご賛同をお願いする次第です。