岸田政権が発足して1年半が経過しました。昨年後半から矢継ぎ早に繰り出した政策は「新たな戦前と新たな被爆」を想起させるものです。岸田氏の出身地広島の原爆死没者慰霊碑には「安らかに眠ってください過ちは繰り返しませぬから」とあります。二度と過ちを繰り返してはなりません。
1.敵基地攻撃能力の保持
あなたが年配者なら昔の西部劇を覚えていることでしょう。銃による対面の決闘シーンでヒーローは相手の手が動いた後に素早く銃を撃ちます。しかしそれは瞬きしていると見落とすほどで、後からはどちらが先に手を出したのか分からなくなります。
敵基地攻撃能力とは敵が我が国への攻撃に着手したら敵基地やその司令部をミサイル攻撃するというものです。実際に戦闘が始まれば、どちらが先に着手したかはわからず、互いに「相手が先」と言い募ること必須です。そこで我が方が先に着手したと判定されれば国際法違反になり、専守防衛とは言えず、憲法に違反します。国会で憲法改定を発議し、国民投票で認められない限り踏み入ることはできない領域なのです。
4月13日に北朝鮮が発射したミサイルは素早く発射できる固体燃料が使われ、かつ1段目と2段目で射出角度が異なりました。これでは「攻撃に着手」を予見することもできず、迎撃することも難しくなります。これに対抗できる敵基地攻撃能力を手にするまでに何年かかるでしょうか。そしてその間、敵の技術も更に進むのです。
我が国は楯だけを持つことでギリギリ平和憲法を守ってきました。鉾を持ったら憲法に違反し、過ちを繰り返すことになります。
2.防衛費倍増
今年度から5年間で防衛費を倍増する計画です。米国の要望に沿って(或いは忖度して)NATO基準のGDP比2%に引き上げます。既にGDP比260%という世界でも断トツの借金を抱える我が国のどこからその金をひねり出すのでしょうか。増税、社会保障の切り下げは必須で「贅沢は敵だ!」「欲しがりません勝つまでは!」という80年前の悪夢のスローガンが再び聞こえてくるのでしょうか。
我が国が武器を増やせば相手国も増やします。これが際限なく続くのが軍拡競争です。1989年の東西冷戦終結はこの競争にソ連が負けて実現しました。直後の91年、新生ロシアに私は出張しましたが、食料が乏しく、モスクワ駐在員から頼まれた即席ラーメンなどの食料を担ぎこんだ思い出があります。
武器には耐用年数があって、持てば使いたくなるのが人情です。「戦争はいけない」という戒めの意志を突き崩す力があります。更に武器商人も暗躍します。まさに在庫一掃セールで、今回のウクライナ戦争でも武器商人はかなり儲けていることでしょう。
戦争はいけません。そうなる前に手を尽くすべきです。
「戦争は命かけても阻むべし父母翁牢に満とも」八坂スミさん作
3.原発推進
福島原発事故の後、安倍政権を含めて歴代政権は脱原発方針でしたが、岸田政権はこれを推進に切り替えました。ドイツはウクライナ戦争による電力ひっ迫で数カ月延ばしていた脱原発をこの15日に実現しました。その契機となったのは福島原発事故でした。契機の元である我が国が原発依存低減どころか推進に切り替えるとは何とも情けない話です。
「大陸国のドイツはいざとなれば近隣国から電気を買うことができるが、我が国はそうはいかない」というのが政権側の言い分ですが、その分再生可能エネルギーを増やせばよいだけの話です。しかし我が国の大手電力会社はこれを嫌います。太陽光や風力発電は発電元が各家庭や中小電力会社に分散し、彼らの独占権、既得権を侵害するのです。政権も大手電力会社の意向を忖度します。
原発の使用期限は原則40年、更に20年の例外的延長が認められています。しかし、岸田政権は停止期間を経年カウントから除外しようとしています。仮に停止期間の合計が40年なら、最長で100年まで使えることになります。停止期間が長いという事はそれだけその原発に問題が多いという事で、稼働そのものが危険なはずです。更に停止期間中も鉄やコンクリートなどの構造物の劣化は進むので経年カウントから除外すべきではありません。規制委員会の仕事はこれら全てを勘案した安全審査とすべきであり、稼働期限の決定を推進側の経産省に移すべきではありません。
過去私は原発に関するパブリックコメントを何回か提出しました。その多くで空爆やミサイル直撃の危険性を指摘しています。4月13日のJアラートには度肝を抜かれましたが、他国が原発を狙う危険性は無視できません。現にウクライナでは欧州最大規模のザポリージャ原発がロシア軍の手に落ち、幾度となく外部電源が切られています。その都度何とか自家発電で凌いではいますが、まかり間違えれば据え置き型の原爆と化します。
我が国は世界有数の地震多発国で、かつ全原発が海岸に面して津波の被害を受けやすいのです。原発は原爆になり得るものです。ドイツに続いて出来るだけ早く全面停止させましょう。福島原発事故の被害は12年経った今も続いています。過ちを繰り返してはなりません。
4.選挙に行こう!
4月23日は統一地方選挙の後半戦と衆参の補欠選挙の投票日です。上記に掲げた敵基地攻撃能力の保持、防衛費倍増、原発推進に「反対」の皆さん、棄権せず「反政権」票を投じましょう。この行動の積み重ねこそが「戦争も被爆もない日本」ひいては「戦争も被爆も無い世界」の実現につながるのです。
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