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黄帝内経素問 熱論篇 第三十一 第二節 訳

2013-10-22 09:25:05 | 日記

おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です

黄帝内経素問 熱論篇 第三十一

第二節

 帝曰。願聞其状。

 岐伯曰。傷寒一日。巨陽受之。故頭項痛、腰脊強。二日陽明受之。陽明主肉。其脈挟鼻、絡于目。故身熱目痛而鼻乾。不得臥也。三日少陽受之。少陽主膽。其脈循脅、絡于耳。故胸痛而耳聾。三陽經絡皆受其病而未入於藏者、故可汗而已。

 四日太陰受之。太陰脈布胃中、絡於嗌。故腹滿而嗌乾。五日少陰受之。少陰脈貫腎、絡於肺、繫舌本。故口燥舌乾而渇。六日厥陰受之。厥陰脈循陰器而絡於肝。故煩滿而嚢縮。

 三陰三陽、五藏六府、皆受病、榮衛不行、五藏不通則死矣。其不兩感於寒者、七日巨陽病衰、頭痛少愈。八日陽明病衰、身熱少愈。九日少陽病衰、耳聾微聞。十日太陰病衰、腹減如故、則思飲食。十一日少陰病衰、渇止不満、舌乾已而嚏。十二日厥陰病衰嚢縱、少腹微下、大氣皆去。病日已矣。

 

黄帝が申されました、

その症状は如何なんじゃ、聞かせてくれんか。

岐伯が申し上げました、

傷寒一日、と申しましても第一日目という意味ではなく最初に太陽が寒を受ける(傷寒)のでございます。そうしますと、頭痛や項の痛み、腰や背が強ばるようになります。

二日(次にと言う意味)になりますと、陽明が病を受けるのでございます。陽明は肌肉を主りまして、その経脈は鼻をはさみ、目に絡うのでございます。そうしますと、身熱して目は痛み鼻は乾くようになりまして、横(鍼灸医学大系はうつぶせ)になるのを嫌うのでございます。

三日になりますと、少陽が病を受けるのでございます。少陽は胆を主りまして、その経脈は両脇を循り、耳を絡うのでございます。そうしますと、胸は痛み耳が聞こえないようになるのでございます。三陽の経絡が皆それぞれの病を受けましても、未だ藏に入らない者は発汗すれば治癒するのでございます。

四日になりますと、太陰が病を受けるのでございます。太陰の経脈(足太陰脾経)は胃中に布きまして、嗌(のど)を絡うのでございます。そうしますと、腹は膨満して咽は乾くようになります。

五日になりますと、少陰が病をうけるのでございます。少陰の経脈(足少陰腎経)は腎を貫きまして肺を絡い、舌本に繋がるのでございます、そうしますと、口は燥き舌は乾いてしまい、渇して水を飲みたがるようになるのでございます。

六日になりますと、厥陰が病をうけるのでございます。厥陰の経脈(足厥陰肝経)は陰気を循りまして肝を絡うのでございます。そうしますと、煩満して陰嚢が縮み上がるようになるのでございます(ひどくなると睾丸が埋没し触れることが出来なくなる事もある)。

以上のように、三陰三陽、五藏六府が皆病を受け、榮衛(営衛)が行らず、五藏が通じないとなりますと、死を意味するのでございます。

太陽と少陰、陽明と太陰、少陽と厥陰の一方だけが感じただけで両方が倶に感ずるのでなければ、

七日になりますと、太陽の病は衰え、頭痛は少し愈えるのでございます。以下同様に一方だけが感じただけで両方が倶に感ずるのでなければ、

八日になりますと、陽明の病は衰え、身熱は少し愈えるのでございます。

九日になりますと、少陽の病は衰え、耳聾は微かに聞こえるようになるのでございます。

十日になりますと、太陰の病は衰え、腹満は減じて元のようになりまして、食欲もわいてくるのでございます。

十一日になりますと、少陰の病は衰え、咽の渇きは止み、腹満もなくなり、舌も乾くことなく、クシャミが出るようになるのでございます。

十二日になりますと、厥陰の病は衰え、陰嚢は縦(ゆる)み、下腹部もひきつり拘攣することもなく、微かに下りまして大気は皆去り、病は日を経てすっかり愈るようになります。

 

十二日厥陰病衰嚢縱、少腹微下、大氣皆去。病日已矣。

の訳について。

鍼灸医学大系

(語句の解)

*大気について、各註(王冰の注は大邪・馬蒔の註は大邪・張志聡の註は邪気)は大邪気と解説しているが、この解説はちょっとおかしい。「邪気皆去る」といえば、皆わかるものを何故に大気というか。これについては已に離合真邪論第二十七(第五巻)に於て詳述しているので、それを参照せられたい。

柴崎保三著鍼灸医学大系 ⑤ 離合真邪論篇 第二十七 第二節

(語句の解)

大気皆出ず 大気とはなにか。・・・・・・・・・・・

 私は大気とは、宇宙間に存在する気に対する総括的一般名称であって、宇宙間に生存する凡てのものは、その気の働きによって夫々の生存を全うしているものであると考えるのが妥当の考え方であろうと思うのである。・・・・・・・・。

(通解)

そして十二日目には、厥陰の病衰えて、陰嚢もゆるみ少腹も已に拘急せず、微かに下り邪気は皆去って、病は日ごとに治癒して参ります」と。

 

東洋学術出版社素問 

【現代語訳】

十二日目には厥陰病が衰えて、陰嚢も弛み、下腹部も次第にのびやかになってきます。外邪が去ってしまったので、病気も〔日ごとに〕よくなるのです」。

【解説】

方有執(ほうゆうしつ)の『傷寒条弁』に「一日、二日、三、四、五、六日とあるのは、第一、第二、三、四、五、六、といった順序を示したもので、日数を限定したものではない。その要点は、たとえば行程を計るようなもので、このように病の進む行程をモデルとして立てておく、というにすぎない」という。

 

鍼灸医学大系、東洋学術出版社素問

 

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