神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] IT

2017-11-29 23:23:38 | 映画

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

 

諸事情あって、久しぶりの映画鑑賞。

『IT』と言えば、スティーブン・キングの最高傑作にして、アメリカでTVドラマ化された際にはピエロ恐怖症を生み、赤い風船にトラウマを発症したひとびとを量産した最恐の物語。

という知識はあったが、原作も読んでいないし、最初の映像化も見ていないので、これが初見。

結果としては、素晴らしかった。R15なのがもったいないくらいの、13歳、14歳の少年少女が見るべき、勇気と友情と成長の感動物語。ホラーなのに、見終わった後でこんなにさわやかなのは珍しい。

もちろん、いきなりスプラッタだし、腹も切られるし、腕も折れる。びっくり系の演出も多く、心臓が弱い人は見ない方がいい。かといって、最恐ピエロのペニーワイズは怖いというより気持ちが悪いだけだし、“それ”が見えても、ぜんぜん終わんないし、不良たちの方がよっぽど怖い。

これはかなり意図的にやっているのだと思うけれど、ペニーワイズは子供たちにとって一番怖いものとしてやってくる。それは壁に掛けられた絵だったり、突然やってきた生理だったり、死んだ弟のいない家だったりする。そして、その恐怖を共有できる仲間にしか、“それ”は見ることができない。

それでも、彼らは己の恐怖に立ち向かい、乗り越え、成長する。まるで、シリアスな『グーニーズ』みたいなものだ。

陰気ドモリ、過保護病弱、宗教息子、饒舌ゲーオタ、転校生デブ、貧民、DV被害少女など、スクールカーストの底辺にいる“Losers' Club”の面々が、「Welcome to the Losers' Club!」の叫びとともにペニーワイズを袋叩きにするシーンは思いのほか痛快だった。

しかし、“それ”は少年時代特有の幻想、集団幻覚、もしくは、記憶の改変と解釈することもできるように、用意周到に演出されていると思う。それ故に、あのシーンは、下水道に暮らすホームレスを少年たちが集団リンチするというシーンにも解釈できるというのが個人的にはポイントが高かった。それこそが、ホラーってもんでしょう。

で、これは第一章に過ぎなく、ラストシーンで誓いを立てたLosers' Clubのメンバーが大人になって再開してからが本番らしい。本当に怖いのはこれからなのだろう。きっと。

 


スターチャンネルが見られない

2017-03-15 22:23:31 | 映画

今日はルヴァンカップ2017年第1節でした。

磐田 0-2 札幌

マセードのクロスを逆サイドに走り込んだ菅がシュート。キーパー弾いて、上原がゴール。

さらに、珍しく右サイドハーフに入った都倉がドフリーで菅からパスを受けてゴール。の2得点。堪能しました。リーグ戦でも勝って欲しい。

 

そんなわけで、DAZNと並行してスカパー!も継続しちゃってるわけですが(アウェイ見に行く気になったら、安いもんでしょ)、長期ユーザーなもので、ご愛顧に感謝して、会員N周年の毎年3月だけ2000円分チャンネル追加ができるのです。最初の頃はナショジオとかヒストリーチャンネルとか見てたのですが、再放送が多くて見るものが無いので、最近はスターチャンネルで。

これがなんと、オンデマンドでも見られるのですよ。1か月間だけだけど。

で、PCで見ようと思ったら見られなかったので、なんとか試行錯誤。そのメモを残しておく。ちなみに、OSはWindows7 64bit版。(ごめんなさい。そのうちWindows10に買い替えるから)

 

オンデマンドのサイトからスターチャンネルの映画を視聴しようとすると、プラグインをインストールせよとのことで、インストールしてみたが何も起こらず。何度インストールしても、ひたすらインストールせよと言われ続ける。

 ↓

ヘルプをよく観たら、Chromeはサポート外なので、IEへ移行。今度は四角いクルクルが出るが、そのまま黒画面へ。

 ↓

さらによく見たら64bitはサポート外とのこと。そこで32bit版のIEを入れようと思ったら、お前は64bitだからダメと言われる。

 ↓

さらによく見たらFireFoxが行けそうなので、FireFoxの32bit版をインストール。ところが、今度はプラグインをインストールせよの繰り返しに戻る。プラグインやアドオンのメニューをいじくりまわしても、スカパーのプラグインが認識されない。

 ↓

FireFoxのヘルプを読むと、2017年3月から、セキュリティのためにadobe以外のプラグインを無効にしたとか。マジか。

 ↓

仕方がないので、FireFoxの古いバージョンを探してインストールしてみた。プラグインの許可/不許可ポップアップが出て、許可すると四角いクルクル。そしてついに再生が開始された!

これって、周知の事実なんですかね。web検索しても同じ症状の人は引っかからなかったんだけど。まあ、普通は家ではチューナー、出先ではスマホかタブなので、PCで見る人は珍しいのか。

もしかしたら、操作を間違ってたりするかもしれないけれど、同様な症状になった人がいたら、ご参考にどうぞ。

 

そこまでして何を観たかというと、これですよ。デッドプール。

これは面白かった。ヒーロー物のフォーマットをちょっとだけずらしたところに笑いと感動が生まれる。キックアスには劣るけど、ウォッチメンよりは好きかも。

で、思ったのはアレですな。デッドプールって、統和機構モノですか。怪しいクスリを注射して、特殊能力を発現させるために拷問のようにストレスを与えるって、まさに同じじゃん。あいつら、ぜったい統和機構だって。

どうせ誰かが言ってるだろうと思ったら、2chぐらいしか検索に引っかからなかった。残念。


『デッドプール』

 


[映画] ローグ・ワン

2017-01-10 23:26:35 | 映画

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

 

スター・ウォーズのスピンアウト・シリーズ第一弾。といっても、ローグ・ツー、スリーと続くわけではない。らしい。

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のデス・スター戦がご都合主義と批判されるのに対し、それまでにはこんなに大変なことがあったんだぞというひとつの回答。ちなみに、反乱同盟軍のエース部隊がローグ中隊と名乗ることになる由来のエピソードでもあるわけ。

しかし、まぁ、本当に、レーア姫の元にデス・スターの設計図が届けられるまでに払われた犠牲が、どんなに大きかったのかと思うと泣けてくる。そう、ラストカットはレーア姫。亡きキャリー・フィッシャーの若き日の姿が一瞬映る。これもまた、タイミング的に泣ける。

はみ出し者たちが命令に逆らってまで命を掛けた犠牲の上に、一発逆転のアイテムを手に入れるというストーリーは、なんとなく日本的。いわゆる浪花節ですよ。最期の戦いにいたっては『さらば宇宙戦艦ヤマト』かよと思ってしまった。

どう見ても、ジブリ・ロボットか、巨神兵かといった旧式ドロイドも出てくるし、各所に日本のアニメや時代劇の影響を見てとれるのも、日本人としては楽しい。ジョージ・ルーカスが黒澤明の影響をうけていたのは有名だが、今回の監督、ギャレス・エドワーズもハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』を作ったりと、なかなかの日本マニアっぷり。

東映版の『スパイダーマン』が本家のコミックに取り込まれたりもそうだけれど、こうやって、日米のオタク業界がお互いに影響し合って新しい作品を生み出していくのは実に面白い。

そんなことはさておき、なぜか長谷部と闘莉王が出てるのですよ、この映画。(←違います)

でも、長谷部は本当に似ている。あ、長谷部だ。と思ったら、隣にいる髭長髪がどんどん闘莉王に見えてくる不思議。

まるで座頭市のように、盲目なのにやたらと強い長谷部(だから違う)を演じるのはドニー・イェン。なんと、ジェダイに憧れているだけでジェダイじゃないし、強い理由もフォースじゃなくって努力の賜物というのが凄い。この長谷部がお経のように唱える「I'm one with The Force. The Force is with me. 」がとにかくカッコいい。いつか神様に祈らなければならないような場面が来たら、このセリフを唱えることにしよう。

劇場で上映前に流れる盗撮禁止のメッセージがいつものカメラ男ではなく、カンフー映画『葉問』の宣伝になっていたので「?」と思っていたのだが、実はこの映画の主演がドニー・イェン。なるほど、そういうことだったのか。

 


[映画] バードマン

2016-10-18 21:47:01 | 映画

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

 

スカパーの無料期間に録画したものを今さら視聴。

この手の感想はWebで発表すべきではないのかもしれないが、個人的なメモとしても残しておきたいことがあったので。

この作品について、見る前に知っていたのは以下の通り。
 ・アカデミー賞作品賞をはじめ、4冠
 ・主演男優は『バットマン』のひと
 ・ヒーロー映画のパロディ
 ・ブラックコメディ
 ・ヒーロー物ではないが、ファンタジー要素あり

で、見た感想としては、コメディにしては笑いどころが分からない、だ。クスりとしたのは、BGMのドラムを叩いているドラマーが画面に出てきたところぐらいで、それ以外はクスりともできなかった。

どっちかというと、過去の栄光にとらわれて、家族がバラバラになってしまった男の再生が失敗した、あるいは(成功した)物語という印象。

ラストシーンは、ちょっと疑問だった。主人公が引き金を引いた最後のひと押しは、舞台の出来に無関係に、酷評されて打ち切りとなる未来が決まっているからだと思ったので、なんでこんなラストシーンが付いているのかと。

あれは死後の世界、もしくは妄想の可能性ありとの解説があり、なるほどと納得。問題は、あれが誰の妄想なのかということで、娘の妄想だったらあまりに悲しいなと思った。

実はファンタジー要素が主人公の幻覚ではなく、すべて本物だったらということも考えたのだけれど、この映画ではちょっとそれは無理だった。

それはともかく、一番言いたいのは、これは“ヒーロー”映画のパロディではなく、ヒーロー“映画”のパロディだということだ。

たとえば、俺にとってはブリキの甲冑を着込んでいるのはロバート・ダウニー・Jrではなく、トニー・スタークなのである。したがって、あくまで、彼はシャーロック・ホームズとは別人だ。

なので、『バットマン』で主演をした男が『バードマン』で落ちぶれたヒーロー役者を演じることの“おかしさ”が良くわからない。へーそうなの、というトリビアの泉的な興味深さを覚える程度だ。

たぶん、この映画のコメディとしての面白さは、そういったメタな部分に集中していて、俺にとっては良くわからなかったのだろうと思う。

不思議なことに、SF小説界隈だと、そういったメタな面白さや場外乱闘の楽しさもわかる。きっと、俺は映画ファンではないということなんだろうな。

 


[映画] シン・ゴジラ

2016-08-10 23:29:49 | 映画

『シン・ゴジラ』

 

立川シネマシティの極爆上映にて。思えば、最初の極爆体験も、ハリウッド版の『GODZILLA』(ギャレゴジ、デブゴジ)だった。

この映画に関しては、いろんなところでいろいろ言われているので、付け加えることは特にない。評判通りのすごい映画。

役人にはありがちな縦割り行政と前例主義のもと、現行法規内で最大限の力を発揮してゴジラを迎撃する内閣と自衛隊。まさに現実(ニッポン)vs虚構(ゴジラ)。

311の激甚災害の経験をもとに、各方面に緻密な取材をし、詳細な検討のもとにこのシナリオを描き上げたのだろうが、そのリアリティには感心する。

害獣駆除なのか防衛出動なのかといった議論や、「それ、どこの省に言ったの?」、「いいですか、本当に撃ちますよ」といった台詞がいちいちハマっていく。

個人的には、この映画の主題は、牧教授の残した「私は好きにした。君たちも好きにしろ。」という言葉に集約されると思う。

これを庵野秀明が円谷英二の思いとして受け止めたものなのか、あるいは庵野秀明が観客に対するメッセージとして込めたものなのかはわからないが、この映画はとにかくゴジラ好きが好き放題に作った快作。

そこにシキシマとハンジを樋口監督が撮った『進撃の巨人』の反省があったのかはさだかではないが……。

冒頭の東宝ロゴから、最後の「終」の文字に至るまで過去作へのリスペクトが溢れまくり。映像も音楽も何もかも庵野自身が見たかったゴジラそのものなのだろう。

自衛隊迎撃シーンはエヴァの使徒戦そのもので、ああ、庵野ってこれをやりたかったのかと再認識。「シン・エヴァのかわりにシン・ゴジ作りました」ってのが、冗談でもなんでもなくなってる。

ところで、やっぱり気になるのが、ヤシオリ作戦の意味。

ゴジラへ大量の血液凝固材を経口投与することにより体液の循環を止めてしまえば、体内の生体原子炉の冷却ができなくなり、凍結停止にいたる。

あれ、これって凍結どころか、メルトダウンするんじゃねーの?

そもそも、原子炉が緊急停止するのは制御棒などの緊急停止の仕組みがあるからで、ゴジラの生体原子炉に都合よくそんな機能があるのだろうか。

いや、錚々たるメンバーをそろえていながら、そんなはずはない。ここは、あの血液凝固剤が減速材としての役目も持っていたとしよう。そうしよう。

それともあれかなぁ、やっぱりフクイチへの願いで……。

 


[映画] オデッセイ

2016-01-23 23:59:59 | 映画

『オデッセイ』

 

なんと、日本公開の2週間前にアメリカ行の機内で見た。しかも、日本語吹き替え版だったのでびっくり。アメリカ行と言っても、ペルーへのトランジットなんだけど、その話はまた別途……。

噂によると、スターウォーズとのバッティングを避けるために、日本での公開を遅らせたのだとか。それで日本語版までちゃんと先に出来上がっていたのだな。

映画『オデッセイ』の原作、アンディ・ウィアーの『火星の人』はハヤカワ文庫で既読。これが熱狂的に面白かったものだから、映画にはかなり期待していた。

結果的に悪くなかったと思うんだけれど、どうしても原作のボリュームから考えると、いたるところで端折り過ぎて、主人公ワトニーのお気楽さばかりが目立った感じになってしまったかなと思う。

ストーリーはほぼ原作通り。

ワトニーのユーモアもそのまま。でも、「見て見て→(・Y・)」のシーンでは、肝心のテキストメッセージが画面に映らず、「おっぱい!」は無音になってた。そういうところを端折っちゃだめだろ。

ただ、2時間以上の時間を使っても、原作を描ききるのには圧倒的に時間が足りなかった。そのせいで、事故はあってもとんとん拍子に進み過ぎてしまった感じがする。

なんか、こう、もっと火星で生き延びることの厳しさを表現できなかったものか。映像ならではの演出で、たとえば、口にする気楽なセリフと苦悶の表情のギャップとか、いろいろできたでしょ。

最後のクライマックスも時差の表現がとても残念。あのシーンでは、映像を見ている地上スタッフからは12分の時差があるので、すべては終わってしまっているという無情な祈りが込められているというのに。

とにかく、ちょっとでもこの映画がおもしろいと思ったら、すぐに原作を買って読め。そして、火星の怖さを知れ。

 

 


[映画] スター・ウォーズ/フォースの覚醒

2016-01-14 23:59:59 | 映画

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

 

『極爆マッドマックス』で有名になった立川シネマシティで年末に見たら、平日料金(シネマシチズン)だったのでうはうはだった。

ちなみに、“デスシート”のあるa-studioは『ガルパン』に取られていたので、サブウーハー6連のb-studioで3D字幕版。

ネタバレ警察がうるさいので、あらかじめ宣言しますが、ネタバレ感想です。観てない人は戻るボタン推奨。

ところで、他の方のネタバレブログを読むと、ほとんどあらすじしか書いてなかったりするのが不思議。なにそれ、だだの観た自慢なの?

 

 

 

あらためて思うのだけれど、スターウォーズって本当に神話なんだよな。活劇とか物語じゃなくて神話。だから、どんどんストーリーが進むし、どんだけご都合主義であってもそこに突っ込んではいけない。すべては神ならぬフォースがそうなるように導いているのだ。だから、物語は薄っぺらいし、人物造形は類型的にならざるを得ない。

しかも、意図的なんだろうけれど、おおまかなストーリーはエピソード4の再現。秘密を隠したロボットに導かれて砂漠の惑星から飛び出し、黒い敵と戦って、でっかいスターキラーをぶっ壊す。世界中で採取された神話が少数の類型に分類されるように、エピソード7はエピソード4の類型なのだ。それを、テンポのよさと派手な映像で飽きさせずに魅せるというのは、本当に映画ならではのおもしろさなのだと思う。

それはともかく、ハン・ソロは最後まで格好良かった。じじいになっても格好良かった。ハリソン・フォードも、もういやだとか言ってたわりに、思いっきり出ずっぱりじゃないか。

新しい悪役のカイロ・レンは小物っぷりが目立ったけれども、これもわざとでしょう。ここからカイロ・レンの成長っぷりに期待したい。黒くて強大な敵になるのか、はたまた光の誘惑に負けてしまうのか。

で、最後に主人公のレイだ。この娘はいったいレイアの子なのか、ルークの子なのか。たぶんどちらかだとは思うんだけど、まさか、近親相姦!?

 

 


[映画] 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド

2015-09-24 22:28:05 | 映画

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』

 

ネットでは“炎上すらしない”と散々な評判だったけれど、実際に見てみると、いいじゃないか。予想以上に面白かった。

前偏の感想では、完全に尺が足りない中でどうやって完結させるかが問題と書いたが、個人的にはかなり好きな終わり方。これ以上の終わり方は想像が付かない。陳腐と斜め上の細い狭間での綱渡りを、そうとう考え抜いた結果だと思うよ。

ストーリーの組み立ては、昔懐かしいトクサツ映画の王道だった。まさに、作法どおりの期待を裏切らない作り。そうだよ、トクサツの文脈に沿って考えれば考えるほど、その線しかないのだよ。まさに、ウルトラマンで仮面ライダー。

で、なんといってもシキシマだ。当初はリヴァイの代わりといわれ、名前やキャラの変更に苦しい言い訳がなされていたが、終わってみればこれが完全なミスリード。シキシマ=リヴァイという事前情報が無かったなら、もうちょっと早く、これはトクサツの王道構成だということがバレたはず。まさか、町山さんがこんな情報戦略を使ってくるとは思ってなかった。

変身して巨大化し、人々を脅威から救ったヒーロー。突如として現れるもう一人のヒーローは敵か味方か。姿を現す真の敵。そしてさらに、王道中の王道、自爆特攻。熱い。熱過ぎるぜ。

これは確かに、『進撃の巨人』ではなかった。しかし、そこまでけなされるほどの映画でもない。せめて、主人公の名前がエレンやミカサでなかったなら……。

ハンジは巨人の真相には無知な武器オタクだし、サシャはアルミンに恋する乙女だし、ジャンはただの雑魚だし、いろいろおかしいけれど、最後の作戦に残った隊員はみんな愛すべきキャラだったよ。あと、人類最強はシキシマでも、ミカサでもなく、サンナギだったのには笑った。

ラストシーンも意味不明と言われているけれど、良く考えるんだ、エレンは前篇の登場時に何を願ったのか。そして、壁の外への二人の脱出が示唆される交信記録。どうだい、きれいな結末じゃないか。

サブタイトルも、主題歌担当のSEKAI NO OWARIではなく、世界の果てを意味しているんだろうな。その果てを越えて行け、エレン!

 


[映画] 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

2015-08-08 22:28:27 | 映画

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』


[c]2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 [c]諫山創/講談社

 

立川シネマシティ(シネマツー)の極上爆音上映にて。

一部で酷評されるけれども、そんなに悪くなかった。原作やアニメの『進撃の巨人』のどこが好きだったのか、何に期待していたのかで、大幅に評価は異なるのだろう。

特に、キャラ好きのファンに不評なのは理解できる。どうせなら、全員の名前を変えてしまえば、エレンもミカサも出てこないならと、見に行く人は減っただろうに。(それじゃダメか!)

シナリオ改変も不評だけれど、実はこれはこれでかなり練られた構成になっていると思う。それが成功しているかどうかは、各人に評価をゆだねるにしても。あからさまなダメダメシナリオでも、作品に愛が無いわけでもないよ。

とにかく問題なのは尺。全後編二部作編成とはいえ、徹底的に尺が足りない。そこで時間のかかるエピソードはすべて省く。それでいて、『進撃の巨人』としてのストーリーを成立させる。今回の実写版におけるストーリー上の改変は、ほぼそのためのものだろう。

エレンとミカサの関係については共同脚本の町山氏が事前に述べていた通り。
「町山智浩 実写版映画『進撃の巨人』を語る」

ミカサがあれだけエレンを慕う理由を尺の中で描ききれないから、巨人来襲後のエピソードでそれを組み上げようとした。それが、エレンの地獄と贖罪。ミカサを助けられなかったエレンと、エレンに見捨てられたと思ったミカサだが、再会の果てに立場が逆転する。残酷な世界は二人の絆を強くする。

そして、過酷な訓練を描く時間が無いからこそ、調査兵団は精鋭部隊ではなく、巨人の餌として同行する素人集団になった。これで調査兵団の隊員が阿呆すぎなのはシナリオ上の要請となった。

石原さとみ演じるハンジだって、今のところ原作よりも無知で、ただのエキセントリックなお荷物キャラ扱いっぽい。リヴァイじゃなくてシキシマの方が、よっぽど真相を知っていそうな気がする。

これだけ改変されていても、原作どおりのシーンや台詞が登場するのが、返ってパロディっぽくておかしかったが、限られた時間の中で、どこまで何を再現するのかを徹底的に考え抜いた結果がこのシナリオだったんじゃなかろうか。

逆に、そこから切り捨てられた部分や、改変された部分に思い入れがある人には受け入れ難いだろう。

あと、まったく『進撃の巨人』を知らない人にも、何が起こっているのかわからないから、粗ばかりが目立ってポカンとする状況になるかも。そういう意味ではターゲットが狭すぎという感じではある。

しかしながら、これらの改変はすべて、原作者である諫山創の許可済みどころか、一部のネタは本人の発案だからな。原作レイプと言っているやつは、ちょっとピントが外れている。

個人的には、原作とは違う結末を迎えることが約束されたこの映画が、地下室も雌型の巨人も無い中で、どのような結末を迎えるのかに俄然興味が出てきた。すべての評価は、それ次第だ。

後編も、ぜひ見に行こう。もちろん、極爆で!

 


[映画] マッドマックス 怒りのデス・ロード

2015-07-24 22:38:18 | 映画

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』


(c) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

 

ヒャッハー!!!!!

『マッド・マックス』を見てきた。というか、“極上爆音上映”を体感してきた。

立川シネマシティ(シネマ・ツー)でやっている極上爆音上映(極爆)は、当初はマイケル・ジャクソンかなんかのコンサート・ムービーから始まったんだったと記憶してる(確認したら『THIS IS IT』でした)けど、『マッド・マックス』は極上爆音に最適すぎる映画で、歴史に残る上映になったと思う。

『マッド・マックス』の極上爆音上映は口コミで広まり、初週よりも2週目、3週目と観客動員数を増やし、樋口真嗣監督をはじめとする映画関係者も巻き込み、(極上爆音上映としては)異例のロングランを続け、おかげで『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の極上爆音上映が小さなスクリーンに追いやられるという珍事にまで発展している。もしかしたら、8月の『ジュラシック・ワールド』でさえもあやしいくらいだ。一方で、樋口監督の希望により『進撃の巨人』も極爆決定だそうで。

知らなかったけれど、今回の『マッド・マックス』のためにサブ・ウーファーを増設していたらしい。どおりで、以前に見た『ゴジラ』なんかを越えてすごかったわけだ。

極爆の詳細や、立川シネマシティの取り組みについてはこの当たりの記事(週刊アスキー)をぜひ読んで欲しい。映画の新しい可能性が見られる。

で、話は『マッド・マックス』に戻るが、文明破滅後の未来の荒野を、武装トレーラーやらモンスタートラックやらトゲトゲの車やらがドンパチやりながらカーチェイスを行うのがメイン。なので、常に腹の底から響き渡るエンジン音が爆音で唸り、さらにBGMとしてヘビメタが鳴りまくる。と思ったら、これはただのBGMではなくって、トラックに山車のように積まれたドラムを実際に打ち鳴らし、火を噴くエレキギターをかき鳴らすという盛り上げ隊(ドーフ・ウォリアー)が追跡部隊に同行している設定なのだからすごい。この映画のために音響設備を増強したというのは非常によくわかる。まさに、極爆のための映画。

ストーリーが一部で酷評されているように見えるが、どう考えてもあれはネタ。別に破綻してないし、クソでもない。それどころか、かなり細かく気をつかって設定されているような気がする。それもすべて、この馬鹿みたいに“ヒャッハー!”な世界をリアルに成立させるためのものだ。

ウォーボーイズたちも、最初のうちはショッカーレベルの雑魚に見えていたのだけれど、時間がたつにつれ、ウォーボーイズから逃亡に加わったニュークスの重みが増していき、最後には彼が主人公でもいいくらいの気がした。あいつらはただの悪役ではなく、汚染によって蝕まれた身体の救いをイモータン・ジョーに求めている敬虔な殉教者だ。確かに九九はいえなさそうだけど、エンジンの修理なら得意だしな!

そして、女たちの戦いも忘れてはならない。『北斗の拳』やその他の破滅モノに影響を与えた文字通りの世紀末の世界観でありながら、女はただ引っ込んでろ、守られていろではなく、女たちこそが格好良く戦う。ウォータンクを乗り回すフュリオサはもちろん、鉄馬の女(通称:ババァ)たちも、守られるべきはずのワイヴス(妻)たちも凛々しく戦う。

短い寿命をいかに格好良く終えるかを探していたニュークス、緑の大地を復活させるために危険な賭けに出た鉄馬の女たち。主人公格のフュリオサやマックスだけではなく、それぞれの登場人物たちが、それぞれの理由でマシンを駆り、生命を賭ける。このストーリーがただのクソであるわけが無い。

結局のところ、“頭の悪そうな”マシンや、火を噴くメタルギターの印象が強すぎて、細かいストーリーにまで気がつけないこともあるんじゃないか。そうだからこそ、2回、3回の観賞に耐えうる作品なのである。

おまけに、映画中では細かく語られない裏設定も膨大にありそう。たとえば、マックスを悩ませる少女の亡霊は前作に出てきた登場人物なのかと思いきや、この作品では語られきれていない前日譚からのもの。大人気のドーフ・ウォリアーの出自もネットでは話題になりつつあるが、映画の中ではまったく語られていない。

メル・ギブソンから、トム・ハーディに代わった新生マッド・マックスには、ここからスピンアウトや続編にも期待できる大きな膨らみを持った世界が存在している。

とはいえ、なんだかんだ言っても、「ヒャッハー!!!」と一緒に叫びながら、何も考えずに彼らの戦いに一緒に飛び込んでいくのが正しい観賞方法だということは間違いない。