2012年 J1 第19節 コンサドーレ札幌 2-1 名古屋グランパス@スカパー
ただでさえ戦力が弱いのに、怪我人続出でまともにメンバーも組めないくらいの札幌に、遂に新戦力が登場。
センターバックのキム・ジェファン、攻撃的MFのハモン、そして、ストライカーのテレ。フィールド上の背骨をそっくり入れ替えるような補強だ。
センターバックはシーズン最初に山下をセレッソに強奪されたせいで、奈良+櫛引の10代コンビで戦ったこともあるくらいの人材不足。トップは人材豊富ながら、帯に短し襷に長しで石崎式ワントップになかなか合う選手がおらず、頼みの前田俊介も怪我で離脱と緊急事態が続く。
これでは戦えないとばかりに、シーズン初めはまったく想定していなかった外人助っ人3人の補強。さすがに国内からの補強はできなかったか。おかでげで怪我のイ・ホスンと出番のなかったジョルジーニョが契約解除。当たるかどうかが宝くじのようなブラジル人選手は使わないと言ってたはずなのだが、背に腹は替えられないということ。
この状況の中の補強ということで、3人そろって先発出場。
さすがにまだまだパスが合わなかったりするものの、どうせ長くやっている選手同士ですらパスが合わないのだからどうということは無い。
テレの強烈なシュートや、ハモンの絶妙のスルーパス、ジェファンの高いヘディングと、随所に能力の高さを見せる。しかし、チームとしては大きく変わったということもなく、相変わらず。攻めてはパスミスでボールを失い、守ってはボールホルダーへの寄せが甘く。3人選手が変わったところで、大きな違いは見えなかった。
試合は名古屋ペースで進み、玉田も永井もダニルソンも不在で、なんとFWに闘莉王を入れてくるという名古屋にすら、完全に力負けしているのが見て取れた。
ところが、後半10分にハモンが相手DFを引き付けて山本にパス。これを山本が落ち着いて決めて先制。このプレーにはハモンの持つ大きなポテンシャルが見えた。
しかし、その直後にCKから闘莉王に決められ同点。ああ、またダメかと思った。本当にごめん。サポーターから負けに慣れちゃいけないよね。
後半ロスタイム、なんとか守り切ってくれと祈っていたとき、最後にゴールを奪ったのは我らが札幌。しかも、一時は出番が無くてDFに回されていた上原だった。
山本のクロスに走り込んだ上原のヘディング。しかし、その前で内村が触っていれば完全にオフサイドなのだが、審判の判定はオフサイド無し。運も味方に付けたゴールだった。
しかも、このプレーの前に、名古屋のゴールがオフサイドで取り消され、抗議した名古屋のストイコビッチ監督が退場しているのだ。これは禍根を残す終わり方だと思ったが、札幌有利のホームタウン・ディシージョンなんて何試合ぶりだろう。もしかして、曽田の引退試合以来じゃないのか。こんなに久しぶりなんだから、まぁそんなに騒がずに許して欲しいものだ。
ゴールシーン以外はミスが目立つ低調な試合だったことに加え、最後の疑惑のゴールで後味の悪い終わり方だったために、勝利の興奮というものはあまりなく、なんだか冷静に、というか、逆に盛り下がったような感じでテレビを見ていた。
しかし、サポーターも選手も肩を組んで歌う「すすきのへ行こう」を聞いている と、急に涙が出そうになった。
ああ、勝利っていいものなんだな。たとえどんな勝ち方であっても、勝利は勝利なのだ。そんなことを実感した。
新加入3選手も戸惑いながらも参加した「すすきのへ行こう」。この感動を忘れないように、次の試合も歌えるように……。