神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] オデッセイ

2016-01-23 23:59:59 | 映画

『オデッセイ』

 

なんと、日本公開の2週間前にアメリカ行の機内で見た。しかも、日本語吹き替え版だったのでびっくり。アメリカ行と言っても、ペルーへのトランジットなんだけど、その話はまた別途……。

噂によると、スターウォーズとのバッティングを避けるために、日本での公開を遅らせたのだとか。それで日本語版までちゃんと先に出来上がっていたのだな。

映画『オデッセイ』の原作、アンディ・ウィアーの『火星の人』はハヤカワ文庫で既読。これが熱狂的に面白かったものだから、映画にはかなり期待していた。

結果的に悪くなかったと思うんだけれど、どうしても原作のボリュームから考えると、いたるところで端折り過ぎて、主人公ワトニーのお気楽さばかりが目立った感じになってしまったかなと思う。

ストーリーはほぼ原作通り。

ワトニーのユーモアもそのまま。でも、「見て見て→(・Y・)」のシーンでは、肝心のテキストメッセージが画面に映らず、「おっぱい!」は無音になってた。そういうところを端折っちゃだめだろ。

ただ、2時間以上の時間を使っても、原作を描ききるのには圧倒的に時間が足りなかった。そのせいで、事故はあってもとんとん拍子に進み過ぎてしまった感じがする。

なんか、こう、もっと火星で生き延びることの厳しさを表現できなかったものか。映像ならではの演出で、たとえば、口にする気楽なセリフと苦悶の表情のギャップとか、いろいろできたでしょ。

最後のクライマックスも時差の表現がとても残念。あのシーンでは、映像を見ている地上スタッフからは12分の時差があるので、すべては終わってしまっているという無情な祈りが込められているというのに。

とにかく、ちょっとでもこの映画がおもしろいと思ったら、すぐに原作を買って読め。そして、火星の怖さを知れ。

 

 


[映画] スター・ウォーズ/フォースの覚醒

2016-01-14 23:59:59 | 映画

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

 

『極爆マッドマックス』で有名になった立川シネマシティで年末に見たら、平日料金(シネマシチズン)だったのでうはうはだった。

ちなみに、“デスシート”のあるa-studioは『ガルパン』に取られていたので、サブウーハー6連のb-studioで3D字幕版。

ネタバレ警察がうるさいので、あらかじめ宣言しますが、ネタバレ感想です。観てない人は戻るボタン推奨。

ところで、他の方のネタバレブログを読むと、ほとんどあらすじしか書いてなかったりするのが不思議。なにそれ、だだの観た自慢なの?

 

 

 

あらためて思うのだけれど、スターウォーズって本当に神話なんだよな。活劇とか物語じゃなくて神話。だから、どんどんストーリーが進むし、どんだけご都合主義であってもそこに突っ込んではいけない。すべては神ならぬフォースがそうなるように導いているのだ。だから、物語は薄っぺらいし、人物造形は類型的にならざるを得ない。

しかも、意図的なんだろうけれど、おおまかなストーリーはエピソード4の再現。秘密を隠したロボットに導かれて砂漠の惑星から飛び出し、黒い敵と戦って、でっかいスターキラーをぶっ壊す。世界中で採取された神話が少数の類型に分類されるように、エピソード7はエピソード4の類型なのだ。それを、テンポのよさと派手な映像で飽きさせずに魅せるというのは、本当に映画ならではのおもしろさなのだと思う。

それはともかく、ハン・ソロは最後まで格好良かった。じじいになっても格好良かった。ハリソン・フォードも、もういやだとか言ってたわりに、思いっきり出ずっぱりじゃないか。

新しい悪役のカイロ・レンは小物っぷりが目立ったけれども、これもわざとでしょう。ここからカイロ・レンの成長っぷりに期待したい。黒くて強大な敵になるのか、はたまた光の誘惑に負けてしまうのか。

で、最後に主人公のレイだ。この娘はいったいレイアの子なのか、ルークの子なのか。たぶんどちらかだとは思うんだけど、まさか、近親相姦!?

 

 


[SF] S-Fマガジン 2016年2月号

2016-01-14 23:59:59 | SF

『S-Fマガジン 2016年2月号』

 

 隔月刊になってから、毎回買うのを忘れがちなのだが、今回は年末の発売ということもあって気付いたのは年明けも1週間過ぎてから。それでも書店に平積みになってたのはスターウォーズ効果もあるんだろうか。

ということで、特集は『スター・ウォーズ』。まあ、SFファンのお祭りみたいなものですね。

先にエピソード7を見ていたので、ネタバレも怖くないわって感じで読んでいたのだけれど、それほどびっくりするネタもなかったか。どちらかというと、1977年の『スター・ウォーズ』公開がいかに当時のSF界を熱狂させたか、そして、今回の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』をSFファンがどれだけ待ち望んでいたかがストレートに伝わってくる紙面になっていて、SFマガジンらしい。

他にも、『火星の人』を原作とした映画『オデッセイ』の記事もあり、こちらも公開が待ち遠しい。

「冲方塾」は小説家発掘というより、『マルドゥック・スクランブル』の二次創作小説集みたいな感じ。なんだか知った名前もあっって面白いんだけれど、小説塾としては借り物の設定やキャラクターでいいのかという気も。あと、塩澤さんの講評が意外に辛口。

連載からは、『ウルトラマンF』の“F”はその“F”だったのかよというので大笑い。


○「契約義務」 ジェイムズ・L・キャンビアス/中原尚哉訳
これが必然の帰結であると、意外ではなく納得できることと、人工知能に対する恐怖感の克服をどうやってバランスしているのかは自分でも不思議。

○「有機素子板の中」 早瀬耕
『グリフォンズ・ガーデン』はなんとなくしか覚えていないけど、北大の描写が懐かしかった。長距離寝台列車というのも、なんとなくノスタルジーを感じるものになってしまったなぁというのが感想。

 


[SF] ガンパレードマーチ 2K 西海岸編

2016-01-12 23:59:59 | SF

『ガンパレードマーチ 2K 西海岸編 (1)-(3)』 榊涼介 (電撃ゲーム文庫)

『ガンパレードマーチ 2K 5121小隊帰還』 榊涼介 (電撃ゲーム文庫)

 

積読消化。

正月休みに何か軽いものでも読もうかと思って手をつけたのだが、なんだかんだで休み中にはほとんど進まず。まだ完結編も残ってるんだよね、これ。

今回のシリーズを一言で言えば、サンディエゴにおける少年兵による熊本戦の再現と、それを国家に叛逆してでも救いたい5121小隊という図式。

シアトル政府のサンディエゴ戦線における補助兵は、高校卒業後とはいえ年少の新兵を使い捨てるような、まさに熊本の学兵に匹敵するようなおぞましき制度。これを熊本の生き残りである彼らが見過ごせるはずが無い。

ところが、5121小隊はただの視察団に過ぎず、戦うことができないというジレンマ。

そこはなんのかんのと理由を付け、司令に善行が復帰。遠坂も財界から支援。5121フルメンバーで参戦となれば、もう幻獣にとってはまさに災禍というわけですな。

使い捨てにされる少年兵という構図に視点が集中しすぎて、幻獣側は何を思ってサンディエゴ戦線を維持してたのかが良くわからないのがもやっとする。これまで幻獣側の情勢も描いていただけに、ここはちょっと不満。

戦場の悲惨さを体現するための補助兵という設定と、スーパーヒーローになりすぎた5121小隊の狂気の描写はうまいこと持ってきたなと思うのだけれど、やっぱりマンネリ感はぬぐえず。

『帰還』での銀狼師団壊滅のくだりは、正直言って蛇足のような気もするのだが、これが次の最終シリーズに繋がる引きとなるのかどうか……。