なんと、日本公開の2週間前にアメリカ行の機内で見た。しかも、日本語吹き替え版だったのでびっくり。アメリカ行と言っても、ペルーへのトランジットなんだけど、その話はまた別途……。
噂によると、スターウォーズとのバッティングを避けるために、日本での公開を遅らせたのだとか。それで日本語版までちゃんと先に出来上がっていたのだな。
映画『オデッセイ』の原作、アンディ・ウィアーの『火星の人』はハヤカワ文庫で既読。これが熱狂的に面白かったものだから、映画にはかなり期待していた。
結果的に悪くなかったと思うんだけれど、どうしても原作のボリュームから考えると、いたるところで端折り過ぎて、主人公ワトニーのお気楽さばかりが目立った感じになってしまったかなと思う。
ストーリーはほぼ原作通り。
ワトニーのユーモアもそのまま。でも、「見て見て→(・Y・)」のシーンでは、肝心のテキストメッセージが画面に映らず、「おっぱい!」は無音になってた。そういうところを端折っちゃだめだろ。
ただ、2時間以上の時間を使っても、原作を描ききるのには圧倒的に時間が足りなかった。そのせいで、事故はあってもとんとん拍子に進み過ぎてしまった感じがする。
なんか、こう、もっと火星で生き延びることの厳しさを表現できなかったものか。映像ならではの演出で、たとえば、口にする気楽なセリフと苦悶の表情のギャップとか、いろいろできたでしょ。
最後のクライマックスも時差の表現がとても残念。あのシーンでは、映像を見ている地上スタッフからは12分の時差があるので、すべては終わってしまっているという無情な祈りが込められているというのに。
とにかく、ちょっとでもこの映画がおもしろいと思ったら、すぐに原作を買って読め。そして、火星の怖さを知れ。