神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 天冥の標 6 宿怨

2013-02-26 23:42:57 | SF

『天冥の標 6 宿怨』 小川一水 (ハヤカワ文庫 JA)


全10巻構成で予告された《天冥の標》は、ここにきて1つの巻が3部構成。濃密な物語によって、シリーズは最大のターニングポイントを迎える。

第1巻で描かれた植民星メニー・メニー・シープのできごと。それが謎のまま、地球上での発端である2015年のパンデミック(2巻)までさかのぼり、さまざまな紆余曲折を経てここまで来た。

特に第6巻の終盤である『PART3』では、章タイトルにシリーズ名と同一の「天冥の標」が使われ、さらに「終章 全太陽系応答なし」で終わる。この目次だけ見ても、背筋に鳥肌が立つ。

第2巻での冥王斑パンデミックから生まれたサバイバーたち救世群は、保菌者であるという原罪を背負い、隔離と迫害の苦難の歴史を歩む。アウレーリア一党のような華々しい独立ではなく、嫌悪と恐怖を伴ったアンタッチャブルとしての隔離。溜まりに溜まった宿怨は遂に最悪の形で爆発する。

その暴発は、カルミアンとの不幸な誤解のせいもあり、影で攻防を続けるノルルスカインやミスチフさえも制御不可能な事態を招く。それはまさしく、ボーリング・フォー・コロンバインのような、あるいは、秋葉原通り魔事件のような、虐げられたものの暴発である。

少年セアキと少女イサリの邂逅はこの暴発を防ぐ鍵であったかもしれない。「天冥の標」で示された共存の道が正しい道だったかもしれない。しかし、ミヒルの若すぎる心がすべてを打ち砕く。これらの何もかもが、とてつもなく悲しい。

《救世群》の辿ってきた歴史はあまりにも過酷で同情を禁じ得ない。しかし、それがすべてを肯定するわけではない。特に、我々は彼らの始祖である檜澤千茅を知っている。彼女と紀ノ川青葉の友情を読んでいる。だからこそ、彼らに同情するだけではなく、彼らの行く末を気にかけていた。それが、こんな結末を迎えるとは……。

《天冥の標》が持つ物語の構造は、本当に効果的に、我々の心を揺さぶる。1巻の尻切れトンボな結末から2巻の発端を読んだ衝撃。3巻の疾走感を感じた後に、4巻のセクシャルさに戸惑い、5巻で明らかにされたノルルスカインの正体に驚く。そして、これだ。

年表上では、1巻へ続くには300年あるが、すべての謎はまだ素直につながっていない。きっと、これからも驚愕のミッシングリンクが用意されているに違いない。

しかし、1巻の《娼婦たち》が《恋人たち》なのは明らかなのであろう。ということは、イサリもイサリであり、1巻での出会いは、長い時を越えた“再会”だったのか。そう思うと、あの出会いもまた、とてつもなく悲しい。

読めば読むほど先が読みたくなり、読めば読むほど読み返したくなる。そして、シリーズの結末はまったく想像もつかない。

 

 

 


[SF] グイン・サーガ・ワールド 6

2013-02-21 23:10:01 | SF

『グイン・サーガ・ワールド 6』 天狼プロダクション監修 (ハヤカワ文庫 JA)

 

〈グイン・サーガ〉続編プロジェクトの第6弾。本編の続きとなる、五代ゆう「パロの暗黒」、宵野ゆめ「サイロンの挽歌」。さらに、栗本薫の未発表稿である「スペードの女王」。

今回特徴的なのは、トリビュートとして掲載された、ひかわ玲子の「草原の風」。いつぞやのSF大会を舞台に、栗本薫の想いでを語るエッセイとも小説ともつかない作品だ。前回の図子慧版はただの外伝小説のようだったが、これは確かに外伝ではないトリビュート。加藤直之さんの等身大グインは俺も見たことあるけど、確かにすごい迫力で、さすがにグインはデカいなあという感想だった。

こういった形で、グインや栗本薫が語り継がれていくというのは素晴らしいことだと思う。それは、過去にしがみついているとは違う。著者の元を離れて動き始めた本当の意味でのシェアワールドだと思う。

もともと、グイン・サーガは著者の栗本薫にもままならないほど自我の強い物語だったはずだ。それが物語として自律し始める。そこがとてもおもしろい。


「パロの暗黒」 五代ゆう
前回よりも違和感は少なくなったかな。しかし、誰なんだよ、この魔導師。

「サイロンの挽歌」 宵野ゆめ
遅いよ。展開が遅すぎるよ。とはいえ、この展開の遅さがグインなのだなと納得。

「草原の風」 ひかわ玲子
ひかわさんによる栗本薫の想い出。まぁ、なんというか、凄い人だよね。

「現実の軛、夢への飛翔」 八巻大樹
いろいろ納得するんだけれど、グインと魔界水滸伝しか知らずに、図書館で「まよてん」借りて、読み始めた時の気持ち悪さを思い出したよ。

「いちばん不幸で、いちばん幸福な少女」 今岡清
すごいエピソードだけ選んで語ってるということもあるのだろうけれど、相手をするのが面倒な人だと思ってしまった。

「スペードの女王 第二章(つづき)」 栗本薫
これも進みが遅いな。やっとミステリーっぽくなってきたけど。

 


[SF] ゴリアテ

2013-02-16 17:02:12 | SF

『ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器―』 スコット・ウエスターフェルド (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

かなり今さらですが、感想文の宿題。読書メーターの記録によると、読み終わったのは去年の12月30日。もう、ひと月以上も前か。

新☆ハヤカワ・SF・シリーズの華々しい開幕を伝える第1回配本の『リヴァイアサン』に始まり、『ベヒモス』に続くスチームパンク・ジュブナイルもこれで完結。

海の怪物は空を飛び、陸の怪物は海に潜り、巨人兵士は電撃を放つ。祖国を追われた皇子と、どうしても空を飛びたい男装女子の旅はヨーロッパからトルコを経て日本に向かう。といっても、日本には蕎麦だかラーメンだかを食べに寄っただけで、最後の目的地はアメリカ。……やっぱり世界一周するよね。

この世界の日本がどうなっているのか、かなり気になってはいたのだけれど、ちょっと肩すかしか。日本は“ダーウィニスト派”で、カッパを使ってロシアに勝ったとか。それでも蒸気駆動の路面電車や、高性能なミシンもあるので、両者の技術をうまく融合させて使いこなしているようだ。さらには、着物などの伝統的な文化も残して融合させるという、かなり理想的な社会になっている。

多脚マシンが蒸気を噴き上げて走り、遺伝子改造された人造獣が駆け回る世界はそれだけでエキゾチックなので、さらにオリエンタルミステリーな社会を作る必要はなかったという感じですか。ある意味、日本にはいい印象を持っていていただけるようでありがたい。TOYOTAはともかく、MIKIMOTOなんて名前も出てくるあたり、ちゃんと日本のことをわかってくれているようだし。

しかし、日本は駆け足で過ぎ去っただけで、舞台は太平洋を経てアメリカへ。

そこで待ち受けるのは最後の敵、ニコラ・テスラ。この人はどこに出てきても変人扱いがすごいな。なにしろ、かの有名なエジソンに盾突いた男だからな(笑)

スチーム・パンクというと、19世紀の有名人(バベッジ、バイロン、メアリ・シェリーあたりが、いわゆるオールスター・キャスト)たちを登場人物に絡めることが多いのだけれど、それぞれにキャラクターが定着しつつあるようなことになっているんだろうか。あ、この話は20世紀になってからのことだけれど。

日本でいうところの時代劇だったり、幕末ものみたいな感じで、ある意味神話化しつつあるのだろうね。そのうち、『アベンジャーズ』みたいに偉人たちが戦う話が定番化したりして。

こんな感じで設定はやたらと面白いのだけれど、三部作としてのストーリーとしてはどうかというと、第一次世界大戦前夜を巡り渦巻く世界情勢の物語が、結局のところボーイ・ミーツ・ガールな恋愛モノと少年の成長物語に矮小化されてしまい、いまいちカタルシスの少ない結末になってしまった。

最後にシリーズを通した驚愕のオチ(バーロウ博士が男だとか、ロリスが普通に真実を喋り出すとか)があってもよかったと思うんだけど、ジュブナイル版なので、成長と恋物語が主軸になってしまうのは仕方がないのか。

とはいっても、クランカーとダーウィニストが対立し、融合しあうこの世界は非常に魅力的なので、このまま終わってしまうのも心残りな気がするのだが。

 

 


[SF] ゴースタイズ・ゲート 「世界ノ壊シ方」事件

2013-02-07 23:18:06 | SF

『ゴースタイズ・ゲート 「世界ノ壊シ方」事件』 中井拓志 (角川ホラー文庫)

 

オカルト的な不可思議事件を科学的に解決しようとする警察庁科警研心理三室の活躍を描く《ゴースタイズ・ゲート》の2冊目。

今回は、女子中学生の自殺とその原因である“儀式”を突き止める「世界ノ壊シ方」事件、動く人形の謎を解明する「顧みの人形」事件の二本立て。

どちらの事件でも重要となるのが自己催眠、と言ってしまうとネタバレか。

しかし、これらのオカルト事件を自己催眠のせいと片付けてしまうのは、現実世界だとどうなんだろう。ある意味、万能な謎解きになってしまう可能性はある。しかし、そのあたりを理論的根拠と再現性をもとに説明していく科学的な手法が、このシリーズというより、中井拓志の特徴。何度も言うようだが、とっととホラーからSFへ鞍替えして欲しい作家さんなのだけれど。

「世界ノ壊シ方」で捜査の中心となる女子中学生というと、おまじないやこっくりさんにハマる世代であり、感情の起伏も激しくて、理解に苦しむような自殺が(こういっては失礼を承知の上で)よく似合うと思う。いわば、巫女世代というべきか。

一方の「顧みの人形」では中年女性が動く人形の“動き”によって潜在意識の中からもうひとつの人格を呼び覚まされてしまう。

身も蓋もない下世話な言い方をしてしまえば、女性としての身体の大きな変化に追いつけずに乱れた精神が、その整合性を取るためにあがいた結果がこれらの事件と考えることもできる。

男としては、女に生まれなくてよかったと思ってしまうのだけれど……。


主人公である科警研の夕季と、まさに巫女である芙癸の過去の関係も、まだまだ思わせぶりで終わってしまい、全貌が見えない。しかし、二人の関係性は徐々に変わりつつあるように見える。

この先、まだ続くようだけれど、このままオカルトネタは続くのだろうか。心霊系はちょっと昭和っぽい古臭さを感じるのだけれど。そういえば最近、心霊写真とかあんまり見ないよね……。

 

 


[SF] ノヴァ

2013-02-07 22:32:40 | SF

『ノヴァ』 サミュエル・R・ディレイニー (ハヤカワ文庫 SF)

 

『ダールグレン』が話題になっていた頃からの積読をやっと消化。これがディレイニーの最高傑作と呼ばれているのは非常によくわかった。何より、『ダールグレン』や『アインシュタイン交点』のように読みずらく無い。

表面的には、男たちが危険な賭けに挑む痛快なスペースオペラである。プリンスとルビーという華麗なる支配者兄妹を追い落とすため、主人公のロークは仲間たちとともに超新星の中に潜るという離れ業をやってのける。

しかし、この小説が表面上の冒険活劇の奥に、何層にも渡る多重のレイヤーを持たせているということは、あまり注意深くない読者にもすぐにわかるだろう。それは火を盗んだプロメテウスの神話であり、物語にも登場する聖杯伝説であり……。

しかし、残念ながら、そこまでだ。

ディレイニーがこの小説に技巧的に含ませた多数のアナロジーや、物語構造の仕掛けをいくつ読み取ることができるだろうか。読みながら気づいたものもあれば、解説や他の読者の感想ブログを読んでなるほどと思ったものもある。しかし、結局のところ、それは技巧的なものに過ぎず、多層に折り重なった物語を読み解くというところまでは辿りつけなかった。

この小説『ノヴァ』は、まだSFが文学としての市民権を得ていない中で、技巧を凝らして多重にして重厚な物語を構築することによって、これまでSFを読んでいなかった人々にまでリーチしようと思って書いたものなのかとも考えたが、さすがにそれは無いか。発表年代も、ディレイニーがエースのダブルで書いていた時期よりも後で、『アインシュタイン交点』の後にハードカバーで出版されたものだというし。

大学時代に『バベル-17』を読んだときには、あっさりわかった気になっていたのだが、今となってはそれも怪しい。こういうのは、やっぱり若くて脳味噌が柔軟な頃に読むべきものだったかな。いや、一読してわかった気になって終わりだったかもしれないけど。

しかし、仰々しい解説や、こんな感想ばっかりで『ノヴァ』も不遇な小説だと思う。これはまず第一に、痛快で楽しいスペースオペラなのだから、もっと多くの人に読まれて欲しい。寓意と構造が多層をなす複雑な小説という評判が先に立っては、ただでさえ少ない読者が減る一方だ。

たとえば、《スターウォーズ》のダースベイダーのキャラクターは、『ノヴァ』におけるプリンスの影響を受けているかもしれないとか、そんなことを書いておいた方がずっと読者が増えてくれるのじゃないだろうか。

 

 


[SF] 世界樹の影の都

2013-02-07 22:27:50 | SF

『世界樹の影の都』 N・K・ジェミシン (ハヤカワ文庫 FT)

 

神々を奴隷として使役する支配者家系の末裔として都に招かれ、世俗の権力闘争と神々の復権を賭けた二重の闘争に巻き込まれていく女性を描いた『空の都の神々は』の続編。支配者は変わり社会も変わる。そして、再び闘争が始まる。

主人公は盲目の女性画家。しかし、彼女は神々の魔法に関するモノの近くだけは見ることができた。このあたりの描写が混乱のもとになり、読み始めた時は何が起こっているのかよくわからなかった。しかし、盲目なのに“見える”というこの設定は、物語の終盤で大きな伏線となる。

前巻からたった十年しかたっていないというのに、世界は大きく様相を変えている。神々は奴隷の身から解放され、人々に交じって暮らしている。かつての絶対神であったイテンパスも人の身に堕ち、放浪する。

この栄枯盛衰の物語をさらに上塗りするかのように、神殺しの事件に始まる陰謀。それは、それぞれの神々を象徴とする宗教を題材とした宗教改革の物語にも見て取れる。唯一絶対神が支配する一神教から、さまざまなものに神の宿る多神教へ。さらに、神殺しにより人間至上主義の世の中へ。

そうはいっても、あくまでも物語は、あまりにも人間的な神々と主人公とを結ぶ悲哀の物語である。そして、愛する者を殺める武器としての自分を嘆く物語でもある。この設定は、全巻での奴隷であり、“武器”でもある神々とも通じる。

前巻の復讐者であるナハドもまた、あくまでも人間のように激しい感情のままに動き、かつて愛した男であり、強大な力で自分を奴隷と化していた男でもあるイテンパスを許さない。その感情の深さ、業の深さといったところが、彼ら神々を超然とした存在ではなく、隣人としての存在に留め置いている。

一方で、神殺しをたくらむ新興宗教の〈新しき光〉の者たちは狂信的で、機械的で人間味を欠いているように見える。いや、それこそが人間であるということを、あえて示す意図的な描写なのかもしれない。

そして、この物語が誰のために語られたのかという意図が明らかになった時、3部作とされるこのシリーズの方向性も見えてきたような気がする。神々と魔童と人間の新たな関係性が、きっと第3部で作られていくに違いないと思うのだ。

 


Schickのキャンペーン

2013-02-02 23:51:26 | Weblog

Schickのキャンペーンに応募しようとしたら、blogのURLを入れろと言われた。

twitterやfacebookはやっているかどうかを聞かれるだけれど、アカウントは入力必須じゃないのに、なんでブログのURLだけ必須なのだ?

いやまぁ、登録しましたけど、何に使うつもりなのだろうか。

 

いぇーい、Schickのひと、見てるぅー?

広告つければいいの、アフィリエイト張ればいいの?

 


[SF] NOVA9

2013-02-02 23:45:18 | SF

『NOVA9』 大森望 責任編集 (河出文庫)


NOVAシリーズの9巻目。2012年の日本SF大会@夕張で宣言された通り、10巻で終了が正式に決定されたようだ。

責任編集者の大森さんが言うように、労力の割に利益が少ないということもあるのだろう。また、SFが冬の時代を終え、NOVAの使命が終了したということもあるのだろう。まぁ、確かに日本SF作家クラブ50周年のアンソロジー出版が決まり、これを追いかけるだけでも、今年は十分濃い一年になりそうだ。

ところで、今回のNOVAは「ノヴァきゅう」と読むそうだ。実際に、奥付の振り仮名にもそう書いてあるし、『NOVA1』を見直しても、ちゃんと「ノヴァいち」と書いてあった。ずーっと、「ノヴァ・ワン」だと思っていたので、これにはびっくりだ。実はこれが今回一番の《センス・オブ・ワンダー》だったかもしれない(笑)



◎「ぺけ投げ」 眉村卓
 お久しぶりの眉村卓。星新一よりも知名度は低いのかもしれないが、『妻に捧げた1778話』が映画化されたように、短編の書き手としては今でも衰えていない。ペケを投げること自体は道徳的に正しいことなのだが、それが返って騒ぎを巻き起こしてしまう。これは社会が根本的に持つ矛盾をあぶりだしているようで、無性に居心地が悪くなるのであった。

○「晩夏」 浅暮三文
 電車の中で爆笑してやばかった。○のかわりに□ぐらいまではまだしも、特保マークとは意表を突かれた。ぬぷぬぷのくだりも吹き出してやばすぎ。しかし、このタイトルは、なぜ「ぱんか」じゃないのだ?
 
○「禅ヒッキー」 斎藤直子
 まるで落語のようなオチ。

○「本能寺の大変」 田中啓文
 シンチョーか。ちょっと苦しいか。

◎「ラムネ氏のこと」 森深紅
 ラムネを発明したラムネー氏の話かと思いきや、“燃焼”の原理を争うラボアジェとプリーストリーの対決という歴史仮想物語へと発展していく。同じ現象を説明する二つの理論のぶつかり合い。これが科学だとでもいうべき、嘘とわかっていても興味深い逸話だった。

○「サロゲート・マザー」 小林泰三
 代理出産の話かと思ったら、さすが。いやまぁ、良く訓練された小林泰三読者なので、途中でそういうことかとわかり、オチまで予想できましたけどね。

○「検索ワード:異次元/深夜会議」 片瀬二郎
 オカルトホラー系。短編映画化したらよさそうな感じ。

○「スペース蜃気楼」 宮内悠介
 紙幣を発行することを説明する教科書。インフレターゲットとかも解説よろしく。

◎「メロンを掘る熊は宇宙で生きろ」 木本雅彦
 メロン熊SFの最高峰(他にあるのか知りませんが)。なんだか無理やりな設定だなと思いつつも、本当にメロン熊にSF的考察をかけるとこうなるのか。ステージ上がる階段でこけるとか、SF大会を思い出してほっこりした。

○「ダマスカス第三工区」 谷甲州
 土木SFシリーズだが、なんだか怪しげな展開。お役所的時間稼ぎのために複数の人格コピーを使うあたりは面白かった。

○「アトラクタの奏でる音楽」 扇智史
 百合を狙い過ぎてると思うんだが。しかし、このネタに非常に近いことを仕事で考えてたことがあるんだけど……。