神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[コンサ] 2013 J2 第16節 札幌 vs 水戸

2013-05-26 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第16節 コンサドーレ札幌 0-1 水戸ホーリーホック @スカパー

 

ホーム厚別。快晴。今日も風は強い。

キャプテンの河合が復帰。ワントップはなぜか上原。スーパーサブ、大作戦要員からエースの座を奪い取れるのか。与えられたチャンスを生かすも殺すも自分次第。

 

コイントスは水戸が勝って陣地変更。水戸が風下。

札幌は作戦通りなのか、上原がターゲットになってボールを集める。それに対し、水戸はディフェンシブFWという言葉まで作った鈴木隆行の積極的なプレスで対抗。

いきなり風でボールが流されピンチ。しかし、ダイレクトボレーはクロスバー。やはり、厚別の風は味方にならない。

深井のミドルにはコータ氏が最年少ゴール更新と同じ背番号18番話。懐かしい話だけれど、やっぱり、宏太は札幌の顔ですね。

札幌の攻撃は縦一本でもサイド攻撃でも、いい形でゴール前まで行けるのだが、シュートがいまひとつ。さすがにペナルティエリア内では自由に撃たせてはくれない。

そうこうしているうちに、鈴木師匠がエリア内で倒れてPK。チョソンジンより鈴木の方がうまかったとしか言いようがない。これを決められ、失点。

風上のうちに点と取ろうと思っていた出足をくじかれた感じで、この後は全くいいところなし。中途半端に上原が競り勝てるので、上原への放り込みだけになってしまった。前半からパワープレーと言われたジョークそのままの状況。

守備では全体的にDFの連携が悪い。こういうときは全体が見られるGKが声出して統率しろよ。それどころか、前に出てセーブ、かと思ったらボールをこぼすとか、相変わらずの杉山。

 

後半から荒野に変わって前田を投入。これで、上原、前田のツートップ。荒野は前半目立てなかったので、仕方がない。もっと動いて、鈴木隆行みたいにならないと。

しかし、相変わらず、攻められない。ボールが収まらない。ディフェンスでミスる。いったいどうした。

上原はボールが収まるというタイプじゃなくて、フィニッシャーなので、やはり大作戦要員の方がいいのかも。そういった意味では、前田がボールを収める立場なのだが、この試合ではいまひとつボールが足に付かない。さらに、ボランチの位置ぐらいまで下がっていることが多く、攻撃の起点にはなれていない。

状況を変えるために、砂川→河合。ついにキャプテン復活。交代直後から、上原へのスルーパス、ミドルシュートと立て続けにチャンスを演出。

さらに、後半30分過ぎには深井→横野。これで3枚の交代を使い切り、3トップへ。しかし、前線へ放り込まれたボールに対し、3人のフォーワードは競えるものの、セカンドボールは水戸の方へ。

そのまま、ろくにチャンスを作ることも無く、タイムアップ。スコアは1点差だったが、この試合はまったく得点が入る気配もない退屈な仕合だった。

 

風もピッチの悪さも、まるで味方にならない聖地厚別。これでホームと言えるのか。白恋なんて恵まれたところで練習してるからこうなる。明日から、練習はすべて厚別でやればいいのに。

結果的にPK獲られただけだが、他にも危ないシーンが多かった。守備でも攻撃でも見処が無かった。

上原は先発チャンスもらったのにものにできなかった。ということは、しばらく先発ないわけだが……。

こんな試合では、目標に満たない観客動員数を押し上げるために頑張ったスタッフにもサポにも申し訳がないんじゃないか。まぁ、入場者数8590人中、3000人はローカルアイドル、フルーティーのファンだったかもしれないけれど。

 

 


[SF] スチール・ビーチ

2013-05-22 00:06:46 | SF

『スチール・ビーチ』 ジョン・ヴァーリイ (ハヤカワ文庫 SF)

 

ジョン・ヴァーリイといえば、スタイリッシュでファッショナブルな小説家というイメージがあった。それを確立したのは短編集『ブルー・シャンペン』だ。ところが、そのイメージで読み始めると、なんだかへんてこりんな未来世界に困惑させられる。

地球はどうやらエイリアンに占領されているらしい。このエイリアンはどうでもいい。何しろ、この物語にまったくかかわってこない。人類は地球以外の月や火星といった太陽系内の8つの天体に分かれて暮らしていた。

その暮らしぶりを支えるのが、万能なナノボットと、なんでも知っているCCこと、〈セントラル・コンピューター〉である。

主人公のヒルディは月で暮らすゴシップ誌の記者。彼(途中で性転換するので彼女)の視点から、へんてこりんな世界の紹介が延々続くのが前半。食肉用の家畜として飼われているのはブロントサウルスだし、ディズニーランドと称して地球の各地方(テキサスやらオレゴンやら)の箱庭が月面に築かれているし、英国女王はアル中で、エルヴィス・プレスリーが聖人化されている。

物語はいったいどこへ行くのか、方向が定まらず、あっちへふらふら、こっちへふらふらとして、なんともつかみようが無い。最終的に、数々のエピソードを貫く物語は、主人公の自殺衝動がどこから来るのかということを探るミステリーということになる。

しかし、そんなことはどうでもよく、ブツ切れなエピソードの積み重ねが描き出す未来社会のへんてこりんさと、予測のもっともらしさを楽しむ小説なのかもしれない。なにしろ、それぐらいに、縦軸となる大きな物語の存在感が希薄なのだ。

後半になって出てくる《ハインライナーズ》はわかりやすいハインラインへのオマージュで、メンバーもリーダーの名前がヴァレンタイン・マイケル・スミスで、機械に強い少年の名前はリビィである。しかも、彼らの名前は物語上も仮名として扱われるので、完全に確信犯。というか、ヒルディはハインラインを読んでる設定なんだっけ。彼らの思想は、まさにハインラインな感じ。われらに力を。救けなどいらない。宇宙へ出よう。

なんでもできるナノボットをはじめとする未来技術が魔法扱いになっていて、もはやテクノロジーというよりはファンタジーかジョークのようだった。これが書かれた時期はサイバーパンク後で、シンギュラリティ・ブームの前。これがジョン・C・ライトの『ゴールデン・エイジ』につながり、ヴァーナー・ヴィンジの『レインボーズ・エンド』やら、その他のシンギュラリティSFに至る。……っていう感じですかね。

正直言って、あんまりノレなかったのは、縦軸の物語が弱くてエピソードの羅列になってしまったところか。いや、そもそも、その物語はハインラインへのオマージュというか、パロディでしかなかったりするのか。

短編連作とか、まったく独立した短編にした方が面白かったような気がする。ヴァーリイって短編特化型の作家なんだったけ?

 


[コンサ] 2013 J2 第15節 札幌 vs 東京緑

2013-05-19 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第15節 コンサドーレ札幌 1-1 東京ヴェルディ @スカパー

 

Jリーグ20周年で懐かしい映像が流れるたび、J2に甘んじる古豪の姿を見ては情けなく思うのだが、腐ってもヴェルディはヴェルディで、選手それぞれに技術がしっかりしているし、チームとしても意思統一が取れているように思う。とはいえ、それでもこんな試合をしているのがやっぱりJ2チームの証。

ヴェルディの今年のキーパーはすっかり忘れ去られていた、かつてのコンサドーレ背番号1番、佐藤優也。見た目はサッカー選手というよりはプロレスラーなたたずまいで、相変わらずのネタ選手かと思いきや、ネタっぷりではうちの杉山にかなうはずもなく、立派な選手に成長したものだ。藤ヶ谷に林に、今度は佐藤(not洋平)か。清水に移籍した高原も活躍しているし、地味に札幌はキーパー輩出大国なんじゃないか。とりあえず、ホスンははやくカンバックして欲しい。

心配した深井のU-18召集は、さすがにこの試合の後に。相変わらず負傷欠場者が多いものの、前節の日高に続いて今節は内村が復帰。ベンチスタートだが、「撃てば入る」完全復活を望みたい。


厚別は今日も強風。“あの”試合が頭をよぎる中、キャプテンの岡本はコイントスに勝って風下陣地を選択。やはりトラウマなのか。これが良かったのか悪かったのか。

序盤は両チームつなごうとするが、ボールが落ち着かず、蹴り合いとなる大味な展開。必然的にFWが裏に抜けられるかどうかが勝負になり、ファーストチャンスは榊の飛び出し。やはり今日の試合はここがカギか。

札幌は左サイドバックの上原が攻撃の起点。一方のヴェルディは“スシボンバー”高原と左サイドハーフの飯尾が怖い感じ。

守備では日高がよくない。マークの受け渡しの連携がまだ悪いようで、戻りも遅い。

ヴェルディのCKから高原の強烈なヘッドがバー直撃。ヘディングなのにすごい音。さすがスシボンバー。これに肝を冷やした直後に、札幌の攻撃。上原からの縦一本に岡本が抜け出し、佐藤優也をぶち抜いて3試合連続ゴール。キャプテン岡本の頼もしさはうなぎのぼり。

直後に岡本からのお返しパスが上原に通るが、これは外す。惜しい。

前半は、やっぱりベルディうまいなー、高原、飯尾怖いなー。と思ってたら、先制したのは札幌だったという展開。ペースをつかんだのはヴェルディだったが、岡本の得点で一気に雰囲気を変えた。3試合連発のオカモトもすごいけど、上原もすごい。こんないいサイドバックになるなんて思ってなかった。

後半に入っても、札幌がペースを握り続ける。

前半良くなかった日高がすばらしいクロスを上げるが、深井が突っ込み過ぎ、ボールは腹に当たってコロコロ。これが入っていればねえ。

そうこうしているうちに、前半とは逆の展開で、ペースを握られたヴェルディがゴール。ペナルティエリア内でヘディングをフワンフワンとつながれて、最後は蹴り込まれた。杉山、獲れよ。いつも前に出るのが遅いんだよ。

このゴールでまたガラリと雰囲気が変わってヴェルディペース。本当に、前半とは正反対。

ここで榊に替えて内村の登場。動きの落ちてきた前線でチェイス役も引き受け、縦横無尽といったところ。さらに、中盤がスカスカになってきて、スピードのある選手が生きる展開となり、ゴールへの期待も高まる。

さらに、砂川に替えて荒野へ。これでチェイス役がさらに増える。ところが、技術に優るヴェルディはこれをうまくいなしてカウンター気味に攻撃を仕掛け、どちらかというとヴェルディの方がチャンスが多い。

なんとかペースを変えたいものの、最後に投入する攻めの選手がいないというのが札幌の現状。仕方がないので、左サイドバックに松本を入れて上原を前に上げ、パワープレー。しかし、これも優也のナイスセーブもあって不発。

結局、1-1の引き分け。またもや厚別での勝利はお預け。不敗の聖地はどこへ行った。

しかし、得点は取れているし、深井をはじめとする若手選手は伸びが早い。ちょっとしたきっかけでケチャップどばどば状態になる可能性は高い。

補強ポイントはGKと、最後の切り札になる攻撃の選手。GKはホスン待ちなのだけれど、攻撃の選手は二日酔い出勤でクビになったテレの変わりに助っ人を獲るんだろうか。噂の東南アジア路線なのか。

そういえば、小野伸二がわざわざ厚別まで見に来てたらしいが。親友の高原の試合を観にということだったけれど、まさか……ね。

 

 


[SF] 円環少女

2013-05-18 07:09:47 | SF

『円環少女』 長谷敏司 (角川スニーカー文庫)

 

長谷敏司だし、完結しているし、評判もよさそうなので読んでみた。

前半は、やっぱりゼロ年代ライトノベル風で、キャラ属性や世界設定の紹介だけになっていていまいち。

失敗したかなと思っていたところに、猛烈に惹き込まれる燃えシーンがやってきた後半はなかなか楽しめた。

どう考えても、俺には萌えよりも燃えが合っているようだ。過酷な運命を負ったふたりの少女と、彼らを守るために命をかける男。死んで来いと命令を出すしかなく、それを見守る女。敵役も悪意というよりは、掲げた大義のために死力を尽くすという燃え燃え展開。

ひねくれた男の、娘を利用するしかなかった人生も、一筋縄ではいかない人生の物語を感じさせて、涙を誘う。

こうなってしまうと、俺的にはたびたび挟み込まれる萌え属性の描写があざとくて邪魔に思えてしまう。そうは言っても、そもそもライトノベルなのだし、そこが気に入らなければ読まなきゃいいだけなんだけど。

さて、13巻まで読むかどうか。どうしようかな。

 


[SF] SFマガジン2013年6月号

2013-05-16 23:29:29 | SF

『S-Fマガジン 2013年6月号』 (早川書房)

 

特集「日本作家特集」。

今回の特集は新旧、硬軟取り揃えてバランスのいい布陣。野阿梓はいわゆる第3世代の一人。仁木稔はJコレでデビューした新鋭。小田雅久二は『本にだって雄と雌があります』の人。松永天馬は、なんとロックバンド、アーバンギャルドのリーダーだ。

インタビューも、本格ファンタジーの乾石智子に、電子書籍でamazonの1位を取った藤井太洋と、これまた話題の人選。日本SF界をリードするにふさわしいラインナップ。

小説としては小田雅久二がやはり別格。ありがちな世にも奇妙な系のお話なのだけれど、登場人物たちがいずれも魅力的で、“お迎え”に来るラストシーンも、まるでハッピーエンドのように思えてしまう。こういう文章のチカラというのは、やはり必要なのだと再認識した。

椎名誠からの命題「人間とアリンコの本質的な違いをふたつあげてみなさい。」も、考えれば考えるほど面白い。違いを考えれば考えるほど、共通点の方が多くなってしまうという矛盾にぶつかったり。

あと、自分の仕事に直接関係するものがコラムで取り上げられてたりとか。いや、現場はそんなことがメインじゃないから(笑)


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◎「11階」 小田雅久二
世にも奇妙な、というか、2ch的怖い話風。しかし、キャラクターたちが魅力的なので文章で読ませる。しかも、ひとの一生のスパンで話が進むために、“お迎え”が来てもすがすがしいハッピーエンドに見えるという不思議。

○「死んでれら、灰をかぶれ」 松永天馬
なんだかわけのわからないナンセンスな世界。

○「The Show Must Go on!」 仁木稔
ヒトがひどい目に合うフィクションよりも、ヒトではない亜人をひどい目に合わせる方が倫理的にマシと言う世界。二次元児童ポルノの被害者がーとかいう論陣を皮肉っているのかとも思ったが、それは枝葉か。この話が『グアルディア』まで続く歴史になるというのもギャップが大きすぎて信じられないのだが、この亜人黎明期の連作は単行本化されたら再読必須だな。

○「街に兵あり」 デイヴィッド・モールズ
戦いに生き残った男の女神象。いろいろ印象的だけれど、これを新たな宗教の始まりとみていいのだろうか。

-「偽アカシヤ年代記(第2部)[前篇]」 野阿梓
2009年10月号は持っているので第1部を読んだはずなのだが、さっぱり記憶にございません。

 

 


[コンサ] 2013 J2 第14節 山形 vs 札幌

2013-05-12 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第14節 モンテディオ山形 0-1 コンサドーレ札幌 @スカパー

 

久し振りの山形は良い天気。風もおだやかなコンディション。なんと対決は6年ぶりだとか。すれ違い続きの恋人に会った気分ですね(笑)

 

序盤は押し込まれる。繋ぐのが山形。ロングボールで攻め込むのが札幌。さすがに、前節とは逆パターン。簡単にクロスを上げられ杉で再三ピンチを招く。

しかし、チャンスをもらったのは札幌。小山内からのクロスがゴール前の前田に渡る。ところが、シュートはDFに当たって、まえしゅんこねー!

と思ったらすぐに、ヤス キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!

荒野がゴール前で頑張って相手DFからボールを奪い、パスを受けた岡本が右サイドから落ち着いて決めた。さすがキャプテン、格が違う。

しかし、その直後に小山内が負傷。一度立ち上がるも、走っている最中に倒れ込む。担架で運ばれるときに顔を抑えて悔しそう。

前節横野に続いての負傷退場。日高が戻ってきていて良かった。と思ったら、交代は上原。確かに、日高まで復帰当日につぶされてはたまらんからなぁ。

その後、前田に再びチャンスが回ってくるが、2本目も外す。いいかげんにしろ。

一方の山形は、フリーキック入ったかと思ったらサイドネット。心臓に悪い。

前半のシュート数は、山形 5-7 札幌。立ち上がり直後以降は札幌が終始ペースを握って攻め勝った状況。このまま行ってくれればと思うものの、今年の札幌は後半戦にめっぽう弱い。

 

後半開始に、いきなり荒野がフリーで抜け出るもトラップミス。とはいえ、前線は荒野が良く追っているので、パスミスを誘える。前半の得点も荒野のチェイスからだったし、この貢献度は非常に高い。

しかし、後半半分も行かずに全体的にスタミナ切れで山形に押し込まれる。しかし、なかなか選手を変えない監督。確かに、前半に小山内の負傷で上原を入れているのでなかなか動きづらかったのかもしれない。

結局、岡本→日高で、ついに日高復帰。ついでにキャプテンマークも日高。これで上原が前に出る。さらに、砂川→榊。そして、疲れ切って走れない前田の居残り決定。バテバテで、もうボールが足に付かない。荒野も気力だけで走り切る。

それでも、山形の波状攻撃をなんとかしのいで、0-1で試合終了。シュート数は11-11でまったく同一になっていた。

最後は勝利の「すすきのへ行こう」でも跳べないくらいにみんなヘロヘロ。しかし、実力を考えても省エネと言っていられないのが現状。本当に、夏場はどうなってしまうのだろう。

 

この試合の表のMVPは荒野で決まりだと思うが、裏のMVPは杉山。決定的なピンチを2回救った。シュートへの反応という意味では確かに素晴らしい。twitterであの吉原宏太も「FWからしたらああいうキーパーは嫌なもんなんです。( ´ ▽ ` )ノ」とべた褒め。

しかし、もともと杉山がボロカスに言われていたのは、ポジショニングとフィードなので、そこが改善されないとダメキーパーの汚名は返上できないと思うんだよね。っていうことで、まだ土下座も掌返しもしませんよ(笑)

次節、東京Vは雪で延期になったアウェイ松本戦を挟んで中3日で来道。こんなチームに負けないように、1週間じっくりと準備して試合に臨んでほしい。

 


[SF] SFマガジン2013年3月号

2013-05-11 23:59:03 | SF

『S-Fマガジン 2013年3月号』 (早川書房)

 

特集「英米SF受賞作特集」。

まずはSFマガジン読者賞の発表。2012年度の受賞作は、国内部門が仁木稔「はじまりと終わりの世界樹」、海外部門がレイチェル・スワースキー「女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女」。各種賞の常連受賞者を抑えての意外な結果。

いわゆる《センス・オブ・ワンダー》じゃない部分。たとえば、叙情的な描写や、印象的なシーンの描写が評価の中心になっているのかなという印象を受けた。仁木稔は『グアルディア』につながる部分で深みが出るのだけれど、スワースキーのは良くわからないファンタジーだった記憶しかない。

肝心の英米SF受賞作特集は、毎年どの作品を訳するかで当たり外れが出るのだが、今年もヒューゴー&ネビュラのダブルクラウン2作がちゃんと掲載された。ショート・ストーリー部門のケン・リュウ「紙の動物園」、ノヴェラ部門の「霧に橋を架けた男」。不思議なことに、ノヴェレット部門からの掲載は無し。直近の掲載も無いみたいだけれど、これは版権の問題なのか、予想を外したのか。

さらに、ハヤカワ文庫JA 40周年記念作品&フェアのお知らせ。敵は海賊、クラッシャージョウ、星界の戦旗と、懐かしいシリーズの新刊が目白押しで、これは期待したい。


「選択」 ポール・J・マコーリイ
出だしはマーク・トウェインか何かかと思いきや、状況が分かってくると未来の話だということが分かってくる。しかし、その味わいは、やっぱり少年の冒険と成長と、理不尽な世界を描いたオーソドックスな小説。

「紙の動物園」 ケン・リュウ
昔、“ジャパゆきさん”という言葉があったのをどれくらいの人が覚えているだろうか。先進国の少子化と移民の問題はこれからが本番なのかもしれない。

「ベティ・ノックスとディクショナリ・ジョーンズ、過ぎ去りしティーンエイジに立ち返っての奇譚」 ジョン・G・ヘムリイ
現代ラノベ並にタイトルがやたら長いが、まったくそんなイメージの無いオーソドックスなタイムスリップSF。ついでに、古いSFを知っていると爆笑ネタ満載。

「霧に橋を架けた男(前篇)」 キジ・ジョンスン
どことも知れない惑星の深い谷を流れる霧の川。ここに橋を架ける工学SFであり、大規模な事業によって姿を変えていく素朴な村の物語。

 

 


[コンサ] 2013 J2 第13節 北九州 vs 札幌

2013-05-11 19:59:14 | コンサ

2013 J2 第13節 ギラヴァンツ北九州 1-2 コンサドーレ札幌 @スカパー


北九州の本城陸上競技場も風が強い。記憶に蘇る厚別のクソ試合。そして、キーパーはその杉山。

前節、初先発した曳地は全く問題なかったので、曳地のままで良かったのに、なぜ曳地ではなかったのか。一説によると腰痛らしいのだけれど、本当に怪我人多くて大変だ。

この試合では、なんと横野が今季初の先発。普段、空回りが魅力とか言っていますが、実は好きな選手なので頑張ってほしい。正直言って、今季活躍が無いとクビが見えている選手だと思うので、常に危機感を持っていって欲しい。

さらに、宮澤、荒野、神田とメンバーを大幅に変えてきた。これは若手の台頭というより、怪我や体調不良の結果というのが痛い。しかし、先発メンバーに道産子7人、生え抜き9人というメンバー構成をなんとか売りにできないか。これはマーケティング面では大きな強みになるはずなのだけれど。


試合は北九州が縦に入れてくるボールを札幌が跳ね返す展開で開始。しかし、北九州のプレスが甘くてパスが通りやすく、札幌がペースを握る。いつも序盤の入りは良いので、この時間帯に得点が欲しい。

その期待に応えたのは、なんと横野。宮澤からのロビングパスを岡本がヘッドで流し、裏に走り込んだ横野が倒れ込みながらGKのタイミングを外してのシュート。横野らしい泥臭いゴール。

驚きました。ごめんなさい。ホスンもtwitterで「ナイス なきむし!」と祝福。

しかし、すぐに北九州が同点に。DFラインとボランチの間でプレスが甘くなったところからミドルを撃たれた。GKの杉山だけでなく、DF全員がシュートを意識していなかった。しかし、あの杉山のポジションはおかしいだろ、やっぱり。

これでいつものように失速かと思いいや、今日は絶好調の宮澤-岡本コンビが炸裂。右サイドで宮澤が相手の縦パスをパスカット。ここで弾いたボールが岡本への絶妙なパスになり、フリーの岡本がドリブルでゴール前へ。綺麗なシュートをサイドネットへ突き刺した。これは久々のファインゴール。


後半は開始早々に横野が負傷して退場。足首を痛めて立ち上がれず、悔しさで芝生を殴りつける。せっかくゴールを決めてこれからなのに、悔しさが強く伝わってくる。この感情をむき出しにする様子がサポーターの心をつかみ、実績以上の人気を得ているのだけれど、本当に残念な退場。怪我は軽い捻挫のようで一安心。

この後は両チームとも、プレスが甘くなり、攻撃でもパスミスが多い。技術的にはJ2的な見るべきものの無い試合。急に暑くなったこともあり、両チームともスタミナ切れしてしまった。

交代で入った砂川、前田、上里は特に運動量が目立たない。前田や上里は最初から運動量がある方ではないので仕方がないが、前半飛ばしていくスタイルを続けるならば、選手交代にも再考が必要。

一方で最後まで走り切ったのが荒野。超ロングシュートを出したり、終了間際にフリーで抜け出したり、おおいに見せ場を作った。やはり、サイドよりも中央で生きる選手だと思う。だんだん調子を上げてきていて、この試合が今季で一番良かったと思うが、そろそろゴールを決めて欲しいものだ。

なんとかしのぎ切ったものの、北九州も得点のチャンスは多かった。特に、後半に出てきた大島は去年札幌にいた選手。味方にいても頼りないが、敵に回すと怖いというどこかで聞いたフレーズを思い出す。

北九州のシュートは杉山が防いだのが1点、クロスバーが1点、わずかに枠の外が1点。札幌も宮澤のヘディングがゴール横のドリンクに当たって跳ね返ってゴールのように見えたり、荒野の1対1で外したシーンもあり。両チームのサポとも、もっと点が取れたと思っているのではないか。

とはいえ、なんとか連敗脱出。結果が重要だったので、結果が残せたのは良かった。チームとしても、横野としても。

今度は内容が試される。

 


[映画] キック・アス

2013-05-05 23:11:21 | 映画

『キック・アス』


今さらながら、やっと見た。というか、やっと見られた。

TSUTAYAは嫌いだからあんまり行かなかったために、ビデオがレンタルされてるのを知らなかったのだ。これ、TSUTAYA限定だったのかよ!

そもそも、日本での販売自体がカルチュア・パブリッシャーズで、要するにTSUTAYA系列なのか。

こんな面白いものを独占しているなんて、文化に対する損失の罪で、TSUTAYAの経営陣は死刑だな。しかも、あいつら、これを“コメディー/お笑い”に分類してるんだぜ。あきらかにオタク文化を嘲笑ってるだろう。

これはぜんぜんコメディーじゃないよ。泣けるアクション巨編だ!

 

噂通り、すげーおもしろかった。俺的には『ターミネーター』も『バック・トゥー・ザ・フューチャー』も越えて、ベスト1になった。

内容についてはすでにいろいろなところで言い尽くされているので、もう何も付け足すことはない。

“どうして誰もヒーローになろうとしないのか?”

そうだよ。腑抜けだからさ。それでもヒーローを待っている。そして、ヒーローになる時を待っている。こんなおじさんになっても、まだ。

 

なんと、噂の続編『キック・アス2』は2013年公開だ。自主製作から大手(UNIVERSAL?)製作に替わる分、どうなるのか不安半分だけれども、日本にも早く来い!

 

 



[SF] コロロギ岳から木星トロヤへ

2013-05-05 17:54:32 | SF

『コロロギ岳から木星トロヤへ』 小川一水 (ハヤカワ文庫 JA)

 

時空を突き破って地上に落ちてきた超次元生命体カイアク。2014年の地球と、2231年の木星トロヤ群にある廃宇宙船の間に挟まって動けなくなってしまったカイアクを、地球も宇宙船も壊さずに救出するために、あの手この手の大作戦が開始された。

 

帯によると、『天冥の標』の展開にいたたまれなくなった人のための、さっくり読める時間SFとのこと。確かに、宇宙船に閉じ込められた二人の少年の命と地球崩壊を天秤に掛けるという重苦しい命題も、天冥の壮絶な展開に比べると、コメディタッチで軽く描かれていて、気楽に読めた。

とにかく、超次元生命体カイアクの存在が最高。すっとぼけているんだか真面目なんだかわからないディスコミュニケーションの末に、嘶咽木(ころろぎ)岳観測所の人々とわかり合い、時間的にも地理的にも遥か彼方、未来の木星トロヤ衛星群で閉じ込められた二人の少年をなんとか救出しようとするメッセージの遣り取りは、笑えて泣ける。

未来の少年たちを思う現代のお姉さん二人が“腐って”いるというのも悪くない設定だったと思う。全く無関係の、存在するかしないかすらわからない少年たちの生命を地球全体の未来と交換しようというのだから、それくらいでなければやってられない。

SFとしての読みどころは、時空を超えた通信方法。未来の木星トロヤから過去のコロロギ岳までは超生命体の身体の振動を使うものの、過去から未来へはあの手この手でメッセージを伝えようとする顛末が楽しい。このネタでブレーンストーミングしたら、楽しい一日が過ごせそう。

しかし、カイアクは我々の言語を覚えるために無数のパラレルワールドを試行したのだから、未来の少年を救うための試行回数くらい、たいしたことなかったのではとか思ったり。それでも、それを知らない観測所のひとたちの努力は十分に感動的な物語となりうる。

この手の話では時間軸を移動したときの記憶の保持がどこまで正当なのか気になるが、気にしたらおしまい。変わった未来が認識できるのも、カイアクのプレゼントと考えよう。

そして、出会わなかった二人が出会うのは、腐同士が呼び合う心のおかげだ。

 

ところで、ころろぎ岳ってGoogle検索に引っかからないのだけれど実在するのか? この名前も、カイアクが我々に興味を持ってくれる一端になってたはずなんだけれど。