「美の壺:徳利と盃」
日本の酒といえば、ガラスコップで一気のみ?
いやいや、酒には飲んでも飲まれるな。
飲むなら、すっきり・美味しく飲みたいものだ。
実は、徳利と盃で酒を飲むのは、江戸時代末が起源とのこと。
庶民の間に飲酒の習慣が広まった。
ワインがワイングラスで美味しくなるように、酒もやはり
味わい方で数倍も美味くなるようだ。
番組では、味わい方を3つの壺として紹介してくれる。
<美の壺1:くびれが生み出す音を味わう>
徳利鑑賞の秘訣
まず、形に注目。くびれは、本来のアルコール分の揮発を防止する
ためであるが、同時に、注ぐ折の絶妙の音を生み出す。
「とくとく」に代表される音。色々な音が生み出され、
五感で感じる音は酒を更なるうまみに押し上げる。
中には名器とさえ言われる徳利もある。
「とくとく」という音色が徳利の語源であるという説もあるくらいだ。
<美の壺2:見込みの眺めに酔いしれよ>
盃鑑賞の秘訣
見込みの色:盃に酒を注ぐことにより、盃が変化する。
酒を注ぐことで、新たな盃の世界に色と形を生み出す。
なかには心持ちを一変させる盃もある。
土地の土を持つ個性を生む出す盃
偶然が生み出す美との遭遇を味わわせてくれる盃
<美の壺3:胴にあらわれる雨漏りを味わう>
時間の生み出す味わいを鑑賞する
日本的美の誕生
徳利は朝鮮からもたらされたものであるが、13世紀かの地では、
「粉引き」という技法が用いられた。
焼き物の表面を白くコーティングする「粉引き」。
2つの文化的な相違が別々の価値観を生む。
かの地では、無傷で汚れがないことが重要視された。
つややかな光沢と色肌の世界。
一方、日本では、長い年月をかけた従来廃棄されるような古い物
を味わいを込めて珍重した。
粉引きコーティング後、長い年月による「シミ」が生み出す
幽玄の世界。
日本人ならではの楽しみです。
番組では、これを「適当に落ち葉がある庭」と表現し、
かの地の「掃き清めた庭」との美的相違を表現していた。
では、あなたも、今日から日本式にしろ、朝鮮半島方式にしろ
美味しい酒を味わって見ましょう。
大人の酒の味わい方があってもいいのではないか。
自然を愛で、空気や時間さえも愛でる大人の時間。
酒は、この時、時間を超えてあなたを美の世界の住人にする。